「また契約書のチェックがたまっている」
「弁護士に全部回すと、費用も日数も足りない」
そこでAI契約書レビューでできることから、実際の導入事例、失敗しない選び方、おすすめサービスまで、自社に合うツールを見極める判断材料を見ていきましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
CONTENTS
AI契約書レビューとは?改善できること
AI契約書レビューとは、契約書のテキストを解析して条項の抜けや不利な文言、法的リスクを自動で指摘する仕組みです。従来は数時間かけていた確認を短時間で終わらせ、担当者ごとに生じていた品質のばらつきや見落としを防げます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 1. AI契約書レビューでできること | 条項の抽出・修正案の提示・リスク判定を自動で行う |
| 2. 従来のリーガルチェックとの違い | 人手の目視から、全条項を走査する自動チェックへ品質が変わる |
| 3. 弁護士法との関係 | 一次チェックは適法とされ、最終判断は人が担う前提で使う |
1. AI契約書レビューでできること
契約書をアップロードすると、AIが条項を1つずつ読み込み、リスクのある文言や抜けている条項を検出し、修正案まで提示します。担当者はAIの指摘を検証して最終判断を下す作業に集中できます。
| できること | 内容 |
|---|---|
| 条項リスクの検知 | 自社に不利な条項や一方的な文言を検知して指摘する |
| 欠落条項の指摘 | 記載が抜けている必須条項をリスト形式で提示する |
| 修正条文案の提示 | 過去の契約や自社のひな形と照らして修正案を出す |
| リスクの見える化 | リスクの高さを色分けやスコアで示す |
2. 従来のリーガルチェックとの違い
目視で条項を1つずつ追う従来のやり方に対し、AIは全条項を網羅的にスキャンします。担当者の経験や集中力に左右されず、見落としも起きにくいのが特徴です。
| 項目 | 従来のリーガルチェック | AI契約書レビュー |
|---|---|---|
| チェック範囲 | 担当者が気づいた箇所を中心に確認する | 全条項を機械的に走査し抜けを検知する |
| 所要時間 | 1件あたり数時間から数日かかる | 一次チェックは短時間で終わる |
| 品質の安定性 | 担当者の知識や体調で差が出る | 同じ基準で一定の品質を保てる |
| 費用 | 弁護士費用が案件ごとに発生する | 月額制が中心。件数の上限がある料金もある |
3. 弁護士法との関係
AI契約書レビューは、契約書のチェックポイントや条項候補を提示する情報提供ツールであり、法律事務の代行にはあたりません。AIの出力は一次チェックと位置づけられており、最終的な締結判断は人が担う前提で使うのが基本です。
安全に使うための前提
- AIの指摘は判断材料であり法律事務の「鑑定」ではないと理解する
- 紛争中の「法律事件」に関する契約は扱わない
- 重要度の高い契約は弁護士のチェックを併用する
- 法務省の考え方に沿った設計のサービスかを確認する
法務省は2023年8月1日に「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」を公表し、基準を示しています。
脱アナログから一元管理まで、
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AI契約書レビューの導入事例3選
CASE1. 英文NDAの審査が約2時間から約10分に

英文NDA1件の審査時間
導入前の悩み
月に約90件発生する契約審査依頼のうち、NDA(秘密保持契約)が約3割を占めていた。定型的な要素が多いNDA(秘密保持契約)に多大な工数を割かれており、取引基本契約や紛争対応など、より複雑でリスクの高い重要案件にリソースを集中させにくい状況だった。
伯東株式会社
導入後の変化
従来、内容の確認から修正案作成までに約2時間要していた、英文NDA(秘密保持契約)の審査が、AIに修正履歴やコメント付きの契約書を出力させることで約10分に短縮……和文・英文を問わず、NDA(秘密保持契約)審査にかかる全体的な工数が従来の約5分の1に削減。
伯東株式会社
現場で起きた主な出来事
- 法務担当者の業務負荷が大幅に軽減した
- NDA(秘密保持契約)の効率化により浮いた時間を、複雑な取引や重要案件の審査に充てることが可能に
※ 伯東株式会社「伯東株式会社の『OLGA AIコンサルティング』支援事例を公開。自社の審査基準(プレイブック)構築と生成AIの活用で、契約レビュー工数を5分の1に削減」2026年8月25日
CASE2. AIで抜け漏れを拾い、レビュー時間を5割ほど短縮

導入前の悩み
導入前はレビュー依頼をメールで受け付け、担当者が目視で審査するという完全にアナログな体制で、担当者の業務レベルにもばらつきがありました。若手が一次レビューを行い、私がダブルチェックして修正点を戻すという手作業のやり取りを繰り返していたため、確認作業に多くの時間を要し、自身の業務に手が回らないことも少なくありませんでした。
法務部 法務課 課長 高野様
導入後の変化
AI契約書レビューツールを導入する以前と以後を比較すると、体感としてかかる時間を5割程度短縮できています。作業工数も大幅に減り、効率化という側面で効果が大ですが、それだけでなく抜け漏れを自動で指摘してもらえる安心感も大きいです。
法務部 法務課 課長 高野様
現場で起きた主な出来事
- 導入後は、レビュー依頼があった場合には必ずAIチェックを行うルールを定めた
- 目視確認では明らかな誤りには気づけても、条項の抜けには気づきにくい。その点をAIが一律で拾い上げてくれる安心感は大きかった
- AI Reviseでは契約書の文脈に合わせた修正文を提案してくれる。これにより修正文作成の時間が短縮され、効率的なレビューができるようになった
※ 株式会社ロッテ「株式会社ロッテ | LegalOn(リーガルオン)導入事例」2025年12月12日
CASE3. 月160件の審査依頼を、メールから自動で一元管理

導入前の悩み
契約審査は人により品質のばらつきが生じる業務だと感じていた。ばらつきを解消するためにチェックシートの作成などで対処を検討するも、リソース不足で実行に至らず。
株式会社フージャースホールディングス
導入後の変化
「案件管理」を活用し、月160件の契約審査依頼に効率よく対応できるようになった。メールで依頼された案件が自動的にLegalForceの中に蓄積され、審査依頼の一元管理が実現。
株式会社フージャースホールディングス
現場で起きた主な出来事
- 「LegalForce」の結果画面に表示される「サンプル条文・関連情報」を活用することで、契約書修正依頼に必要な法的根拠が1クリックで見つけられ、リサーチ時間が大幅に短縮
- 法務担当者の能力向上を実感。自動レビュー後に表示される関連情報が学習に役立っており、仮説・根拠を持った合理的な契約審査を行えるように
AI契約書レビューの選び方4ステップ
STEP1. 契約類型別の対応可否を比較
AIは学習した契約類型ほど指摘の精度が上がるため、自社が実際に扱う契約に対応しているかが使い勝手を左右します。汎用性の高いNDAや業務委託契約は多くのツールで精度が高い一方、ライセンスや共同開発、医療・治験系の専門契約は対応にばらつきがあります。
| 確認する観点 | 見るポイント |
|---|---|
| 頻出する国内契約 | NDAや業務委託、売買、賃貸借など主要な契約に対応するか |
| 専門性の高い契約 | 業界特有の契約や自社のひな形にどこまで対応するか |
| 英文・海外契約 | 海外取引がある場合、英文契約のレビューに対応するか |
| 対応類型の数と精度 | 対応する契約類型の数と、各類型での指摘精度を試して確かめる |
また、海外取引があるなら、英文契約への対応は必ず確認しておきたい観点です。日本語のみに対応するツールと、英文契約まで対応するツールでは、料金も精度も大きく異なります。
自社が扱う契約の8割以上を目安に、カバーできるか確認しましょう。
STEP2. 指摘の精度を確かめる
AIがどれだけ正確に問題点を拾えるかは、実際に自社の契約書を読ませて確かめるのが一番です。
精度のチェックポイント
- 自社が扱う契約類型で、指摘の抜けや誤りが少ないか
- 重要なリスクを見落とさずに拾えているか
- 的外れな指摘(ノイズ)が多すぎないか
- 無料トライアルで自社の契約書を試せるか
見落としや的外れな指摘が少ないかを、無料トライアルで試してから選びましょう。短期のトライアルでは差が見えにくいため、1カ月ほどを目安に、実運用で確かめると差がわかりやすくなります。
STEP3. 指摘の根拠が示されるか確認する
最終判断をするためには、AIがなぜそう指摘するのかの裏付けが要ります。レビュー後に条文や自社基準など根拠が示されるかを確認します。
根拠のチェックポイント
- 指摘に、条文名や自社基準などの根拠が併記されるか
- 指摘の重要度が高い順に整理して表示されるか
- 指摘の理由が、法務に不慣れでも読んで理解できるか
STEP4. 情報セキュリティのチェックをする
契約書には取引条件や価格、取引先の秘密情報が詰まっており、多くはNDAで第三者に開示しない義務を負っています。そのデータが外部に出れば、取引先との守秘義務違反になり、信用も大きく損ないます。入力データを学習に使わないと明記しているかは契約前に必ず確認します。
1. 学習利用の有無
入力した契約書をAIの学習データに使わないと、規約や公式資料で明記しているかを確認します。
2. 保管場所と暗号化
データがどこの拠点に保管され、通信と保存が暗号化されているかを確認します。
3. 認証とアクセス管理
ISMSやSOC2などの第三者認証、閲覧できる担当者を絞る権限設定の有無を確認します。
AI契約書レビューにおすすめのサービス3種
1. 審査の質を最優先する本格型

契約書のレビュー精度と修正提案を主軸に据えた、リーガルテック専業ベンダーの本格ツールです。契約類型の網羅性や指摘の根拠に強く、審査の質を安定させたい企業に向いています。
| サービス名 | 料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| LegalOn Cloud | 要問い合わせ | 契約類型カバレッジの広さと、自社基準をルール化する「プレイブック」が強み。レビュー、電子契約、締結後の管理まで担う |
| MNTSQ | 要問い合わせ | 過去契約や合意実績を学習して、自社基準で条項を分析。Wordアドインで条項ごとに過去ナレッジを提案し、論点整理まで支援 |
| OLGA | 要問い合わせ | 表記ゆれや条番号の自動修正に加え、修正履歴とコメント付きのWordファイルを生成できる。ツール提供だけでなく、法務業務の設計を伴走する「AIコンサルティング」あり |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
2. Wordで手軽に始める現場導入型

使い慣れたWord上で動き、少人数から低負担で始められるツールです。新しい画面を覚える手間が小さく、現場の担当者がすぐ使い始められます。
| サービス名 | 料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| BoostDraft | 要問い合わせ | AIが定義語のずれや参照条文の誤り、表記ゆれ、条番号のずれといった形式面の検出に特化。動作が軽快で初期費用なしで1名から月額で導入可能 |
| LeCHECK | 要問い合わせ | 弁護士監修のレビューを中小企業でも導入しやすい価格帯で提供。和文だけでなく英文契約にも対応 |
| LawFlow | 無料〜 | 弁護士開発の法務AI。秘密保持契約や業務委託など43類型に対応し、Wordのドラッグ&ドロップで抜け漏れ検出から一括編集まで行える |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
3. 電子契約・バックオフィス連携型

電子契約や会計など、すでに使っているバックオフィスSaaSと同じ基盤でレビューまで扱えるツールです。締結や保管の仕組みに審査を組み込みたい企業や、電子契約とまとめて使いたい場合に向いています。
| サービス名 | 料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー | 要問い合わせ | 弁護士監修のAIが契約書をチェック。「マネーフォワード クラウド」の会計・契約シリーズと連携し、締結や管理まで一続きで扱える |
| CloudSign Review | 要問い合わせ | クラウドサインと一体で締結まで扱える。自社ひな形の登録や契約書の新旧比較にも対応し、修正案は根拠も提示される |
| Hubble | 要問い合わせ | 自社のひな形や過去契約などのナレッジを踏まえ、難しい契約の要約、外国語契約の翻訳まで支援。契約書のバージョン管理と履歴共有に強い |
| GMOサイン契約レビューパック | 要問い合わせ | GMOサインで契約書作成から締結、締結後の文書管理までを一続きで扱う。AIが契約書のリスクや不備を素早くチェックする |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
AI契約書レビューでよくある4つの質問
── 導入費用の相場は?
AI契約書レビューの料金は各社とも要問い合わせが中心でサービスと利用規模で幅があります。一般的な目安は次のとおりです。
| タイプ | 料金相場 | 詳細 |
|---|---|---|
| Wordで手軽に始める現場導入型 | 1名あたり月数千〜1万円台 | 初期費用なしで小さく始めやすい |
| 審査の質を最優先する本格型 | 月数万〜数十万円台の年間契約が中心 | 法務部門向けで機能が多く高め |
| 電子契約・バックオフィス連携型 | 要問い合わせが中心 | 電子契約の基本料金に、レビュー機能分の費用が上乗せされる形 |
料金はID数、AIチェック件数、対応言語(日英)、ひな型学習・カスタマイズ支援の有無などでも変動します。
── 顧問弁護士は不要になる?
顧問弁護士が不要になるわけではありません。AIと弁護士は役割が違います。
AIと弁護士の役割分担
- 定型契約や一次チェックはAIが短時間でこなす
- リスクの高い重要案件は弁護士が最終判断する
- AIの指摘を持って相談すれば弁護士への説明が早くなる
定型はAI、重要案件は弁護士という線引きをしておくと、費用と品質の両立がしやすくなります。
── AIのチェックはどこまで信用できる?
AIレビューは、契約類型に応じて得意領域と人間の判断が必要な領域に分かれます。
| AIが高精度でチェックできる領域 | 人間の最終判断が必要な領域 |
|---|---|
| 反社条項・損害賠償の上限・準拠法などの定型条項 | 業界特有の商慣行が絡む取引スキーム |
| 自社ひな型からの乖離や表現の不整合 | 複雑なM&A契約や組織再編 |
| 契約書全体の抜け漏れ確認 | 訴訟リスクを踏まえた条項の書きぶり |
定型条項の抜け漏れ検出や不整合はAIが最も得意とする領域で精度が高いです。一方、業界特有の商慣行が絡む取引スキームや複雑な契約はAIの指摘だけで判断せず、法務担当者や弁護士が最終確認する運用が前提です。
── 弁護士法72条に抵触しない?
現在提供されている主要なAI契約書レビューは、抵触しないよう設計されています。2023年8月に法務省が弁護士法72条(非弁行為)との関係を整理したガイドラインを公表し、AIはあくまで補助的な情報提供にとどまる設計であれば問題ないとされました。
具体的には「契約に紛争性がない通常の締結業務であればサービス提供は弁護士法72条に抵触しない」「最終的な判断を利用者や弁護士が行うこと」と整理されています。各社はあくまで契約審査を「支援」する道具としてサービスを提供しています。個別の紛争対応や法律相談の代わりにはならない点は理解しておきましょう。