「急な欠勤が出るたびに人員調整に時間をとられる」
「差配できる人が限られていて休みがとりにくい」
そこで自動差配で改善できることから、他社の導入事例、自社に合うツールの選び方、おすすめサービス、よくある質問まで、差配を仕組みで回すための手がかりを1つずつ見ていきましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
CONTENTS
自動差配システムとは?改善できること
自動差配とは、案件の内容や場所、作業員の資格、移動時間などの条件を突き合わせ、誰をどの現場に何時に向かわせるかをシステムが導き出す仕組みです。ホワイトボードやExcelで担当者の経験に頼ってきた割り振りを、ルールとしてシステムに移せます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 1. 属人化した割振り | 案件と作業員の組み合わせをデータで再現し、特定の担当者に頼らない体制へ移る |
| 2. 急な変動対応 | 欠勤や飛び込み案件が入っても全体を組み直し、影響を最小限に抑える |
| 3. 稼働と原価の可視化 | 誰がどこで何時間働いたかが残り、案件別の粗利や作業員別の稼働率を把握できる |
1. 属人化した割振りをデータに置き換える
これまでの割り振りは、「あの現場にはあの人」という差配担当者の記憶に支えられてきました。自動差配では、案件の条件と作業員のスキルや資格、移動距離を登録しておき、システムが候補を示します。割り振りの判断基準がシステムに残っていれば、担当者が休んでも部署は止まりません。
属人化した割振りで起きやすい問題
- 資格や工具の有無を担当者が頭の中で照合しており、引き継げない
- 顧客との相性や過去のクレームを、担当者の記憶だけで避けている
- ベテランが辞めるたびに、割り振りの質が数カ月にわたって落ちる
- 担当者が休むと差配に支障が出る
2. 急な変更をその場で組み直す
朝の欠勤連絡や当日の飛び込み案件は、担当者が手元の作業を止めてExcelを組み直す原因になっていました。自動差配では、欠員や新しい案件を入力すると全体を再計算し、影響を受ける作業員と顧客へ通知できます。担当者が事務所に張り付く時間が減り、段取りや安全確認に手を回せるようになります。
当日の変更が入ったときの流れ
- 欠勤・追加案件・現場遅延などをシステムに入力する
- スキルや移動距離、作業時間をもとに再計算し、代わりの候補が示される
- 担当者は候補を承認するだけで、対象の作業員と顧客に通知が飛ぶ
担当者が一から組み直す必要はなく、示された候補を確認するだけになります。
3. 稼働と原価を可視化し経営判断に生かす
手作業での割り振りは、その日が終われば記録が残りません。自動差配なら割り振りの結果が毎日蓄積され、誰がどこで何時間働いたかを案件別、作業員別に確認できます。作業時間の短縮だけでなく、経営の数字を読むことにつながります。
| 項目 | 手作業の割振り | 自動差配 |
|---|---|---|
| 朝の割振り | 担当者が事務所で組む(一例として1〜2時間) | システムが案を出し、担当者は承認と調整に集中 |
| 当日変動への対応 | 個別に調整し、影響範囲も人が追う | 再計算から通知まで自動化し、影響範囲をシステムが把握 |
| 担当者不在時 | 代わりの人が組めず、業務が止まる | 誰が担当しても同じ水準で組める |
| データの残り方 | その日限りで消え、振り返りに使えない | 案件別・作業員別に蓄積し、原価や稼働率の分析に使える |
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自動差配で属人化を解消した導入事例3選
CASE1. 夜まで紙で組んでいた差配を、ドラッグ&ドロップに

事務管理 卜部様
導入前の悩み
特に案件の差配業務に多くの時間がかかっており、ここをなんとか自動化できないかと……以前は案件の差配業務を営業時間後に紙で行っていたので、夜遅くまで作業をする日も珍しくありませんでした。
事務管理 卜部様
導入後の変化
ドロップ&ドラッグだけでカレンダー上のスケジュールを動かせる差配機能のおかげで、今では残業時間をかなり短くできています。また、担当者が現場に到着したか、仕事が完了したかどうかもプロワンから簡単に確認できるので、現場に確認の電話をする必要がなくなりとても助かってます。
事務管理 卜部様

現場で起きた主な出来事
- プロワンで業務効率化が進み、他のことにかけられる時間ができた
- プロワンでは必要な情報をすべて一元管理できるので、転記作業や集計作業がほとんどなくなった
- 電話番号から顧客を検索して、お客様の現在のステータスや対応履歴をすぐに確認できるので、電話口での対応がスムーズになった
CASE2. 担当者の手配と訪問ルートを、システムが自動で組む形に

導入前の悩み
旧システムにおいて、顧客の依頼は1件ごとに帳票として管理されており、作業担当者は帳票を紙に印刷して内容や手順などを把握し、その日に訪問する現場の場所や訪問ルートなどを自分で準備していた……もし、予定外の訪問が必要になった場合には、拠点の管理担当者が現場の作業担当者に、都度、電話で対応可能かどうかなどの確認を行っていた。
関西電力送配電株式会社
導入後の変化
顧客の依頼を基に、Salesforce Field Serviceが自動で作業担当者を手配し、スマートフォンでその情報が管理者と共有される。訪問先の場所に合わせた訪問ルートもシステムによって組まれ、作業員のスマートフォンへ作業ルートや地図情報が連携される。
関西電力送配電株式会社
現場で起きた主な出来事
- 自動ディスパッチが不適切だった場合の手動での担当替えや、何らかの理由で欠員が出た場合の調整なども、システム上で非常に簡単に行えるようになった
- 作業担当者は拠点に戻る必要がなくなり、直行直帰も可能になっている
- 紙による帳票持ち出しが大幅に削減されたことによるセキュリティリスクの軽減など、複数のメリットが生まれているという
※ 関西電力送配電株式会社「関西電力送配電、『スクラッチが当たり前』の慣習を破り、検針等の業務管理システムをSalesforce Field Serviceで刷新」2023年12月6日
CASE3. AIが作る訪問スケジュールで、割り当てが1時間程に

導入前の悩み
「ZEST」導入前は、ホワイトボードや紙で訪問スケジュールを作成していました。1カ月単位で作成していましたが、日々の変更が多く、作成した内容を頻繁に修正する必要があり、その都度、ホワイトボード上の予定を動かしたり、紙に書いた予定を消しゴムで消して修正するため、抜け漏れなどのミスが発生しやすくなっていました。
公益社団法人 静岡県看護協会
導入後の変化
「ZEST」導入後は、シフト調整や割り当ては1時間程で完了し、特に当日の変更があった場合は朝の調整が大変でしたが、今では5〜10分程度少し調整するだけで完了するようになりました。また、「ZEST」の機能の中には提供票と同じ形式の画面表示があるため、毎月のサービス提供内容のチェックがしやすくなり、訪問の抜け漏れがなくなりました。
公益社団法人 静岡県看護協会
現場で起きた主な出来事
- 訪問看護師の頭の中でしかできなかった細かく複雑な利用者訪問調整が、今回のZEST導入により、効率的にかつ的確なスケジュールが短時間で作成され、しかも調整ミスも少なくなっている
- 実際に、我々も今では紙での管理に戻るのは想像できないほど、我々の業務になくてはならない存在になっている
自動差配システムの選び方4ステップ
STEP1. 自社の変動要因を洗い出す
導入で最初に取りかかるべきは、日々の割り振りが何によって崩れているのかを整理することです。欠勤や飛び込み案件、現場の遅れ、資格の不一致など、組み直しのきっかけを頻度と影響の大きさで並べておくと、ツール選定で確かめるべき機能がはっきりします。
変動要因の洗い出しチェックポイント
- 直近3カ月の組み直しの回数と、1回あたりにかかった時間
- 欠勤、飛び込み、遅れ、資格の不一致について、それぞれの頻度と影響範囲
- 顧客との相性やクレーム履歴など、ベテランだけが知っている事情
- 季節や繁忙期に特有の変動などの年間の予定
STEP2. 資格やスキルの設定を確認する
割り振りの精度は、案件と作業員それぞれにどれだけ細かく条件を登録できるかで決まります。確認ポイントは以下です。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 案件の条件 | 必要な資格、対応機種、必要人数、作業時間の目安、希望日時を登録できるか |
| 作業員の条件 | 保有資格、対応機種、経験年数、担当エリア、勤務可能な時間帯を登録できるか |
| 独自の条件 | 顧客ごとのNG作業員など、自社特有の条件を項目として追加できるか |
| 優先順位 | どの条件を重視して割り当てるかを調整できるか |
| 割り当て不可の理由 | 条件に合う作業員がいないとき、原因を画面で確認できるか |
合う作業員が見つからないときに、原因を画面で確認できるかも見ておくと運用で困りません。
STEP3. 既存システムとの連携ができるか
自動差配ツールは、単独で使うより既存システムとつないだほうが効果が出ます。自動差配で使う作業員・資格・案件の情報を既存のExcelやシステムと連携できるかを確かめておきましょう。
1. API連携で確認する項目
顧客管理や工事管理のシステムと即時に連携できるか、連携できるSaaSの一覧が公開されているかを確認します。案件情報が自動で同期されれば、割り振り担当者は入力作業から離れられます。
2. CSV連携で確認する項目
CSVの取り込みと書き出しで運用する場合、項目の対応づけをどう設定するかを確認します。また、同期の方式が、今の業務の流れに合うかどうかを見極めましょう。
3. 初期データの登録で確認する項目
作業員のスキルや保有資格、車両情報を最初に登録する作業を、ベンダーがどこまで手伝ってくれるかを確認します。導入支援の標準プランの内容と、追加でかかる費用の内訳は書面で受け取っておくと安心です。
STEP4. 現場スタッフが使いこなせるか
割り振りの結果を受け取るのは、事務所ではなく現場に出ている作業員です。すぐに行き先と作業内容がわかるかなど、現場側の使い勝手が定着を左右します。確認しておきたいポイントは以下のとおりです。
使い勝手のチェックポイント
- 当日の案件と時間軸が一画面に収まるか
- 案件詳細にワンタップでたどり着けるか
- 電波の届きにくい現場でもオフライン閲覧が可能か
- 変更通知の既読・未読が事務所側から把握できるか
作業員のITリテラシーに幅がある現場は、単純な画面構成の製品が根づきやすい傾向にあります。
カテゴリ別おすすめの自動差配システム7選
1. フィールドサービス

案件の場所や内容と作業員のスキル・移動時間をもとに、システムが担当者の割り当てと訪問ルートまで自動で組むタイプです。毎日複数の現場に作業員を振り分けている会社に向いています。1ユーザーごとの課金が中心のため、差配担当者と作業員の人数で月額を試算してから比較しましょう。
| サービス名 | 月額料金(1名あたり・税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| CSOne | 8,800円〜 | 位置・スキル・移動時間から最適な作業員と訪問日時を自動で割り当てる。初期費用0円で3IDから契約できる |
| Dynamics 365 Field Service | 17,316円〜 | 作業指示、リソーススケジュール、資産管理、現場向けアプリを備える。リソーススケジュール最適化機能は有料アドインで追加が必要 |
| Salesforce Field Service | 23,100円〜 | スキルや距離、空き時間などから最適な担当者を自動で割り当て。オフラインでも使えるモバイルアプリを備える |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
2. シフト・勤務スケジュール自動作成

スキル・資格・勤務条件・希望などの条件を登録しておくと、シフトや勤務表をシステムが自動で作るタイプです。有資格者の配置や夜勤の連続を避けるといった条件設定ができます。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| 勤務シフト作成お助けマン | 13,750円〜 | 有資格者の配置やライン別の必要人数、夜勤の並びなどの条件から勤務表を自動作成する。2カ月無料で試せる |
| スキルパズル | 33,000円〜 | スキル・資格・勤務条件・人間関係を踏まえ、AIがシフトと人員配置を支援する。別途利用人数に応じた初期費用が必要 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
3. 配置調整サポート

完全に自動で差配できるわけではありませんが、手動配置の負担をできるだけ減らす支援機能を備えたタイプです。候補者の絞り込みを自動化したり、ダブルブッキングや違法配置をアラートで防ぎ、スムーズに差配を行える状態を作ります。まず、現状の差配を楽にしたい会社に向いています。
| サービス名 | 月額料金(1名あたり・税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| ビルドスケール | 要問い合わせ | 技術者の空き状況を自動で抽出し、受注可否をシミュレーションしながら配置を組める。自社技術者と協力会社の配置・稼働もリアルタイムに共有、工事経歴も自動で集計・蓄積する |
| JCC要員配置 | 要問い合わせ | 保有資格と他工事の配置状況から技術者を絞り込み、案件別・要員別の配置一覧も確認できる。監理技術者の配置漏れなど違法配置もチェック可能 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
自動差配でよくある質問
── 中小規模でも投資回収できるか?
回収できるかどうかは、割り振りにかけている毎月の作業時間と、当日の変更対応で生じる残業や組み直しの手間をどれだけ減らせるかで決まります。下の表の数字は一例です。
| 効果指標 | 導入前の例 | 導入後の目安 |
|---|---|---|
| 割振り担当の月次工数 | 60〜80時間 | 20〜40時間 |
| 当日変動時の再組立時間 | 1回あたり40分 | 1回あたり数分〜10分 |
| 属人化リスク | 担当者不在で業務停止 | 後任・複数人での運用が可能 |
一例として試算すると、月80時間かかっている割り振り業務を半分にでき、1時間あたりの人件費が約4000円の場合、年間で約190万円分の時間が浮きます。
作業時間の削減に加え、担当者の退職による影響や現場の残業が減る効果も含めて考えれば、作業員10〜30人規模の会社でも、投資を回収できる見込みが立ちやすくなります。
── 自動差配を入れても人の判断は必要?
必要です。特に以下のような数値にしにくい要素は、人が判断する領域として残ります。
数値化しにくい要素
- 顧客との関係性や過去のやり取り
- 作業員の体調や当日の状況
- 緊急度の重み付けや例外的な依頼
システムが担うのは候補の抽出と組み合わせの計算で、最終的な確認と承認は差配担当者が行います。
── 最初のデータ登録にかかる期間は?
作業員や案件の情報をそろえて登録する作業は、導入時につまずきやすい工程です。最初から完璧に動かそうとせず、データを整える期間と試しに運用する期間をあらかじめ予定に組み込んでおきましょう。
データ整備の進め方
- 作業員名簿と保有資格・スキル・勤務可能時間を整理する
- 現場までの移動時間など、割り振りの前提となる条件を洗い出す
- 作業の種類ごとに、標準の作業時間と必要なスキルをひな形にまとめる
- 顧客情報と、これまでどの作業員が担当してきたかの履歴を結びつける
- 1〜3カ月の試行運用を経て本番切り替えの判断を行う
必要な期間は、ベンダーの導入支援がどこまで手厚いかによっても大きく変わります。
── 現場が反発しないか?
反発の多くは、システムが勝手にすべてを決めてしまうという誤解から生まれます。実際には、割り振りの案をシステムが出し、担当者が確認して決める形で運用するのが一般的です。
現場反発を減らす運用ポイント
- 最終的に決めるのは担当者だと社内ルールに明記する
- 顧客との相性や組ませてはいけない作業員の組み合わせなど、ベテランの知識を条件として登録する
- 最初は、システムの案と手作業の案を並べて運用し、現場が違いを確かめられるようにする
- 割り振りの変更履歴を全員が見られる形で残し、担当者ごとの情報の差をなくす