AI導入時に使える補助金一覧!「デジタル化・AI導入補助金」からおすすめまで全6種類

「AIツールを導入したいけど、費用が……」
「AI補助金は種類が多くて、わからない」

市販のAIツールを入れるなら、まずは「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)が手軽です。自社専用のAI開発や新規事業なら「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」、ロボットなどの省人化なら「省力化投資補助金」が候補になります。診断ツールと全6種の比較表で、自社に合う制度を選びましょう。

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AI導入補助金の全6種比較表

全体像を把握するために、AI導入に関する主要な6つの補助金と制度について、その特徴を比較表にまとめました。

名称補助上限額補助率申請難易度主な対象おすすめ対象者
デジタル化・AI導入補助金450万円1/2〜4/5★☆☆SaaS・パッケージソフト導入既製のAIツールを手軽に導入したい
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金9,000万円1/2〜2/3★★★独自AIの開発・新規事業自社専用のAIや新しい事業に挑戦したい
省力化投資補助金1億円1/2〜2/3★★☆AI機器・省人化設備AIロボットで省人化を進めたい
小規模事業者持続化補助金250万円2/3〜3/4★☆☆販路開拓・小規模AI活用小規模なAI活用から始めたい
事業承継・M&A補助金800万円1/2〜2/3★★☆事業承継時のAI投資事業を引き継ぐときにAI化を進めたい
IT活用促進資金7億2,000万円融資★★☆大規模AI投資の資金調達低金利で早めに資金を借りたい

重要な点は「補助額の高さ」と「申請難易度」は比例する傾向にあるということです。最大1億円の省力化投資補助金(一般型)や、最大9,000万円の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は魅力的ですが、計画づくりのハードルも高くなります。一方で、既存のAIツールを活用したい場合は、★が少ない「デジタル化・AI導入補助金」などが狙い目です。

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AI導入補助金のおすすめ診断ツール

目的によって利用できる補助金が異なります。以下のチェックリストで最適な「補助金名、補助上限額、補助率、申請難易度」を確認してみましょう。

質問 はい いいえ
既製のAIツールを導入したい
自社専用のシステム開発ではなく、市販のツールを使う
AIロボットや機器を導入したい
配膳ロボット、清掃ロボット、自動搬送機など
新しい事業分野に挑戦したい
既存事業の改善ではなく、新規事業の立ち上げ
投資額は1億円を超える予定である
大規模なシステム構築や設備投資を計画している
すべての質問に回答すると、おすすめの補助金が表示されます

※ 実際の計算結果は条件によって異なる場合があります。本計算結果はあくまでも目安としてご利用ください。

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デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

従来の「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」へとリニューアルされました。生成AIツールやAIチャットボット、AI-OCRなど、幅広いAIサービスの導入に活用できる最も手軽な補助金です。

中小企業のAI導入率が約5%である現状を打破するため、国が後押しする仕組みの一環であり、経済産業省「令和7年度補正予算案の事業概要」では3,400億円が盛り込まれています。2026年9月時点の枠組みは以下の通りです。

枠組み補助上限額補助率
通常枠(業務プロセス1~3)5万~150万円未満1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3)
通常枠(業務プロセス4以上)150万~450万円以下1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3)
複数者連携デジタル化・AI導入枠最大3,000万円2/3〜4/5
インボイス枠(インボイス対応類型)350万円以下2/3〜4/5
インボイス枠(電子取引類型)350万円以下1/2〜2/3
セキュリティ対策推進枠150万円1/2〜2/3

ソフトウェアの購入費だけでなく、導入後の定着を促すための費用も手厚くサポートされます。

対象経費

  • ソフトウェア購入費(AIツール)
  • クラウド利用料(最大2年分)
  • 導入関連費(保守サポート、マニュアル作成、研修等の活用支援)
  • ハードウェア購入費(パソコン、タブレット、レジ・券売機。インボイス枠のみ)

対象企業

  • 既存の業務効率化ツールを導入したい
  • AIチャットボットで顧客対応を自動化したい
  • AI-OCRで帳票入力を効率化したい
  • 初めての補助金申請で、手軽に始めたい

交付申請は2026年3月30日から受け付けていて、締切は回ごとに設けられています。直近の6次締切は2026年10月30日17時、交付決定は12月10日の予定です。

また、注意点としては、事前に登録されたITツールのみが補助対象となることです。導入したいAIツールが登録リストに含まれているか、事前に確認しましょう。申請は、そのツールを登録しているIT導入支援事業者(販売元など)と一緒に進めるため、書類作成の負担が少ないことが特徴です。

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AI導入時に使える補助金4種

1. 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

2026年度から、ものづくり補助金と新事業進出補助金が1つになった補助金です。AIを使った新製品・サービスの開発から、AIを核にした新規事業への進出までを支援します。

デジタル化・AI導入補助金との大きな違いは、オーダーメイドのAIシステム開発や、新しい事業の立ち上げにも使える点です。

枠組み補助上限額補助率
革新的新製品・サービス枠750万〜2,500万円(賃上げ特例で最大3,500万円)1/2(小規模事業者は2/3、特例で2/3)
新事業進出枠2,500万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)1/2(特例で2/3)
グローバル枠2,500万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)2/3

主な対象経費

  • 機械装置・システム構築費
  • クラウドサービス利用費
  • 技術導入費
  • 専門家経費

対象企業

  • 自社専用のAIシステムを開発したい
  • AI画像認識による品質検査システムを構築したい
  • AIを核とした新規事業に挑戦したい
  • AIを使って海外市場を開拓したい

補助上限額は、従業員数によって変わります。第1回は、申請受付が2026年9月30日に始まり、締切は10月30日18時です。

採択されるには、単に「AIを導入します」では足りません。どの課題をどんな方法で解決し、どれだけの付加価値を生むのかを、市場分析や収支計画とあわせて示す必要があります。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金|独立行政法人中小企業基盤整備機構

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2. 省力化投資補助金

省力化投資補助金

2025年度に本格稼働した制度です。人手不足を解消するために、AIやロボットの導入を強力に推進します。枠組みは「カタログ注文型」と「一般型」の2種類があります。

カタログ注文型は、中小企業庁が整備したカタログに掲載された製品を選ぶだけで申請できます。AI搭載の清掃ロボット、配膳ロボット、自動精算機などの導入に最適です。一般型は、カタログにない機械装置費、システム構築費、建物費・構築物費など、オーダーメイドの省力化投資を支援します。

枠組み補助上限額補助率
カタログ注文型最大1,500万円1/2
一般型最大1億円1/2〜2/3

対象経費

  • 清掃ロボット
  • 配膳ロボット
  • 自動精算機
  • 機械装置費
  • システム構築費
  • 建物費・構築物費

対象企業

  • AIロボット(清掃、配膳、搬送)を導入したい
  • 工場や倉庫の省人化を進めたい
  • AI制御による自動化ラインを構築したい

カタログ注文型は随時申請できます。一般型は公募回ごとに受け付けていて、第8回は2026年9月18日から10月16日17時までです。

また、省力化投資補助金の一般型は「建物費」も対象になります。AI制御による無人倉庫の建設といった大規模なプロジェクトにも使えます。

中小企業省力化投資補助金|独立行政法人中小企業基盤整備機構

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3. 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金

従業員20名以下(サービス業は5名以下)の小規模事業者が、販路開拓や業務効率化に取り組む際に使える補助金です。比較的小規模なAI活用に適しています。

枠組み補助上限額補助率
通常枠50万円2/3(賃金引上げ特例に申請する赤字事業者は3/4)
インボイス特例50万円を上乗せ同上
賃金引上げ特例150万円を上乗せ同上
両方の特例200万円を上乗せ(最大250万円)同上

対象経費

  • 機械装置等費
  • 広報費
  • ウェブサイト関連費
  • 展示会等出展費
  • 委託・外注費

対象企業

  • 店舗でのAI接客ツールを導入したい
  • AIを活用したWebマーケティングに取り組みたい
  • 小規模なAI活用から始めてみたい

第20回は、申請受付が2026年11月5日に始まり、締切は12月15日17時です。申請の前に、地域の商工会や商工会議所で事業支援計画書(様式4)を受け取る必要があります。

小規模事業者持続化補助金|全国商工会連合会

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4. 事業承継・M&A補助金

事業承継・M&A補助金

事業承継やM&Aを契機とした新しい取り組みを支援する補助金で、そのタイミングであればAI導入も支援対象になります。

補助上限額補助率
最大800万円程度1/2〜2/3

対象企業

  • 事業承継を機にAI導入で業務を刷新したい
  • M&A後の統合過程でシステムをAI化したい

公募は年に数回あり、第16次は2026年10月2日から申請を受け付けます。

事業承継・M&A補助金

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AI導入時に使える融資1種

1. IT活用促進資金

IT活用促進資金

補助金ではありませんが、日本政策金融公庫によるAI活用のための有利な条件で融資を受けられる制度です。補助金だけではカバーしきれない大規模な資金調達が必要な場合に有効です。

枠組み融資限度額
直接貸付最大7億2,000万円
代理貸付最大1億2,000万円

対象経費

  • AIツール・ITツール
  • システム構築費
  • ロボット導入費

対象企業

  • 補助金の上限を超える大規模なAI投資を計画している
  • 補助金申請のタイミングが合わず、先に資金調達したい
  • 複数年にわたるAI導入プロジェクトの資金を確保したい

なお、経済産業省の「DX推進指標」で自己診断を済ませていると、基準の利率から0.2%引き下げられます。自己診断の進め方はDX診断の記事にまとめています。

IT活用促進資金|日本政策金融公庫
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AI導入補助金の申請時にやることリスト

STEP1. 情報を集めて、補助金を選ぶ

導入目的と規模に応じて最適な補助金を選びましょう。

  1. 各補助金の公募要領を中小企業庁公式サイトからダウンロードする
  2. 申請要件、対象経費、審査基準を詳細に確認する
  3. 対象外経費の項目を特に確認する
  4. 導入したいAIツールやサービスを選定する
  5. デジタル化・AI導入補助金の場合、事務局に登録されたITツールか確認する
  6. 自治体独自の補助金制度も確認(東京都など上乗せ支援あり)する

STEP2. 事業計画を策定し、書類を準備する

事業計画書で最も重要なのは、現状の課題と「AI導入による解決策」の論理的なつながりです。例えば「対応時間○時間削減」や「コスト○%削減」のように具体的な数値で改善効果を示しましょう。

  1. 現状の課題とAI導入による解決策を明確にする
  2. 定量的な改善効果を試算する
  3. 決算書(直近2期分)を準備する
  4. 履歴事項全部証明書(3カ月以内)を取得する
  5. 納税証明書を取得する
  6. 見積書を複数社(3社以上推奨)から取得する
  7. 導入スケジュール表を作成する
  8. 費用対効果の試算表を作成する
  9. 賃上げ計画(補助率優遇の要件)を策定する

STEP3. 申請をして、採択されるまで待つ

注意点としては、交付決定前に発注や契約した経費は補助対象外です。補助金は原則として後払いであり、つなぎ融資の検討する方法もあります。

  1. GビズIDプライムアカウントを取得する(発行に1〜2週間かかる)
  2. 電子申請システム(jGrants)で申請書を提出する
  3. 採択通知を受け取る
  4. 交付申請を提出する(採択から1カ月以内)
  5. 交付決定通知を受け取ってから事業を開始する
  6. 領収書や納品書などの証憑類を確実に保管する
  7. 実績報告を提出する
  8. 補助金の入金を確認する

AI導入補助金でよくある質問

── どのようなAIツールが補助対象?

各制度の目的に合致し、生産性向上に寄与するものであれば幅広く認められています。

主な対象AIツール

  • 生成AI活用ツール(業務効率化ツール)
  • AIライティングアシスタント
  • AI画像認識(品質検査、外観検査)
  • AI-OCR(手書き文字や帳票をデータ化)
  • 音声認識AI(議事録自動作成、コールセンター支援)
  • AIチャットボット(顧客対応の自動化)
  • AI搭載CRM(顧客行動分析、営業支援)
  • 需要予測AI(在庫最適化、発注自動化)

── 申請すれば必ず採択される?

残念ながら、申請すれば必ず採択されるわけではありません。各補助金には採択率があり、競争的に審査されます。

補助金名平均採択率採択のポイント
デジタル化・AI導入補助金約50〜60%ITベンダーとの連携、具体的な導入計画
ものづくり補助金(統合前)約40〜50%革新性の明確化、収益計画の妥当性
新事業進出補助金(統合前)約30〜40%市場分析の深さ、事業の実現可能性

採択率を高めるためには、技術面の革新性と事業化面の妥当性、政策面での加点要素をバランスよく盛り込む必要があります。不採択となった場合でも、多くの補助金は年に複数回の公募があり、不採択理由を改善すれば、次回の採択可能性は高まります。

── 申請代行は利用したほうがいい?

自社の状況と補助金の難易度を考慮して判断しましょう。

申請代行を利用すべきケース

  • 初めての補助金申請で、何から手を付けていいかわからない
  • 申請書作成に充てる時間が確保できない
  • 高額な補助金(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金など)を狙っている
  • 過去に不採択となり、専門的なアドバイスが欲しい

逆に申請代行が不要なケースは「補助金申請は、ITベンダーがサポートしてくれる」や「補助金額が小さく、代行費用の費用対効果が見合わない」場合です。また、申請代行の費用は、成功報酬型で補助金額の15〜20%が一般的です。

── 複数の補助金を組み合わせられる?

はい、段階的に複数の補助金を活用する戦略は有効です。

  1. デジタル化・AI導入補助金で基盤となるAIツールを導入する
  2. 効果を確認した上で、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金で本格的なシステム構築に着手する

国の補助金と自治体の上乗せ支援を組み合わせることで、自己負担をさらに軽減できる場合があります。自治体の制度は、本社のある都道府県や市区町村のサイトで確かめましょう。

── 補助金を活用しないリスクは?

補助金を活用せずAI導入を先送りすると、競合との生産性の差が広がるおそれがあります。たとえばAI-OCRで入力作業を、需要予測AIで在庫管理の手間を減らした企業とは、毎月のコストに差が出ていきます。

AI導入企業が低価格で製品やサービスを提供できる中で、自社が価格競争で不利になることは問題になります。

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。