ファシリティマネジメントシステムとは?導入事例2選とおすすめ6製品

「どのように進めると失敗しない?」
「維持管理や施設管理との違いは?」

そこで、ファシリティマネジメントシステムの導入効果から、他社の成功事例、システムの選び方、目的別の製品比較まで、経営メリットを生む運用体制を見ていきましょう。

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ファシリティマネジメントシステムとは?4つのポイント

1. 意味は経営視点で物的資産を管理すること

ファシリティとは「施設・設備」のことであり、ファシリティマネジメントシステムは企業における建物・設備・備品といった物的資産を、戦略的に管理し、活用するためのツールです。その結果、企業業績から企業価値、従量員の働きやすさまでを向上させます。

管理カテゴリ管理対象
土地・建物オフィスビル、工場、倉庫、社宅、駐車場など
設備・機器空調、電気、給排水、エレベーター、防災設備など
什器・備品デスク、チェア、OA機器、キャビネット、文房具など
コスト・省エネ光熱費削減、省エネ設備導入、維持管理費最適化、CO2排出量管理など
セキュリティ・アクセス入退館管理システム、防犯カメラ、鍵・IDカード、警備体制など
人材・組織ワークスタイル、福利厚生施設、健康経営、人員配置など
執務空間・居住空間座席レイアウト、照明・温熱環境、内装デザイン、清掃、植栽など

2. ビルマネジメントやアセットマネジメントとの違い

ビルマネジメント(施設管理)とアセットマネジメント(資産管理)は、ファシリティマネジメントと混同されやすい概念です。それぞれの違いを整理しました。

項目ビルマネジメントアセットマネジメントファシリティマネジメント
目的施設や機器の保全価値の維持・投資回収経営への貢献・生産性の最大化
視点動くかどうかいくらかかるかどう使うか
主な対象空調・エレベーター・PCなど土地・建物・契約書など施設+環境+働き方
具体例冷媒ガス漏れを点検する
故障時の修理を手配する
購入予算や耐用年数を管理する
エアコンの減価償却費を計算する
AIで電気代を20%削減する
快適な温度設定を検証する

例えば「エアコンがきちんと動いている」だけでなく、「温度設定は社員が集中できる環境か?」「電気代は予算内に収まっているか?」までをトータルで管理するのがファシリティマネジメントシステムの役割です。

3. メリットはコスト削減できること

メンテナンス保守案件の実画面

ファシリティマネジメントシステムの導入メリットはコストの可視化と最適化です。システムによってデータを一元管理することで無駄を発見し、運用効率の改善につなげます。

項目削減手法具体例
メンテナンスコスト予防保全への移行突発修理費用の減少
エネルギーコスト使用状況の可視化、自動制御人がいないエリアの空調を自動でオフ
スペースコスト利用率分析、レイアウト最適化スペースの利用状況を「見える化」して無駄を削減
人件費業務自動化、ペーパーレス化業務効率化による残業時間の削減

ファシリティマネジメントシステムは業務プロセスをシステム上で標準化し、誰がどのタイミングで何をすべきかを明確にします。従来の紙やExcelでの施設管理では発生した「データの分散」や「検索の手間」はなくなり、生産性が上がります。

項目できること効果
点検記録・報告書作成の自動化点検項目、頻度、記録様式をテンプレート化記録の正確性向上、報告書作成の手間削減
承認フローのデジタル化修繕依頼や予算承認がシステム上で完結紙の回覧や押印待ちの時間の撲滅
情報の一元管理過去の点検履歴や修理記録をすぐに検索担当者が変わっても容易に確認可能
モバイル端末での現場作業写真撮影やバーコードスキャンが可能入力・確認作業の時短

施設や設備のライフサイクルコストは、取得から運用、保守、廃棄までの総費用です。そのため、初期投資が安価でも、ランニングコストが高くて、トータルでは割高といったことも起こります。そこでファシリティマネジメントシステムでは修繕履歴やエネルギー消費量といったデータを可視化し、最適な投資判断を促します。

項目従来の施設管理ファシリティマネジメントシステム
投資判断初期コストを優先総コストの最小化を優先
メンテナンス故障してから直す事後保全予兆を検知して直す予防保全
設備更新動かなくなるまで使う修繕費が購入費を上回る前に最適に更新
予算計画突発的な修繕費が発生しやすいデータの裏付けによる計画的な予算配分
環境・経営資源の無駄が発生しやすい省エネ・長寿命化によるサステナ経営

4. 経営判断に必要なレポートを自動生成

ファシリティマネジメントシステムは、施設に関するあらゆるデータを集約し、分析・可視化することで、より精度の高い判断を可能にします。例えば、以下のような切り口でのレポート作成が可能です。

レポートの例

  • 拠点別・建物別のコスト比較
  • 予算実績対比と乖離理由の分析
  • 設備老朽化マップと今後5年間の更新計画シミュレーション
  • スペース利用率とコストパフォーマンス分析

ボタン1つで最新データに基づいたレポートが出力されるため、定例会議や予算策定のタイミングで迅速に活用できるでしょう。

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機器管理や設備管理などの成功事例

CASE1. 修理依頼をフェーズで分け、差配が必要な案件が一目でわかる形に

アゲダ空調食品設備株式会社の社屋前に並ぶ社員の皆さま
アゲダ空調食品設備株式会社(冷凍冷蔵・空調設備工事)
常務取締役 呉屋様

導入前の悩み

月400件ものメンテナンス案件があると、どうしても管理が煩雑になります。実際、「部品を注文したと聞いたのにまだ来ない」「3カ月前に依頼したのに連絡がない」といったお客様からのご連絡で、対応が滞っていたことに気づくケースも稀にありました。

常務取締役 呉屋様

導入後の変化

メンテナンス部では案件の進捗管理に使っています。お客様から依頼が来たら案件を作成して、フェーズで分けて管理しています。「担当者未定」といったフェーズを設けることで、差配が必要な案件が一目でわかるようになりました。

常務取締役 呉屋様

案件の現場情報の下に、設置した業務用エアコンの型番・製造番号・保証期間が並ぶ機器・資材情報の一覧
現場に設置した機器と保証期間を案件にひも付けて管理する画面

現場で起きた主な出来事

  • 業務用エアコンを設置した2年後にアラート通知が出るよう設定している
  • これまで、事務所にある紙の単価表に頼っていた見積作成が、プロワンの価格表共有機能で大きく改善された

※ プロワン導入事例「アゲダ空調食品設備株式会社」2025年12月

CASE2. マンションごとの作業履歴で、過去の経緯に即答できる形に

大芝水工株式会社の作業車両
大芝水工株式会社(排水処理施設の維持管理・清掃)
取締役 高瀬様

導入前の悩み

一言で言うと、完全に私一人の頭の中だけで案件を管理している状態でした。ホワイトボードに予定を書き、Excelで見積書を作成し、ビジネスチャットツールでカレンダー共有をしていましたが、これらが全く連携していませんでした。

取締役 高瀬様

導入後の変化

プロワンでは、どのマンションでどの作業をしているかを一元管理できるようになりました。これまでフォルダ管理していた情報が、案件に紐づいて履歴として残るので、お客様から過去の経緯を聞かれても即座に回答できるようになりました。

取締役 高瀬様

定期メンテナンスの契約を件名・顧客名・契約期間・契約状況で並べた一覧
定期メンテナンスの契約を顧客ごとに一覧で管理する画面

現場で起きた主な出来事

  • 月単位で案件を登録しておいて、後から具体的な日付を振り分けていく作業も格段に楽になった
  • カレンダー上で未定案件は白、確定案件は緑で表示されるので、一目で状況が把握できる

※ プロワン導入事例「大芝水工株式会社」2025年9月

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ファシリティマネジメントシステムの選び方

1. 管理対象と必要機能をリストアップする

建物・設備・エネルギー・清掃・警備・座席・資産など、ファシリティマネジメントの守備範囲は広く、すべてを網羅するシステムもあれば、特定領域に特化したものもあります。そのため、自社が管理したい対象をシステムがカバーしているか、求める機能があるかを確認しましょう。

管理対象求める機能例
建物・設備点検スケジュール管理、修繕履歴、図面管理
エネルギー使用量の自動取り込み、デマンド監視、CO2排出量算出
スペースフロアマップ連動、座席予約、利用率分析
契約賃貸借契約一覧、更新アラート、支払管理
資産固定資産台帳連携、減価償却計算

2. システムやExcelとの連携させる

会計システム、人事システム、生産管理システムなど、既存の基幹システムがあれば、連携できるかを確認しましょう。ファシリティマネジメントシステムが孤立してしまうと、データの二重入力や整合性の問題が発生します。

API連携ができない場合はCSV形式のインポート・エクスポート機能が充実しているかが重要です。例えば、Excelの固定資産台帳と連携できれば、減価償却のデータをを同期できます。

3. 現場スタッフが使いやすさを試す

施設管理の現場では、現場スタッフのITリテラシーにばらつきがあることを前提に、直感的に操作できることが求められます。インターフェースのチェックポイントは以下です。

インターフェースのチェックポイント

  • スマホやタブレットからでも入力できるか
  • 入力項目が必要最小限に絞られているか
  • 図面や写真を簡単に添付・閲覧できるか
  • ヘルプやマニュアルがわかりやすく整備されているか

使いやすさは、システムの定着率と入力データの品質に直結するため、導入前に現場担当者に試用してもらうことを推奨します。運用後に「管理者視点では便利だったが、入力する側には負担が大きい」といったギャップを防ぐことができるでしょう。

4. サポート体制と導入実績を確認する

ファシリティマネジメントシステムは長期にわたって運用するものであり、「法改正への対応、バージョンアップ、トラブル時のサポート」が不可欠です。製品そのものだけでなくベンダーの信頼性とサポート力も確認します。確認のポイントは以下です。

サポートの確認ポイント

  • 自社と同規模・同業種の導入実績
  • 導入時のコンサルティングやカスタマイズ対応
  • 運用開始後の問い合わせ窓口の対応時間
  • 定期的なユーザー会やトレーニングが提供

業務プロセスの見直しを含めたコンサルティングが必要になることも少なくありません。ベンダーが業界知見を持ち、導入後も伴走してくれるかどうかは、導入成功の重要な要素です。

ファシリティマネジメントシステムおすすめ6選

製品1. 総合管理機能が充実したArchibus

Archibus

Archibusは世界トップシェアを誇る統合型システムです。CADやBIMといった図面データと、契約・保全・コスト情報を高度にリンクさせられる点が強みです。竣工時のデジタルデータをそのまま管理フェーズへ引き継ぎ、空間の稼働率や維持費をグラフィカルに可視化できるため、高度な資産戦略を可能にします。

主な機能詳細
スペース管理CAD・BIM図面と連動し、部署ごとの面積配分や賃料按分を自動計算
資産・契約管理土地・建物の全ポートフォリオと、複雑な賃貸借契約を一元化
環境・リスク管理エネルギー使用量の可視化や、コンプライアンス遵守状況の把握

※ 2026年9月時点

製品2. 日本市場に特化したFM-Integration

FM-Integration

FM-Integrationは日本のFM専門会社が開発したファシリティマネジメントシステムです。日本の商習慣に特化し、膨大な施設データを利用した予測分析が最大の特徴です。将来いくらコストが膨らむかを可視化し、戦略的な修繕提案に威力を発揮します。「建物をどう維持し、いつ更新するか」という中長期のライフサイクルマネジメントの要となるツールです。

主な機能詳細
建物・設備カルテ過去の不具合履歴、点検結果、図面、写真を機器ごとに一元管理。
長期修繕シミュレーションAIや統計データを用い、10〜30年先までの修繕費用を自動算出
中長期計画の策定予算の平準化や優先順位付けをサポート

※ 2026年9月時点

製品3. オフィス環境を管理するBeacapp Here

Beacapp Here

Beacapp Hereはビーコン技術を活用し、人と場所の関係性を可視化するオフィスDXツールです。居場所を自動検知するため、社員に操作負担をかけずに「嘘のない実測データ」を収集できます。空予約の自動キャンセルやヒートマップ分析により、データに基づいたオフィス面積の適正化を実現します。入力を排除し、行動ログからワークプレイスの稼働率を導き出すデータ収集基盤です。

主な機能詳細
リアルタイム所在地検知スマホを持ってエリアに入るだけで「誰がどこにいるか」を自動反映
ホテリング(座席予約)連動予約した席に座っていないを自動で検知し、スペースの回転率を最大化
エリア稼働分析曜日・時間帯ごとの利用率をヒートマップで可視化し、余剰スペースを特定

※ 2026年9月時点

製品4. 資産管理が強みのHUE Asset

HUE Asset

HUE Assetは日本の会計慣行や税制に特化したシステムです。財務会計と施設管理のデータを直結させ、現物と帳簿の不一致を完全に解消できる点が強みです。バーコード等を用いた効率的な棚卸しから、複雑な減価償却計算、将来の資産価値シミュレーションまでを正確に行い、内部統制を強化します。

主な機能詳細
減価償却計算日本の税制・会計基準に完全準拠、IFRS(国際財務報告基準)にも対応
現物棚卸支援モバイル端末を用いたバーコード・RFID検知により、実査業務を効率化
建設仮勘定管理工事中の資産から本勘定への振替などのプロセスを管理

※ 2026年9月時点

製品5. 設備保全に特化したMENTENA

MENTENA

MENTENAは設備保全業務の効率化と標準化を支援するクラウド型メンテナンス管理システムです。直感的なUIで、導入初日から使いこなせる定着率の高さが特徴です。点検スケジュールの自動管理や写真付き報告書の即時作成により、属人化していた保守ノウハウを共有し、建物の安全性を組織として維持できます。

主な機能詳細
点検タスクの自動管理法定点検や日常点検のスケジュールを自動生成し、漏れを防止
写真付き報告書の即時共有現場の状況をリアルタイムで管理画面に反映し、承認フローを高速化
設備故障の予兆管理蓄積された不具合頻度から、故障の傾向を分析し予防保全に寄与

※ 2026年9月時点

製品6. 現場のオペレーションを効率化するプロワン

プロワン
ファシリティマネジメントができる「プロワン」

プロワンは現場のオペレーション効率化に特化したDXプラットフォームです。点検報告、設置機材の情報、写真管理までスマホ1台で完結させ、現場とバックオフィスをスムーズに連携します。自動で修繕履歴を蓄積し、建物の修繕カルテも簡単に構築できます。現場のオペレーションをデジタル化し、ファシリティマネジメントの根拠となるデータを分析できることは強みです。

主な機能詳細
機器・資材管理機器・資材の在庫情報を可視化、機器の選定や手配ミスを防止
カスタム報告書作成スマホで撮影した写真が、即座に現場点検・修理報告書として完成
レポート・分析ツール現場が入力したデータをリアルタイムでダッシュボードに反映
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ファシリティマネジメントシステムのよくある質問

── 費用対効果の算出方法は?

ファシリティマネジメントシステムには初期費用とランニングコストが発生するため、費用対効果を算出するにはコストと効果の両面を具体的に洗い出します。

コスト項目内容
ライセンス費用初期費用、月額・年額利用料
導入支援費用コンサルティング、カスタマイズ、トレーニング
データ移行費用既存データの整備・移行作業
運用保守費用サポート契約、バージョンアップ対応
効果項目内容
人件費削減集計作業時間削減、業務効率化
賃料削減オフィス等の固定費削減
修繕費削減予防保全による突発修繕の減少
エネルギーコスト削減使用量の可視化による節電効果
意思決定スピード向上機会損失の回避、競争力強化

例えば、集計作業を「月20時間×時給5,000円×12カ月=120万円」の人件費削減、オフィス縮小で年間2,000万円の賃料削減といった具体的な数値を積み上げることで、導入投資の回収期間を示すことができます。初年度は赤字でも、2〜3年目以降で効果が累積し、投資回収が見込めるのが一般的です。

── 導入までの標準的な期間は?

導入期間はシステムの規模や機能、カスタマイズの有無によって大きく異なります。各段階の標準的なスケジュール例は以下の通りです。

項目期間
要件定義・製品選定1〜2カ月
契約・詳細設計1カ月
データクリーニング・移行準備2〜3カ月
システム設定・カスタマイズ1〜2カ月
試運転・トレーニング1カ月

本稼働までは合計で半年程度が目安です。既存データが整理されていてカスタマイズが少なければ3〜4カ月で稼働できるケースもありますし、逆に大規模な多拠点展開では1年以上かかることもあります。

── 既存データの移行はどうしたらいい?

多くのシステムはCSVインポート機能を備えています。また、ベンダーによるデータ移行支援サービスを利用することで、スムーズな移行が可能です。ただし、長年にわたって蓄積された施設データは、重複、表記揺れ、欠落、いった問題を抱えていることが少なくありません。移行前にデータクリーニングを徹底することが、導入後の運用品質を左右します。データクリーニングのポイントは以下です。

データクリーニングのポイント

  • 建物や設備のマスタデータを統一フォーマットに整理する
  • 不要な古いデータを削除し、最新情報のみを移行対象とする
  • 点検履歴や修繕記録の中から、必要なものを選別する
  • 担当者や部署名の表記を社内の正式名称に統一する

新システムへのデータ移行は、導入プロジェクトの中で最も時間とコストがかかる工程の1つです。各拠点の担当者を巻き込み、データの正確性を確認しながら進めましょう。

── 現場定着のための施策は?

明確な運用ルールの策定と、全社への周知徹底が必要です。運用ルールには以下のような項目を含めます。

運用ルールの項目

  • データ入力のタイミングと責任者(誰が、いつまでに、何を入力するか)
  • 承認フローと権限設定(誰が何を承認するか)
  • 異常値が出た場合のエスカレーションルール
  • システム利用に関する問い合わせ窓口担当

また、導入初期には、集合研修やマニュアル配布だけでなく、現場での実地トレーニングやヘルプデスクの設置も有効です。定期的に利用状況をモニタリングし、入力率が低い部署には個別にフォローを行うなど、導入後半年間は重点的にサポート体制を維持しましょう。

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。