「朝礼でKYシートを読み上げるだけになっている」
「現場のヒヤリハットが上がってこない」
そこでKY活動の基本から、マンネリ度の自己診断、他社の改善事例、形骸化したKY活動を立て直す手順、安全管理に役立つサービスまで、形だけのKY活動を再構築する具体策を見ていきましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
KY活動とは?3つのポイント
KY活動とは、危険(Kiken)と予知(Yochi)の頭文字を取った対策で、現場に潜むリスクを洗い出し、事故を予防するための活動です。KY活動には次の3つのポイントがあります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 1. 先に危険を見つけて共有する | その日その作業に潜む危険を、作業員全員で先読みして洗い出す |
| 2. 具体的な行動目標を設定する | 洗い出した危険から重点項目を絞り、具体的な対策を全員で唱和する |
| 3. 危険を察知する能力を高める | 毎日の積み重ねで一人ひとりの危険を察知する力を底上げする |
1. 先に危険を見つけて共有する
KY活動は「事故が起きる前に危険を見つけて手を打つ」先取り型であり、従来の安全管理が「事故が起きた後に原因を分析し再発を防ぐ」後追い型です。作業に取りかかる前に、その日の危険を全員で出し合います。
| 項目 | 先取り型のKY活動 | 後追い型の安全管理 |
|---|---|---|
| タイミング | 作業を始める前に危険を予測する | 事故が起きた後に原因を究明する |
| メンバー | 実際に作業する全員が参加する | 管理者・安全担当者が中心 |
| ターゲット | そもそも事故を起こさない | 同じ事故を繰り返さない |
2. 具体的な行動目標の設定する
危険を洗い出すだけでは行動は変わりません。抽象的な心がけではなく、その日の作業に直結した目標に落とすのが要点です。KY活動の進め方として広く使われているのが、4つの段階で危険を整理する「危険予知訓練(KYT)4ラウンド法」です。
| ラウンド | 問いかけ |
|---|---|
| 1R(現状把握) | どんな危険が潜んでいるかを出し合う |
| 2R(本質追究) | 特に危険な要因に印を付けて絞り込む |
| 3R(対策樹立) | 絞った危険への具体的な対策を考える |
| 4R(目標設定) | 重点実施項目を決め、行動目標として唱和する |
3. 危険を意識して高める
同じ作業でも、危険を意識する人としない人では、とっさの判断や動き方が変わります。KY活動は、「慣れ」や「思い込み」によるヒューマンエラーをなくし、危険を察知する力を高めます。単なる安全確認の儀式ではなく、人の意識に働きかける活動です。
KY活動を続けて得られる効果
- 慣れた作業でも危険を意識する習慣が身につく
- 複数の目で工程を確認し、個人の見落としを集団でカバーする
- ヒヤリハットを共有し合う土台ができる
脱アナログから一元管理まで、
現場が変わった24社のリアルを公開
業種や機能ごとのDX成功事例を1冊に。自社に合うヒントがきっと見つかります。
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KY活動のマンネリ度診断
自社のKY活動がどの程度形だけのものになっているか、以下のチェックリストで確認してみましょう。該当する項目のスコアが59点以上ある場合は、進め方の立て直しが必要です。
自社のKY活動がどれだけ形骸化しているかがわかります
※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。
KY活動の成功事例3選
CASE1. AIの危険予知アプリを試し、リスク網羅率9割超を確認

導入後の変化
全社導入に先立ち実施したトライアル現場検証では、業務効率を維持しながら、AIによる潜在的リスクの網羅率が9割を超える実効性を確認した……利用者へのアンケート調査でもAIのアドバイスが「参考になった」、アプリが「役立つ」、「安全意識が向上した」との回答がいずれも9割を超え、安全性の向上効果が実証された。
三菱電機ビルソリューションズ株式会社
現場で起きた主な出来事
- AIを活用した「危険予知(KY)活動」の支援アプリケーション「KY-Support」を開発し、全社への導入を始めた
- AIが作業特有の潜在的なリスクを提示するほか、作業者が作業現場で考える行動目標に対してAIがその場でアドバイスを行う
- 音声入力の活用やタップ中心の直感的な操作など、片手で操作できるよう最適化している
※ 三菱電機ビルソリューションズ株式会社「AI活用した危険予知活動支援アプリ全社導入 リスク網羅率が9割超の実効性確認」2026年4月21日
CASE2. 過去の事故事例を紐づけ、現場での説得力が向上

導入前の悩み
毎日判で押したように「足元注意」「手元注意」と同じ文言ばかりが並び、真の危険予知として機能していないケースが散見されたのです。
技術推進部門 情報戦略室 奥村靖彦様
導入後の変化
AIが抽出したリスクに対し、過去に社内で発生した類似の事故事例を2件ほど紐づけて提示し、ワンタップで詳細なPDF資料を開けるようにしました。これにより、AIの一般的な回答が長谷工のリアルな教訓へと昇華され、現場での説得力が向上しています。
技術推進部門 情報戦略室 奥村靖彦様
現場で起きた主な出来事
- 2025年9月のリリース後、アプリは現場監督を担う長谷工の社員に配布されている
- ゲンバノメの利用により、リスク検討時間の短縮効果も得られたという
- 「AIがこう言っている」という第三者の客観的な意見として伝えることができる
※ 株式会社長谷工コーポレーション「建設現場の安全管理をAIで可視化。長谷工の技術が変える危険予知の最前線」2026年5月14日
CASE3. ヒヤリハットをAIが示すKYの仕組みを国内5工場へ

導入前の悩み
一方で、過去に提出されたヒヤリハットの利活用といった点においては充分ではありませんでした。
三菱瓦斯化学株式会社
導入後の変化
「KYサジェストシステム」は、三菱ガス化学の新潟工場を導入のテスト工場とし、……2021年9月より本番環境で運用開始し、国内5工場へ展開しています。
三菱瓦斯化学株式会社
現場で起きた主な出来事
- 当日行う業務の中からAIにより「作業」を抽出し、その作業に関連するヒヤリハット情報や事故労災情報をサジェスト
- 事故情報やヒヤリハットをデータとして一元管理し、作業時に発生しうるトラブルを事前通知できるように
※ 三菱瓦斯化学株式会社「三菱ガス化学の国内5工場に高度なAIを活用した『KYサジェストシステム』を導入」2023年6月29日
形骸化したKY活動を立て直す4ステップ
STEP1. 形骸化した原因を見極める
立て直しの第一歩は、なぜ形だけになったのかを突き止めることです。多くの原因は次の3つのどれかに当てはまります。
1. シートの使い回し
その日の作業からではなく前からの転記を使いまわし、危険ポイントが毎回同じ文言になっている
2. 読み上げるだけの朝礼
班長や職長が一方的に読み上げ、作業員が黙って聞くだけになっていると、危険を自分ごととして考える機会が失われる
3. 抽象的な目標
具体的な作業と結びついていないと、行動目標が「注意する」「気をつける」で終わる。
現場の作業員に「KY活動に意味を感じているか」を率直に聞くのも有効です。まず現状を直視するところから始めましょう。
STEP2. 全員が発言する場に変える
参加者が受け身になることも問題です。全員が一言は発言する進行ルールを設けると、聞き流すだけの参加者が減ります。危険を見つける視点は、次の3つに分けると挙げやすくなります。
| 視点 | 探すポイントの例 |
|---|---|
| 人の動き | 無理な姿勢、慣れによる近道行動、複数人が同時に動く場面 |
| 設備・道具 | 回転部や刃物、重量物、電源まわりの扱い |
| 環境 | 天候、足元の状態、照明、騒音、他の班との同時作業 |
STEP3. 行動目標を具体化する
洗い出した危険から重点を1〜2点に絞り、その場でできる対策を具体的な行動目標に落とします。例えば「足元に注意する」ではなく、誰が何をどうするかまで具体化しましょう。
| あいまいな目標 | 具体化した行動目標 |
|---|---|
| 足元に注意する | 通路の資材を作業前に右側へ寄せ、歩行ルートを確保する |
| 挟まれに気をつける | 回転部に手を入れる前に必ず電源を切り、指差し確認する |
| 転落しないようにする | 高所作業は2人1組とし、安全帯のフックを先に掛ける |
STEP4. ヒヤリハットで回し続ける
作業後には気づいたヒヤリハットを共有し、それを翌日以降のKY活動のネタにすることで、活動が回り続けます。立て直しの活動は定量と定性の両面で記録しましょう。
| 記録の種類 | 具体的な指標 |
|---|---|
| 定量データ | ヒヤリハット報告件数、KY実施率、無災害日数 |
| 定性データ | 危険ポイントの具体性の変化、作業員の発言量 |
報告件数が増えたという事実は、現場が危険に敏感になった証拠です。集まったヒヤリハットは、マンネリ化したシートの使い回しを防ぐ材料になります。報告が増えるほど、危険の芽を早い段階で摘めるようになってきます。
安全管理に役立つおすすめサービス
1. KY活動特化型

KYシートの作成・共有・承認ができるツールです。KY活動を紙やExcelの運用からペーパーレス化したい現場に向いています。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| らくらく現場 | 要問い合わせ | スマホで簡単にKY活動を電子化できる。QRコード読取での簡単報告や電子サインに対応し、即座に現場の安全状況を共有、確認が可能 |
| KY帳票アシスト | 要問い合わせ | スマホでKYシートや作業安全指示書、日報などの各種帳票の作成・保存が可能。イラスト付きで事故事例も共有でき、現場の安全意識を高める |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
2. 危険予知AI支援型

AIが危険ポイントを提案するツールです。危険の見落としやネタ切れに悩む現場の手助けになります。経験の浅い担当者でも危険を挙げやすくなる点が強みです。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| HACARUS KY | 33,000円〜 | AIが作業名から危険を提案し、属人化を防ぐ建設向けKYアプリ。独自レポートで活動の質を可視化し、安全管理を向上させる |
| 鹿島セーフナビ(K-SAFE) | 要問い合わせ | 約7万件の災害事例をAIが分析し、当日の作業内容に応じたリスクを提示する。直感的な操作でシンプルに入力ができる |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
3. コミュニケーション型

ヒヤリハットや点検の報告を集め、現場のやり取りを活発にするツールです。報告がなかなか上がってこないという課題や、コミュニケーション不足の解消に役立ちます。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| アザス | 要問い合わせ | KY活動などの良い行動を可視化して安全文化を後押しする。監督者が作業者へポイントを送り、ランキング表示や景品交換ができる |
| Platio | 29,700円〜 | ノーコードで誰でも簡単にアプリを作成できるツールです。ヒヤリハットやKYの情報共有アプリのテンプレートあり |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点