プロパティマネジメントシステムとは?PM業務を効率化する選び方とおすすめ6選

「月末はオーナー報告書の作成に追われる」
「担当者が休むと詳細がわからない」

そこでプロパティマネジメントシステムでできることから他社の導入事例、自社に合った製品の選び方、おすすめサービスの比較まで、PM業務を効率化する具体的なロードマップを見ていきましょう。

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プロパティマネジメントシステムとは?3つのポイント

プロパティマネジメントシステムとは、契約や入出金、修繕の手配、オーナー報告までを一元管理し、管理会社の定型業務を自動化するシステムです。これまで別々に処理していた業務をまとめて扱えるようになり、特に次の3点で効果が出ます。

項目詳細
1. 賃料請求・入金管理の自動化請求書の発行から入金消込、滞納督促までをシステムが一括処理する
2. テナント・物件情報の一元管理契約内容、対応履歴、修繕記録を物件・テナント単位でまとめて管理できる
3. オーナー向けPMレポートの自動生成月次の収支報告書や稼働率レポートをボタン1つで出力する

1. 賃料請求・入金管理の自動化

従来のPM業務では、物件ごとにExcelで請求書を手作りし、入金も通帳と見比べて確認していました。PMシステムを使えば、契約情報から請求データを自動で作成し、入金データとの照合まで任せられ、人が目を通すのは、名義違いや金額のずれといった例外が中心になります。

業務Excel・手作業の場合PMシステム導入後
請求書の作成物件ごとにファイルを開いて手入力契約データから一括で自動発行
入金消込通帳とExcelを突き合わせて1件ずつ消し込む口座データを取り込んで自動照合
滞納管理未入金を目視で拾い、電話や郵送で個別に督促未入金を自動で検出し、督促状や通知メールを一括送付
オーナー送金管理料を差し引いた金額を計算し、振込を手配管理料の控除と送金データの作成を自動処理

目視の突き合わせがなくなる分、入居者へ誤った督促連絡を送ってしまうなどのリスクも抑えられます。

2. テナント・物件情報の一元管理

契約書や対応履歴、修繕記録が別々に管理されていると探すのに手間がかかり、また、担当者の不在時には答えられません。PMシステムなら、物件やテナントごとにすべての情報をひも付け、1つの画面で確認できます。

一元管理できる情報の例

  • 賃貸借契約の内容(賃料、共益費、契約期間、更新条件)
  • テナントからの問い合わせ・クレームの対応履歴
  • 設備点検・修繕の実施日と費用、業者の連絡先
  • 空室情報と入居募集の進み具合
  • オーナーへの連絡履歴と承認済み事項

情報が1カ所にそろえば、誰が問い合わせを受けてもその場で答えられるようになります。

3. オーナー向けPMレポートの自動生成

毎月のオーナー報告は、物件ごとの賃料収入、管理費支出、修繕費用を集計し、入居率や滞納状況を添えてレポートにまとめる必要があります。PM業務の中で時間がかかる作業の一つです。PMシステムでは、日々のデータをもとに月次レポートをすぐに出力できます。

PMレポートに含まれる主な項目

  • 月次収支サマリー(賃料収入、管理費、修繕費、オーナー送金額)
  • 入居率・空室率の推移グラフ
  • 滞納状況と回収見込みの一覧
  • 修繕・メンテナンスの実施報告と今後の予定
  • テナント対応のサマリーと特記事項

オーナー向けアプリと連携できる製品を選べば、郵送費や封入の手間も省けます。

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PMシステムの導入に成功した事例2選

CASE1. 10万戸超の賃貸管理をクラウドの基幹システムへ移行

株式会社いい生活のプレスリリース『ビレッジハウス・マネジメントが賃貸管理システムを採用し本格運用を開始』の画面
ビレッジハウス・マネジメント株式会社(賃貸住宅の運営・管理)

導入前の悩み

ビレッジハウス・マネジメントでは、2019年から顧客情報基盤の構築を目的としてSalesforceを導入……かねてより、オンプレミス型の賃貸管理システムを利用されていました。

ビレッジハウス・マネジメント株式会社

導入後の変化

いい生活の「いい生活賃貸管理クラウド」の導入に至り、テスト運用を経て、この度、本格運用開始となりました……物件情報や顧客情報、契約更新履歴ならびに入出金情報を、CRMの顧客情報や会計システムとシームレスに連携することで、情報分析基盤との連携も進めています。

ビレッジハウス・マネジメント株式会社

※ ビレッジハウス・マネジメント株式会社「ビレッジハウス・マネジメント株式会社がいい生活の賃貸管理システムを業務基幹システムとして採用し本格運用を開始」2024年11月6日

CASE2. 会計ソフトと連動し、翌月3日ごろに試算表が届く形に

プロパティワコー株式会社の取り組みを紹介した出典ページの画面
プロパティワコー株式会社(賃貸管理・売買仲介)

導入前の悩み

オーナー様への送金業務は、1人の社員がほぼすべてを担当していました……他のスタッフのパソコンでは、当時の管理システムは動かなかったので、必然的にその担当者しか情報を見ず、結果として、その人しか送金の仕事ができないという状況につながっていたと思います。

代表取締役 齋藤様

導入後の変化

お金が絡む業務をすべて「いい生活賃貸管理クラウド」上でやると決め、会計ソフトと連動させたことで、会計データが一か所に集約されました……おかげで今では、月末に「いい生活賃貸管理クラウド」のデータを会計ソフトに取り込み、翌月の3日くらいまでには、95〜98%程度の精度の試算表が手元に届くようになっています。

代表取締役 齋藤様

現場で起きた主な出来事

  • 月末の残業が当たり前だった経理担当者が定時で帰宅できるようになった
  • 経理担当者の業務負担が減ったことで、それまでは営業がやっていた事務的な作業を割り振れるようになった
  • 管理料、工事費、仲介手数料などすべてのデータを……確認できるので、わざわざ元帳を確認することもなくなった

※ プロパティワコー株式会社「カスタマイズ型からクラウドSaaS型システムへの切り替え事例!会計システムとも連動させ、業務効率の大幅アップを実現!」2023年7月10日

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中小管理会社向けPMシステムの選び方4ステップ

STEP1. 管理規模に合った料金体系

料金の決まり方は、おおむね次の3タイプに分かれます。自社の管理規模に合うものを選びましょう。

料金体系仕組み向いている会社
区画数・戸数連動型登録できる戸数の上限ごとに月額が上がる数百戸規模で小さく始めたい会社
台数・ライセンス型利用するPCやユーザーの数で費用が決まる戸数を急拡大させる予定の会社
法人単位の定額型初期設定料と法人ごとの月額で契約複数店舗で全社的に使う会社

戸数を増やす計画があるなら、目標とする管理戸数に達したときの費用まで見積もりを取っておくと、数年後の予算で慌てずに済みます。

STEP2. 銀行データや会計ソフトとの連携

入金消込やオーナー送金、経理処理は、銀行の明細と会計ソフトのあいだで転記作業が発生しやすく、手間のかかる作業です。入金明細の自動取り込みと会計ソフトへの仕訳連携があるか、自社の取引銀行と会計ソフトで試して確かめましょう。

1. 銀行の入金データ取り込み

ネットバンキングの入金明細を自動連携やCSVで取り込み、契約ごとの請求額と照合できるかを確認します。取引銀行への対応に加え、契約者名と異なる名義の入金を手動でひも付けられるかも見ておきたい点です。

2. 口座振替・収納代行との連携

家賃を口座振替で回収しているなら、振替依頼データの作成から結果の取り込みまでをシステム内で完結できるかが要点です。収納代行会社や家賃保証会社とデータをやり取りできる製品なら、未入金もすぐに把握できます。

3. 会計ソフトへの仕訳データ出力

入出金やオーナー送金の記録を、自社の会計ソフトが読み込める形式で出力できるかを確かめます。仕訳の二重入力がなくなれば、月次決算の手間と転記ミスをまとめて減らせます。

STEP3. 自社業務との機能の合致度

PMシステムが備える機能は製品ごとに異なります。賃料請求、入金消込、オーナー報告だけで足りる会社もあれば、修繕管理やテナント募集との連携まで必要な会社もあります。使わない機能が多い製品は操作が複雑になるため、自社の業務フローに合うかを見極めましょう。

機能のチェックポイント

  • 賃料請求書の自動作成と入金消込が標準で使えるか
  • オーナー向け月次PMレポートを自動生成できるか
  • 契約更新・退去精算の事務処理に対応しているか
  • 修繕の発注から進捗管理まで一気通貫で扱えるか
  • 仲介会社へ空室情報を自動で連携できるか

STEP4. 操作画面のわかりやすさ

システムを使うのは現場のPM担当者です。ITに不慣れなベテラン社員でも迷わず操作できるかどうかを以下のポイントでチェックします。

操作性のチェックポイント

  • 物件一覧からワンクリックで契約情報を開けるか
  • 入金消込の画面で未入金・入金済みが一目でわかるか
  • マニュアルを見なくても基本操作が直感的にできるか
  • 操作に困ったときに電話やチャットですぐ問い合わせられるか
  • スマホやタブレットからでもデータを確認できるか

無料トライアルを活用して、実際の操作感を試すことをおすすめします。

PMシステムにおすすめのサービス6選

1. 賃貸管理に特化したクラウド型

ReDocSの公式サイトの画面
ReDocS

賃料請求・入金管理・オーナー報告など、PM業務に必要な機能だけをコンパクトにまとめたクラウドシステムです。導入費用と月額費用をおさえたい中小管理会社に向いています。

サービス名初期費用月額料金(税込)特徴
ReDocS54,780円3,278円〜機能を厳選し、誰でも操作できる簡素な画面づくりが特徴。100区画までの最安プランから始め、戸数の増加に合わせて段階的にプランを切り替えられる
SimpleUp109,780円5,478円〜地域密着型の中小管理会社向け。管理件数100〜1,000件の段階料金で、収支報告や入金消込の自動化に対応
SP-II110,000円11,000円〜登録戸数に応じた料金のクラウド型で、1,000戸未満の管理会社に向く。台帳管理から契約、請求・入金、問い合わせや修繕の管理、分析レポートの出力を備え、標準帳票は100種類以上

※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点

2. 仲介・管理を一体化した総合プラットフォーム

賃貸革命の公式サイトの画面
賃貸革命

物件の募集・仲介から契約管理・賃料回収・オーナー報告までを1つのシステムでカバーする総合型です。仲介部門と管理部門の両方を持つ不動産会社や、今後リーシング業務も内製化したい会社に適しています。

サービス名月額料金(税込)特徴
賃貸革命要問い合わせ募集から契約・家賃管理・修繕までをワンストップで扱い、ポータルサイトへの一括入稿や電子契約にも対応。全国28拠点のサポート体制あり
いえらぶCLOUD要問い合わせ賃貸・売買の仲介業務から管理業務までを1つでカバーするクラウド型の不動産業務システム。賃貸管理・巡回管理・オーナーアプリ・電子契約まで同じ基盤で使える。開業向けパックもあり

※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点

3. オフィス・商業施設など事業用物件向け

@プロパティの公式サイトの画面
@プロパティ

オフィスビルや商業施設、テナントビルなど事業用不動産のPM業務に対応するシステムです。面積管理や収支の予実管理、ビル管理まで扱えるため、住宅の賃貸管理にとどまらず、オフィスや店舗を含めた資産全体を1つの画面で見たい会社に向いています。

サービス名月額料金(税込)特徴
@プロパティ要問い合わせ不動産や施設の運用管理を支える統合資産管理のクラウドサービス。契約・請求・入金管理から収支の予実管理、ビル管理、複数物件のポートフォリオ分析まで1つのシステムで扱える

※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点

PMシステムでよくある4つの質問

── 導入費用の相場はどのくらい?

料金を公開しているクラウド型3製品では、最安プランが月額3278円〜1万1000円(税込)です(2026年9月時点)。いずれも戸数が増えると上のプランに切り替わるため、自社の管理戸数で見積もりを取って比べると確実です。月額費用以外にも、以下の点をチェックしましょう。

料金体系のチェックポイント

  • 導入費やデータ移行費を含む初期費用が予算内に収まるか
  • 管理戸数の増減に合わせて月額費用が変わるか
  • オーナー報告書やテナントへの通知など、基本機能が標準プランに含まれるか
  • 年間一括払いや月払いなど、契約の縛りが自社に合っているか

── 導入から運用開始まで何カ月かかる?

クラウド型であれば、契約から本稼働まで1〜3カ月が目安です。

工程期間の目安主な作業
契約・初期設定1〜2週間物件マスタや口座情報の登録
データ移行2〜4週間Excelや旧システムからの取り込みと検証
並行運用4〜8週間旧方式と新システムを同時に動かして確認
本稼働月初や四半期の切れ目切りのよいタイミングで新システムへ切り替え

月末の請求処理に支障が出ないよう、並行運用期間を1〜2カ月確保して切り替えるのが現実的です。繁忙期を避け、閑散期にスタートすると定着しやすくなります。

── Excelからのデータ移行はできる?

多くのPMシステムはCSVインポートに対応しており、Excelの台帳データを一括で取り込めます。

移行の一般的な流れ

  1. Excel台帳の項目をシステムの入力項目と突き合わせる
  2. 重複や表記ゆれを整理してCSVファイルを作る
  3. テスト環境にインポートしてデータの欠けがないか確認する
  4. 本番環境へ反映し、旧Excelと1〜2カ月並行運用する

移行を円滑に進めるために列の並びや入力ルールをそろえるといった準備が必要です。データ整形やインポートの代行サービスがあるベンダーを選ぶと、自社の負担を減らせます。契約前に移行サポートの有無と費用を確認しておきましょう。

── 定着させるコツは?

PMシステムの導入がつまずく原因は、慣れたやり方を変えたくないという社員の抵抗感にあることが少なくありません。

現場に定着させるポイント

  • 入金消込や月次報告など、最も面倒に感じている業務から使い始める
  • 操作研修は1回で終わらせず、月末処理の時期に合わせて2〜3回行う
  • Excelでの処理を残さないよう、システムへ一本化する期限を決める
  • 困ったときにすぐ聞ける社内の相談役として、担当者を1人決める

「この業務は必ずシステムで行う」と範囲を絞るのが近道です。小さな成功体験が積み重なれば、利用範囲は自然に広がっていきます。

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。