AX(AIトランスフォーメーション)とは?IT化・DXとの違いやAXサービス5種

「AIで何かやれと言われて困っている」
「ペーパーレスも進めたが……売上は増えていない」

そこでAXの定義からDXとの違い、成功事例、導入ステップ、おすすめAI製品までを一つひとつ紐解いていきましょう。

DXまるわかりガイド
無料ダウンロード

DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ

今すぐ詳しい資料を見る

AXとは?DXを深化させたAI

1. AX(AIトランスフォーメーション)の定義

AX(AIトランスフォーメーション) とは、AI技術を活用して企業のビジネスモデルや意思決定のあり方を根本から変革し、競争優位性を築く取り組みです。ポイントは「AIを使うこと」自体が目的ではない点です。あくまでゴールは経営成果であり、AIはそのための最も強力な手段として位置づけられます。

2. IT化やDXとの違い

IT化、DX、AXは段階的に発展してきた概念であり、それぞれ目的や変革の深さが異なります。IT化は「アナログ業務のデジタル化」でしたが、DXは「デジタルでビジネス変革」、AXは「AIでビジネス変革」を意味します。

観点IT化DXAX
定義業務のデジタル化デジタル技術による変革AIによるビジネス変革
主な技術PC、基幹システム、メールクラウド、RPA、IoT機械学習、深層学習、自然言語処理
取り組みの焦点アナログ業務の置き換え業務プロセスの効率化意思決定の高度化・新価値創造
判断の主体人間人間がツールを活用AIが支援または自律実行
変革の性質手段の変更やり方の変革(守り)何をするかの変革(攻め)
例紙からExcel管理へSFAツール導入AI分析で成約確度を予測

3. AXで解決できる経営課題

AXは、デジタル化だけでは手が届かなかった課題に踏み込めます。次は一例ですが、代表的なものを挙げます。

課題AIの活用例期待される効果
業務効率化AI-OCRによる紙書類の自動データ化入力ミスの撤廃と事務工数の大幅削減
マーケティング最適化行動ログに基づくABテスト自動化広告の費用対効果の最大化
営業活動の高度化商談データからの成約確度予測営業リソースの最適配置と成約率向上
物流の最適化AIによる配送ルートの自動算出燃料コスト削減とドライバー負担軽減
価格戦略の最適化需要に連動したダイナミックプライシング在庫回転率の向上と収益の最大化
研究開発の加速シミュレーションによる新素材の探索開発期間の短縮とR&Dコストの抑制
脱炭素・省エネ空調と照明の電力消費量の自動最適化ユーティリティコスト削減と環境負荷低減
DXまるわかりガイド
無料ダウンロード

脱アナログから一元管理まで、
現場が変わった24社のリアルを公開

業種や機能ごとのDX成功事例を1冊に。自社に合うヒントがきっと見つかります。

24社 の実例を収録
10種 のDX機能
67P のボリューム
「DXまるわかりガイド」を無料で読む

フォーム入力1分・即ダウンロード可

AI推進停滞度チェック

社内で多少AIを使っているものの、本格的なAX推進が順調かどうか気になる人は、以下のチェックリストで現状を見つめ直してみましょう。

AI推進停滞度チェック

戦略、人材、データ、運用の4つの観点から停滞要因を可視化します

第 1 問 / 12
0% 完了
質問文がここに入ります
1 2 3 4 5
当てはまらない 当てはまる

※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。

もっと詳しく 104社の調査をもとに、DXの実態を全67ページで解説。数字に裏付けられた情報が手に入ります。
無料でダウンロードする

AXの活用事例3社

事例1. AI-OCRで書類の点検を見たままの確認だけにし、研修期間が短くなった

第一生命保険のAI-OCR基盤の導入を伝えるニュースリリース
第一生命保険株式会社(生命保険)

導入前の悩み

いろいろな書類を見て判断する点検作業は、知識と経験が必要で、習得までに数か月かかります。

事務企画部 事務企画課 マネージャー 岩元 慎弥様

導入後の変化

今回、知識と経験が必要だった内容の点検作業における人の判断を、ルールエンジンに置き換えたことで、AIが自信のない項目について見たままの文字を確認するだけでよくなり、スキルレス化できました。

事務企画部 事務企画課 マネージャー 岩元 慎弥様

現場で起きた主な出来事

  • AIが自信のない項目を確認する作業の担当チームを新たに立ち上げているが、立ち上げに必要な研修期間が圧倒的に短期間で済むという効果を岩元氏は実感している

※ 第一生命保険株式会社「マルチAI-OCRプラットフォームで事務作業の約4割の効率化を目指す人的リソースを付加価値の高い仕事へシフトすることで新たな働き方を創出」2020年9月

事例2. 学習データの分析で導線と授業時間を見直し、参加率が20%以上改善

ベネッセの学習履歴データ分析を紹介するインタビューページ
株式会社ベネッセコーポレーション(教育サービス)

導入前の悩み

参加者からの満足度は高い結果を得られていた反面、想定していた規模のユーザーを獲得できていない状況でした。

進研ゼミ高校講座 分析チームリーダー 中島 悠太様

導入後の変化

講義一覧ページへのバイパス導線となる特設ページを設置したところ、これまでの導線を経由した会員よりも参加率が20%以上も改善しました……テーマを絞り20分に時間短縮したコンテンツをリリースしたことで、MAU(Monthly Active Users)を4.5%伸ばすことができました。

進研ゼミ高校講座 分析チームリーダー 中島 悠太様

現場で起きた主な出来事

  • 進研ゼミWebサイトのファネル分析を行ったところ、オンラインライブ授業サービスなどが掲載されている「講義一覧」のページに至る段階で離脱割合が高いことが判明した
  • ゼミ教材のデジタル学習行動にかける時間を分析したところ、20~30分がボリュームゾーンであることが判明した

※ 株式会社ベネッセコーポレーション「データ活用による最適な学習提案 一人ひとりの学習履歴をデータ分析し、より良い教育サービスをスピーディーに提供」2022年

事例3. 画像解析で、熟練技術者が目で見ていたノウハウを数値に

ダイキンと日立の協創による品質管理ノウハウのデジタル化を伝える事例記事のページ
ダイキン工業株式会社(空調機器・フッ素化学製品の製造)

導入前の悩み

こうした製品は小ロット・多品種生産が中心のため、今回対象の工程では技術者がガラス容器内の化学品の反応状況など目視で確認し、製品品質を担保していました。

執行役員 平賀 義之様

導入後の変化

経験豊富な熟練技術者は、化学品の反応を見ながらさまざまなアクションを起こしますが、これを数値化するには、そもそも「何を見ているのか」「何をトリガーに動作を開始しているのか」といったことを明らかにしなければいけません……外部の客観的な視点を持つ日立との議論がなければ、気付けないことは多くありました。

執行役員 平賀 義之様

現場で起きた主な出来事

  • 従来は熟練技術者の中に潜在していた無形のノウハウを、次々と抽出・可視化することに成功した
  • 「液面の高さ」も重要だということは、日立との対話を繰り返すなかで自ら気付きを得た

※ ダイキン工業株式会社「ダイキンと日立の協創で、品質管理ノウハウのデジタル化へ」2019年2月15日

もっと詳しく        24社のDX成功事例を収録した全67ページの無料ガイド。現場の変化をリアルに紹介しています。
無料でダウンロードする

AXを着実に進める3ステップ

STEP1. AIで「何ができるか」ではなく「何を解決したいか」から始める

AX推進の正しいアプローチは 「解決すべき経営課題は何か」から出発することです。逆に最もよくある失敗は「AIありき」でAIを導入することです。そのため、自社では以下の3つを満たすAI適用の最有力候補を見つけましょう。

基準確認ポイント
データ十分に存在するか、または収集可能か
効果解決によって得られる経済的効果が明確か
複雑性ルールでは対応しきれない問題があるか

逆に言えば、データがなければAIは動きません。AXのスタート地点は、使えるデータが存在していることです。

STEP2. 小規模PoCで「やる価値があるか」を3カ月で見極める

AIの適用範囲が決まったら、いきなり全展開するのではなく、小規模なPoC(概念実証)から始めましょう。PoCの目的は「技術的に実現可能か」「ビジネス的に価値があるか」を確認することです。

ポイント

  • 3カ月程度の期間で検証
  • 定量的に「需要予測の誤差を20%以内に抑える」などの成功基準を設定
  • 期待した効果が得られなければ、早期に軌道修正

STEP3. 既存業務に追加ではなく、「業務そのもの」を差し替える

PoCで成果が出ても、本番実装で頓挫するケースの多くは、既存フローを維持したままAIを「上乗せ」しようとすることに原因があります。AXの本質は、既存業務の抜本的な変革です。

例えば「AIの予測を参考に人間が判断する」のは、単に作業工程を増やしているに過ぎません。真のAXとは、AIによる自動化を前提とし、人間はそこから得られた余力で、非定型な創造活動や高度な戦略決定に専念する状態を指します。社内の意識もそのように切り替えていきましょう。

AX推進におすすめのAIサービス5種

1. AI搭載型SaaS

AI搭載型SaaSとは、営業、マーケティング、人事など、特定の仕事にAI機能が最初から組み込まれたサービスです。業界のベストプラクティスが組み込まれているため、導入後すぐに効果を実感できます。

業務例AX前AX後
商談管理営業会議で「あの案件どうなった?」と口頭で状況を確認全商談をAIが分析し、「成約確率〇%」と客観的な数値を自動表示
販促メール全顧客に同じメルマガを一斉配信し、開封率が低い顧客ごとの興味をAIが分析し、一人ひとりに最適な内容を個別配信
離職防止退職届が出てから「なぜ辞めるのか」と驚き、後手に回る勤怠や評価履歴から、AIが「離職リスクの高い社員」を事前に警告

ほとんどのサービスは、自分でAIモデルを意識する必要がなく、サービスに登録してデータを入力するだけで、AIが自動で分析や提案してくれます。無料トライアルやデモ環境を活用し、自社の業務フローに合うか事前に確認しましょう。

サービス名機能ポイント
Salesforce Einstein商談データをAI分析し、成約確度や次のアクションを自動提案営業の勘をデータに変えたい企業向け
Adobe Sensei顧客行動を解析し、一人ひとりに最適なマーケティング施策を自動生成全員同じ広告から個別最適に変えたい企業向け
カオナビ従業員データを分析し、適材適所の配置や離職リスクを予測人事判断を感覚からデータに変えたい企業向け

※ 2026年9月時点

2. AI-OCR・ドキュメントAI

AI-OCRとは、請求書、契約書、申込書など、紙の書類や手書き文字をAIが読み取ってデータ化してくれるツールです。フォーマットがバラバラな書類や、医師の手書き文字など、従来のOCRでは難しかった書類も高精度で処理できます。

業務例AX前AX後
請求書入力届いた請求書を1枚ずつ見て、金額・日付・取引先を手入力スキャンするだけで、AIが必要項目を自動抽出してシステム登録
契約書管理フォーマットが違う100社分の契約書を、担当者が読み込んで比較重要条項(支払条件・解約条件等)をAIが自動で抜き出し一覧化
診断書データ化医師の手書き診断書を、専門スタッフが1枚30分かけて入力AIが手書き文字を解析し5分でデータ化。人間は確認のみ

代表的なサービスは次の通りです。読み取り精度は書類の状態(折れ、汚れ、手書きの癖)に左右されるため、導入前に自社の書類でテストすることをおすすめします。

サービス名機能ポイント
AI inside(DX Suite)手書き文字の認識精度が高く、100種類以上の帳票に対応申込書や契約書など、手書き書類が多い企業向け
Cinnamon AIフォーマット指定不要で、AIが文書の意味を理解して情報を抽出取引先ごとに形式が違う請求書・診断書などを扱う企業向け
CLOVA OCR(LINE)名刺、レシート、領収書など定型書類の読み取りに特化経費精算や名刺管理の効率化から始めたい企業向け

※ 2026年9月時点

3. AIエージェント開発ツール

AIエージェントとは、指示を出すだけで、AIが「考えて、調べて、実行まで」を自動でやってくれる仕組みです。従来の生成AIは「質問したら答える」だけでしたが、AIエージェントは複数のタスクを自律的に判断と実行をします。

例えば「来週の会議を設定して」と指示すると、参加者のスケジュールを確認し、空いている時間を探し、会議室を予約し、招待メールを送信するまでを自動で完了します。

業務例AX前AX後
アポ調整顧客を調べ、メールを書き、返信を確認してカレンダーに登録「商談の日程を調整して」のように指示するだけで、調査から日程調整まで自動実行
経理処理請求書を確認し、データ入力、承認依頼、支払い処理を行う「この請求書を処理して」のように指示するだけで、支払いまで一気通貫で実行
顧客対応問い合わせを読み、回答を調べ、返信を書き、履歴を記録する「この件に対応して」のように指示するだけで、回答作成から履歴登録まで完了

代表的なサービスは次の通りです。また、AIエージェントは自律的に動くため、「どこまで自動化するか」「人間の承認をどこに入れるか」のルール設計が重要です。

サービス名機能ポイント
Difyオープンソースで、複数のAIを組み合わせた独自エージェントをノーコードで構築可能自社専用のAIエージェントを柔軟にカスタマイズしたい企業向け
n8nさまざまなアプリやサービスを連携させ、AIを組み込んだ自動化ワークフローを構築可能Slack、スプレッドシート、メールなど複数ツールをまたぐ業務を自動化したい企業向け
Manusウェブ検索、データ分析、コード実行など複数ツールを組み合わせて複雑なタスクを自律実行リサーチや分析など、調べて、まとめて、報告までの業務を丸ごと任せたい企業向け

※ 2026年9月時点

4. AI開発・分析プラットフォーム

AI開発・分析プラットフォームとは、データの準備からAIモデルの構築、運用までを統合的に管理できるシステムです。 かつては高度なプログラミングが必要でしたが、現在は画面操作だけで完結する機能が充実しており、専門知識がなくても高度な予測モデルの作成が可能になっています。

業務例AX前AX後
需要予測過去の統計データと担当者の経験大規模な外部データも取り込んだ高精度な自動予測
マーケティング属性データによる顧客セグメントAIによる成約スコアリングとターゲット自動抽出
品質管理目視による不備チェック画像認識AIによる異常検知の自動化

企業の規模や既存のITインフラに合わせて最適なツールを選択します。高度なカスタマイズには対応しきれない場合もあるため、まずは定型的な予測業務から始めるのがおすすめです。

サービス名機能ポイント
Google Cloud Vertex AIGoogleの機械学習基盤を活用し、最適モデルを自動生成大規模データの処理に強く、Google Workspaceとの連携が容易
Azure Machine LearningMicrosoft製品との親和性が高く、Excelデータからの分析も可能既存のMicrosoft環境を活かしたい企業におすすめ
Prediction Oneソニー開発の国産ツールで、日本語UIで直感的に操作可能導入コストを抑えてスモールスタートしたい企業向け

※ 2026年9月時点

5. エンタープライズAI基盤

エンタープライズAI基盤とは、 会社全体のデータを集めて、ビジネスの仕組みそのものを変える大規模なシステムです。工場の機械、店舗のカメラ、物流の配送データなど、あらゆるデータを1箇所に集めて、AIで分析、予測、自動制御します。

業務例AX前AX後
設備メンテナンス機械が壊れてから修理業者を呼び、生産ラインが止まるセンサーデータをAIが常時監視し、故障を事前に予測して警告
技術承継ベテラン職人の判断を新人が習得するのに10年かかる職人の判断基準をAIが学習し、新人をAIがリアルタイム支援
警備・監視監視カメラの映像を警備員が24時間見続けるAIが映像を自動解析し、不審者や異常時のみ警備員へ通知

有名なサービスは次の通りです。導入には一定の期間と投資が必要ですが、競争力を根本から変えたい企業には最適な選択肢です。

サービス名機能ポイント
日立 Lumada工場やインフラの現場データをリアルタイム解析し、制御まで自動化製造業やインフラ企業で、現場の匠の技をデジタル化したい企業向け
富士通 KozuchiAIの判断理由を説明する技術(XAI)を搭載し、「なぜその判断か」が分かる金融や医療など、AIの判断に説明責任が求められる領域向け
NEC the WISE世界No.1精度の顔認証や、設備故障の予兆検知技術を提供セキュリティ強化や、壊れる前に直す予知保全を実現したい企業向け

※ 2026年9月時点

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。