「AIに作成させると何が変わる?」
「金額やインボイスの記載まで任せて大丈夫なのか」
そこでAI請求書作成でできることから、具体的な導入事例、中小企業向けの選び方、おすすめサービス5選、そしてよくある質問まで、請求業務の手間を減らす第一歩を見ていきましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
CONTENTS
AI請求書作成とは?3つのポイント
AI請求書作成は、AI-OCR(光学文字認識)やAIエージェント(指示を受けて作業を自ら進めるAI)を使い、請求書の作成・チェック・送付を自動化する仕組みです。従来のクラウド請求書ソフトが担ってきたテンプレート入力から一歩進み、見積書や作業報告書といった元データを読み取り、明細を自動で組み立てます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 1. AI請求書作成システムの仕組み | AI-OCRと生成AIが契約・受注データを読み取り、請求書の下書きを自動生成 |
| 2. AIが自動化できる4つの工程 | 作成・チェック・送付・保管の全工程で担当者の作業を圧縮 |
| 3. 従来型の請求書ソフトとの違い | 「入力する」から「AIの下書きを承認する」へ担当者の役割が変わる |
1. AI請求書作成システムの仕組み
AI請求書作成システムは、AI-OCRと生成AIを組み合わせた構成です。契約書や受注メール、販売管理システムのデータを起点に、自社の請求書フォーマットへ自動で落とし込みます。手入力で行っていた工程の多くをAIに任せられます。
AI請求書作成の基本フロー
- 契約書・受注メール・販売管理データをAIに読み込ませる
- AI-OCRが取引先名・品目・数量・単価などを抽出する
- 生成AIが自社フォーマットに沿って請求書の下書きを組み立てる
- 担当者が内容を確認・微修正して承認し発行が完了する
2. AIが自動化できる4つの工程
請求書業務は「作成・チェック・送付・保管」の4工程に分解できます。いずれの工程もAIで自動化することで、月末に集中する経理担当の作業負担を軽減できます。
| 工程 | AIが担う役割 |
|---|---|
| 作成 | 契約・受注データから請求書の下書きを自動生成する |
| チェック | 金額・登録番号・支払サイト(締め日から支払日までの期間)の不整合を自動で検知する |
| 送付 | 取引先ごとの送付方法を判定し、メール・郵送・電子帳票に振り分ける |
| 保管 | 電子帳簿保存法の要件に沿ってタイムスタンプと検索項目を自動付与する |
中小企業の経理では、請求書発行が特定の担当者に集中しやすく、その1人が休むと業務が止まるリスクがあります。AI請求書作成の導入は、単なる時短にとどまらず、属人化を解消する効果ももたらします。
3. 従来型の請求書ソフトとの違い
テンプレートに沿ってフォームを埋める従来型に対し、AI請求書作成は元データさえあれば下書きを自動で作成します。担当者の役割は「入力」から「承認」へと切り替わります。
| 項目 | 従来型の請求書ソフト | AI請求書作成ツール |
|---|---|---|
| 入力方法 | 品目・単価・数量を担当者が手入力する | 契約・受注データからAIが自動で下書きする |
| チェック工程 | 担当者が目視で確認する | 金額異常・登録番号漏れをAIが自動検知する |
| データ活用 | 過去の請求書は参照するだけ | 過去データをAIが学習し精度が上がる |
| 担当者の役割 | 起票から承認まで一貫して担当する | AIの下書きを確認・承認する |
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AI請求書作成の導入事例2選
CASE1. AIで請求書を送付先ごとに分け、月1200件を電子化

導入前の悩み
請求書は月2300件ほどあり、導入前はそれらを印刷し、確認・封入・封緘・郵送まで自社で対応していました。特に、請求書件数の多い時期にはコピー用紙2束ほどの三つ折り・送付を行っていた状況でした。
システム課 課長 仲田様
導入後の変化
送付先コードを読み取る際、AIが異なる桁数にも対応している点も理想的でした。これにより、送付先の本社・営業所を桁数で判別している弊社の運用フローに変更を加えることなく、スムーズに導入することができました……現在は、「バクラク請求書発行」によって約半数の月1200件の請求書を電子化できています。
システム課 課長 仲田様
現場で起きた主な出来事
- 県内外17拠点の25部門で請求業務の時間を大幅に削減し、月110時間相当を削減することができた
- 夕方に送った請求書も次の日の午前にはお客様が確認できるような環境になっていることがうれしく感じる
- お休みのご案内やキャンペーン・チラシなど以前まで全部の送付先につけて折り込み・封入していたものも、請求書に添付することができるようになったので、工数削減につながっている
※ 喜多機械産業株式会社「建設業界で月1,200件の請求書を電子化、個別封入・郵送対応など月110時間相当を削減した運用改革とは」2026年8月24日
CASE2. 請求書PDFをAI-OCRで取り込み、電子送付に

導入前の悩み
当社の請求管理システムは、一般的な製品では請求書の送付機能との連携が不便でした。
君野様
導入後の変化
バクラク請求書発行によって大幅に改善されました。特に、既存の帳票をAI-OCRを使ってPDFから簡単に取り込むことで、電子送付を容易に実現することができました。
君野様
現場で起きた主な出来事
- バクラク請求書発行の導入によりDXが促進され、電子化による優位性とAI-OCRの利便性を享受でき、大変満足している
※ 一般財団法人日本気象協会「一般財団法人日本気象協会が『バクラク』を導入。基幹システムとスムーズに連携し、AI-OCRを活用した情報取り込みで電子送付の手間を大幅削減」2024年8月8日
中小企業向けAI請求書作成の選び方4ステップ
STEP1. AI機能の見極め
AI請求書作成といっても、AIが担う工程はサービスごとに異なります。AI-OCR・下書き自動生成・AIチェック・AI仕訳連携など、既存のどの工程を自動化したいのかを最初に整理しましょう。
1. AIがカバーする工程
作成の下書き、金額チェック、送付振り分け、保管の4工程のうち、どこにAIが搭載されているかを確認する。自社で最も時間を取られている工程がAIの対象になっているかで判断する。
2. AI学習型か固定ルール型か
修正内容をAIが学び、使うほど読み取り精度・仕訳精度が上がる設計かを確認する。固定ルール型は初期精度が安定する反面、精度は伸びにくい。
3. 自社データの取り扱い
入力した取引先データ・金額・請求書明細が、他社向けのAI学習に転用されない契約設計かを利用規約で確認する。学習利用の可否を切り替えられる設定があるかも判断材料になる。
STEP2. 既存の会計ソフトとの連携性
AI請求書作成ツールは、既存の会計ソフトや販売管理システムとつなぐことで効果が出ます。API(システム同士をつなぐ仕組み)連携やCSV自動取り込みの有無を最初に確認しておくと、手作業の手間を防げます。
連携性のチェックポイント
- 自社の会計ソフトに標準連携しているか
- 販売管理システムや受注管理ツールと請求データを双方向で受け渡せるか
- CSVインポート・エクスポートに項目マッピング機能があるか
- API連携が有料オプションか標準機能か
- 連携時のエラー通知や差分検知の仕組みが備わっているか
会計ソフトの乗り換え予定がないなら、既存環境と相性のよいツールを優先しましょう。
STEP3. インボイス制度・電子帳簿保存法への対応
2023年開始のインボイス制度と電子帳簿保存法の改正で、請求書の記載事項と保存要件は年々厳しくなっています。要件対応が機能として明記されているかを確認しておきましょう。
1. インボイス制度対応
適格請求書発行事業者の登録番号を自動で挿入し、記載漏れをチェックする機能があるかを確認する。税率別の集計欄も自動計算されるかを見る。
2. 電子帳簿保存法対応
タイムスタンプ付与、検索要件(取引年月日・取引先・金額での検索)、訂正削除履歴の保存が要件を満たしているか確認する。受領した請求書の電子保存に対応しているか、JIIMA認証(日本文書情報マネジメント協会が、法の要件を満たすソフトに付ける認証)があるかも判断材料になる。
3. Peppol電子インボイス対応
普及が見込まれる電子インボイス規格Peppolに対応済みかを確認する。取引先が大手企業や官公庁を含む場合、対応の要否が近い将来問われる。
インボイスの要件は、主要な請求書発行システムが標準機能として備えていることが多いですが、電子帳簿保存法の電子取引データ保存への対応レベルにはばらつきがあります。
STEP4. 料金体系と課金単位の見極め
AI請求書作成ツールの料金は、ユーザー数課金、発行枚数課金、従量課金の3パターンが主流で、自社の請求書発行量によって最適解が変わります。年間の想定枚数で3〜4社を試算比較しておくと、選定を誤りにくくなります。
| 料金体系 | 向いている企業 |
|---|---|
| ユーザー数課金 | 経理担当が少人数で、月の発行枚数は多い企業に向く |
| 発行枚数課金 | 月間の発行枚数が数十〜数百枚に収まる小規模企業に向く |
| 従量課金・混合型 | 季節変動が大きく発行枚数が読みにくい企業に向く |
AI請求書作成におすすめのサービス5選
1. Misoca

Misocaは、弥生株式会社が提供するクラウド請求書ソフトです。過去に発行した請求書からAIが品目や単価をサジェストし、月10通までの発行なら無料で使い続けられる手軽さが特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 無料〜 |
| 特徴 | ①月10通まで永年無料の請求書発行 ②過去請求書からのAIサジェストで下書きを補助 ③弥生会計・freee・マネーフォワードなど主要会計ソフトと自動連携 |
| おすすめ企業 | 月間発行枚数10〜50通程度の個人事業主・小規模法人 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
2. freee請求書

freee請求書は、freee株式会社が提供するfreee会計とfreee人事労務を一気通貫で連携する請求書サービスです。AIによる差し込み補助や自動仕訳連携で、請求から会計処理までのダブル入力をなくします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 無料〜 |
| 特徴 | ①個人向けは基本機能を無料で利用可能 ②AIによる差し込み補助と請求書テンプレート自動生成 ③freee会計との自動仕訳連携で二重入力を防止 |
| おすすめ企業 | freee会計を利用中の中小企業・スタートアップ |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
3. マネーフォワード クラウド請求書

マネーフォワード クラウド請求書は、株式会社マネーフォワードが提供する請求書発行サービスです。会計・給与・経費と同一プランで自動連携し、月末の請求業務から月次決算までを一気通貫でつなぎます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 2,728円〜 |
| 特徴 | ①AI-OCR+生成AIの「請求書アップロード機能」で他社フォーマットの請求書を自動データ化 ②修正内容を学習して読み取り精度が上がるAI学習型設計 ③マネーフォワード クラウド会計と自動仕訳で連携 |
| おすすめ企業 | マネーフォワード クラウドを利用中の中小企業・成長企業 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
4. MakeLeaps

MakeLeapsは、郵送代行に強みを持つクラウド請求書サービス。メール送付とハガキ・封書での郵送代行を1画面から使い分けられ、紙とデジタルが混在する取引先を抱える企業に向いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 無料〜 |
| 特徴 | ①AIが取引先データのCSV項目を自動マッピングし一括登録の負荷を軽減 ②入金情報と請求書をAIが学習・予測して自動消込 ③全プランで郵送代行に対応(1通195円・税抜) |
| おすすめ企業 | 郵送で請求書を送る取引先が残っている中小企業 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
5. Bill One 発行

Misocaは、経理AXサービス「Bill One」の請求書発行モジュールです。受領・発行・経費・入金消込までを1つのプラットフォームに統合し、月次決算のリアルタイム化を目指す中堅〜大企業向けに設計されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 要問い合わせ |
| 特徴 | ①Bill One Bankの取引先別バーチャル口座で入金と請求書を自動照合し入金消込を自動化 ②シリーズ全体でAI自動照合・AI自動起票を展開する経理AXサービス ③メール送付と郵送代行を1画面から一括発行 |
| おすすめ企業 | 発行と受領の両面で経理DXを進めたい中堅・大企業 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
AI請求書作成でよくある4つの質問
── AIが作った請求書は信用できる?
AIが下書きした請求書をそのまま送るのではなく、担当者の確認・承認を挟むのが基本の運用です。導入初期は全件チェックし、修正内容をAIに学習させることで精度が上がっていきます。
AI請求書の信頼性を担保する運用ポイント
- 導入直後の1〜2カ月は担当者が全件確認し、修正内容をAIに学習させる
- 金額異常・登録番号漏れはAIチェック機能で二重に検証する
- 承認ワークフローを2段階以上に設定し、必ず人の目を通す
- 学習用データは自社の過去請求書に限定し、外部データを混ぜない
- 誤発行時のリカバリー手順(訂正請求書の発行・取引先連絡)を事前に取り決める
最初の数カ月は「AIの下書きを人が承認する」フローを崩さず、精度が安定したら例外だけを人が見る設計にすることで、精度と統制のバランスが取れます。
── 取引先に紙の請求書を求められたら?
主要な請求書発行システムは、電子送付と郵送代行の両方に対応しています。取引先ごとに「電子送付」「郵送」を設定しておけば、システム側で自動的に振り分けられ、手動で仕分ける手間はかかりません。郵送代行を選ぶ際に確認しておきたい項目は次のとおりです。
郵送代行で確認しておきたい項目
- 1通あたりの料金
- 差し出し当日の締め時刻
- 送付先住所マスタの管理方法と変更のしやすさ
- 送付履歴の確認画面と再送手続き
- 封筒デザインや同封物の対応可否
たとえばMakeLeapsの郵送代行(1通195円・税抜)で月20通を郵送すると、3,900円(税抜)かかります。ソフトの月額を上回るケースもあるため、郵送費込みの総額で比較しましょう。
── 既存の会計ソフトからのデータ移行は?
取引先マスタ・過去請求書・入金情報を移行するのが一般的で、CSV書き出しに対応した会計ソフトからであれば、短い期間で済みやすくなります。
データ移行の実施手順
- 既存ソフトから取引先マスタ・過去請求書をCSVで書き出す
- 重複や表記ゆれをクレンジングし取引先コードを整理する
- AI請求書作成ツールの取り込みフォーマットに合わせて列名を調整する
- テスト取引先で1件発行し、送付・保管まで通しで動作確認する
移行を成功させるポイントは、過去データを持ち込む範囲を「直近2〜3年分」に絞ることです。全期間を移行するとデータのクレンジングに手間がかかり、AIの学習効果よりデータ整備の負担が大きくなります。
── AI請求書作成に取引先情報を預けても情報漏洩は大丈夫?
主要なAI請求書作成ツールは高いセキュリティ水準をうたうものが多いですが、確認すべきは「認証」「暗号化」「学習データの取り扱い」の3点です。
| 観点 | 確認事項 | 主要ベンダーの実装レベル |
| セキュリティ認証 | ISMS(ISO27001)・SOC2などの第三者認証を取得しているか | 取得している大手SaaSが多い |
| 通信・保存の暗号化 | HTTPS通信と保存データのAES256(広く使われる強度の高い暗号方式)暗号化に対応しているか | 対応しているサービスが多い |
| 学習データの取り扱い | 入力データが他社向けAI学習に転用されないか契約で明示されているか | 約款・利用規約で確かめる |
ChatGPTなどの汎用生成AIに取引先データや金額を直接貼り付けるのは大きなリスクがあります。取引先データが他社向けAI学習に転用されない契約設計を担保できるのが専用のAI請求書作成ツールの利点です。