「顧客情報が分断されて全体像が見えない」
「部署間の情報共有がうまくいかない」
これら原因は「サイロ化」かもしれません。サイロ化が招くリスクから、チェックリスト、サイロ化解消の成功事例、解消する手順、おすすめのツールまで、組織が一丸となるためのロードマップを紐解いていきましょう。
サイロ化とは?分断されていること
1. サイロ化は2つの側面がある
サイロ化とは、組織やシステム、データが分断され、情報共有や連携が困難になっている状態を指します。
サイロ化の由来
農場で穀物を貯蔵する円筒形の建物「サイロ」に由来しています。それぞれのサイロは高い壁に囲まれ独立しており、中身が混ざることはありません。この「外から中身が見えず、他と混ざらない」という状態が、情報や知識が部門ごとに閉じ込められてしまう様子に似ています。
サイロ化には「組織のサイロ化」と「システムのサイロ化」の2つの側面があります。
| 項目 | 組織のサイロ化 | システムのサイロ化 |
| 定義・状態 | 各部署が独自に動いており、他部署との連携や情報共有がなされていない状態 | システムやデータベースが部門ごとに分断してしまっている状態 |
| 具体例 | 営業(顧客情報)、マーケ(施策データ)、製造(在庫状況)を自部門内のみで管理 | 営業のCRM、経理の会計ソフト、人事の勤怠など、部署ごとに異なるツールを導入 |
| 結果・影響 | まるで組織内で「別々の会社」が動いているような状況に陥る | 手作業の集計が常態化し、横断的な分析やスピーディな経営判断が困難になる |
2. サイロ化がもたらす7つのリスク
サイロ化が引き起こす具体的なリスクは以下です。例えば、営業部がヒアリングした顧客要望が製造部に伝わらず、仕様ミスマッチによる納期遅延が発生。マーケティング部のキャンペーン成果データが営業部に共有されず、成約率が低迷などにつながります。
| 項目 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 意思決定の遅延 | データ散在によって時間を要し、現場や経営判断が遅れる |
| 業務重複とコスト増加 | 各部署で重複したデータを管理し、無駄なコストが生まれる |
| イノベーションの停滞 | 部門間で知識を共有できずに組織全体の創造性が損なわれる |
| 顧客満足度の低下 | 不統一な対応で、たらい回しや回答の矛盾を招いてしまう |
| 人材の疲弊と離職 | 非効率な業務でモチベーションが低下し、早期離職を招く |
| コンプライアンス違反 | 管理漏れを招きやすく、法令違反やガバナンス欠如を増やす |
| DX推進の失敗 | データが統合できず部分最適に終始し、競争から取り残される |
3. サイロ化が起こる4つの原因
部署間の壁を築いてしまう主な原因は4つです。
1. 縦割りの組織構造
独立した指揮系統や上下関係を重視する文化が、横の連携を阻みます。「それは他部署の仕事」という意識が強く、協力が「余計な負担」と敬遠されるため、組織全体の最適化が困難になります。
2. 部門別KPIと評価制度のゆがみ
自部門の目標達成を最優先する評価制度が原因です。協力が「自部門の損」と認識される環境では、他部署への配慮を欠いた行動が横行し、組織的な連携を阻む要因となります。
3. システムの独立導入
部門ごとに個別最適でシステムを導入した結果、ツールやデータ形式がバラバラになります。互換性の欠如によりシステム間連携が難しくなり、全社的な情報共有の大きな壁となります。
4. 部門間のコミュニケーション不足
接点や交流の場が少ないため、他部署の状況が見えなくなります。「余計な口出し」を避ける心理から問題を自部署で抱え込み、協力して解決すべき課題が放置される非効率を招きます。
これらの原因は単独で存在することは稀で、複数の要因が絡み合って強固なサイロ化を形成します。自社がどの原因に該当し、それらがどう関連しているかを正確に把握することが重要です。
サイロ化の危険度チェックリスト
あなたの組織はどの程度サイロ化が進行しているのでしょうか。以下のチェックリストで現状を診断してみましょう。3つ以上当てはまる場合は、早急な対策が必要です。
| サイロ化の危険度診断項目 | リスクレベル |
|---|---|
| 高(顧客の混乱と信頼喪失を招くため) | |
| 中(情報伝達経路が機能していないため) | |
| 中(入力ミスやデータの不整合が起きるため) | |
| 高(全体最適の意識が欠如しているため) | |
| 小(業務可視化不足で育成に支障が出るため) | |
| 高(技術的負債がDX推進の壁となるため) | |
| 高(意思決定が遅れ機会損失を生むため) | |
| 中(迅速な対応ができず満足度が下がるため) | |
| 高(ガバナンス欠如や不正の温床となるため) | |
| 小(無駄な人件費やシステムコスト増のため) |
サイロ化解消の成功事例3選
CASE1. 消防設備工事における真弓興業の事例

消防設備の設計・施工・保守を手掛ける真弓興業株式会社は、業務管理システムを導入し、営業段階、見積作成、施工段階ごとに分断されていた部署間の情報共有を実現しました。このシステムの特徴は以下のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 案件情報の一元管理 | 営業、メンテナンス部、東京支社で共通利用 | 部署間の情報の行き違いを解消 |
| リアルタイム通知 | 見積依頼や書類承認を即座に共有 | 対面や紙でのやり取りから脱却 |
| ファイル管理 | 写真やファイルを案件ごとに集約 | 過去資料の検索時間を大幅削減 |
| 見積作成 | 営業からメンテナンス部への受け渡しを自動化 | 手間と時間がかかっていた承認フローを効率化 |
同社では、業務管理システム上での一元管理により、担当者ごとにバラつきがあった管理方法が統一され、時間短縮やミス防止を実現しました。
消防設備工事の事例
- 営業段階、見積作成、施工段階で分断されていた状況から細かな連携が実現
- 営業、メンテナンス部、東京支社間でのリアルタイムな情報伝達が可能に
- Excelや手書き、紙ベースで担当者ごとにバラバラだった書類作成方法が標準化
- 机の上で書類が行方不明になるような情報管理の課題が、データの蓄積により解決
CASE2. 配送業における株式会社ソーデン社の事例

家電機器の配送・設置工事を手掛ける株式会社ソーデン社は、案件管理システムを使って、各拠点ごとで異なるツールで管理していた情報を一元化し、本部から現場まで全ての情報が繋がる体制を構築しました。具体的なシステムの活用方法は主に4つです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 一元管理化 | 全案件を一つのシステムで管理 | 各拠点の状況をリアルタイムに可視化 |
| 情報共有機能 | 複数人で案件データを共有 | 担当者しか把握できない状況から脱却 |
| 現場アプリ | 現場で見積もりをその場でSMS送信 | 現場へのシステム浸透に貢献 |
| 自動集計機能 | 売上、原価、経費を自動集計 | 収支状況をリアルタイムに可視化 |
現場や拠点がどのような管理をしているのか本部では把握できない構造から、各拠点の状況をリアルタイムに可視化することにより本部で一元的に把握。管理が属人化していた体制を脱却しました。
配送業の事例
- 紙の束を持って配達していた状況から、システムで確認できる体制を構築
- 20店舗の直営拠点が異なるツールで管理していた膨大なファイルを1つのシステムに統合
- 顧客側と自社側で二重管理していた案件情報を、一元化により同じ情報の入力が不要に
- 現場や協力会社による属人管理から、欲しい情報にすぐにアクセスできる体制へ転換
CASE3. 設備工事における株式会社ライフスクエアの事例

情報通信サービスや電気設備工事を手掛ける株式会社ライフスクエアは、オールインワンシステムによって、ExcelやGoogleドライブに分散していた情報を統合し、営業から工事完了まで一元管理できる体制にしました。システムによる主な効果は次のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 一元管理 | 営業段階から工事完了までの一連の業務で使用 | 情報の分散を解消し手間を省く |
| カンバンボード | 案件の進捗状況を可視化 | 対応の抜け漏れや機会損失を防ぐ |
| ファイル管理 | 案件情報と帳票類や各工事の写真を紐づけて管理 | 情報が分散せず、報告書関連のデータ管理が容易に |
| 通知機能 | 部署間の連携をシステムの通知で実施 | 連携スピードが向上 |
営業部、施工管理部、ICT事業部間の情報共有が実現し、各担当者への確認がないと進捗状況が把握できない状態から、売上見込みも把握できる体制へと変革しました。
設備工事の事例
- 帳票類はExcel、写真管理はGoogleドライブという分散管理から、案件ごとの統合管理へ
- 部署間の情報共有や連携が人力に頼っていた状況から、システム通知による自動連携に
- 報告書と工事写真が案件に紐づけられ、過去の工事内容の確認が容易に
- 外出先で書類作成できずオフィスに戻っていた作業が、現場での報告書作成で効率化
サイロ化解消までの4ステップ
STEP1. 共通目標を設定する
サイロ化解消の第一歩は、組織全体が同じ方向を向くための土台作りです。
| 観点 | 具体的な内容 | 重要なポイント |
| ゴールの明確化 | 全社で目指すべき共通のゴールを明確にする | 「顧客満足度を90%以上にする」など、具体的で測定可能な数値を設定する |
| 経営層の関与 | 経営層による強力なコミットメントを示す | CEOやCOO自らがメッセージを発信し、部門間協力を評価制度に組み込む |
| 意識改革の促進 | 「なぜ今、部門を越えた連携が必要なのか」を全社員に発信する | トップダウンのメッセージにより、現場の意識改革を促す強力な推進力とする |
STEP2. コミュニケーション基盤を整備する
サイロ化を解消するには、部門を越えた「つながり」を多面的に設計することが不可欠です。
| 観点 | 具体的な施策 | 重要なポイント |
| 心理的面 | 部門を越えた発言や提案が歓迎される雰囲気作りをする | 失敗を責めない文化。トライアンドエラーを許容することで挑戦が生まれやすくなる |
| 物理的面 | 共有スペースの設置やオフィスレイアウトの見直し | 部門間交流ランチなど、インフォーマル(非公式)な情報交換の場を設ける |
| デジタル面 | SlackやTeamsなどのツール導入、Notion等でのマニュアル管理 | パブリックチャンネルでの情報公開。全社員が検索・閲覧できる状態で情報の囲い込みを防ぐ |
STEP3. プロジェクトチームを立ち上げる
サイロ化解消のプロジェクトを発足し、各部署から代表者を選出し、部門横断プロジェクトチームを立ち上げます。単なる情報交換の場ではなく、チームには明確な権限と責任を持たせて各部署への指示や調整ができる体制を整えましょう。
プロジェクトの活動例
- 各部署へのヒアリングを実施し、情報共有における具体的な困りごとを収集
- 業務フローを図式化し、どこで情報の分断が起きているかを特定
- 報既存システムの棚卸しを行い、データ連携の障壁を技術的に分析
課題が明らかになったら、優先順位をつけて解決策を検討します。短期的に成果が見える施策から着手することで、組織全体の推進力を高められます。
STEP4. 段階的統合とルール策定をする
スモールスタートで段階的にデータ連携を強化し、システムの分断による課題を解消しながら、最終的に全業務を一元管理できるオールインワンシステムへの統合を目指します。
| 選定ポイント | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 既存システムとの連携性 | 現在使用している業務システムと容易に接続できるか。API連携やデータ移行の難易度はどうか |
| 画面の操作性 | ITに詳しくない社員でも直感的に使えるか。研修コストや習熟期間は許容範囲か |
| コストパフォーマンス | 初期導入費用だけでなく、月額料金やカスタマイズ費用を含めた総コストは適正か |
| 将来の拡張性 | 今後の事業成長や組織変更に柔軟に対応できるか。機能追加やユーザー数増加に耐えられるか |
| セキュリティ | 顧客情報や機密データを安全に管理できるか。アクセス権限の細かな設定が可能か |
さらにシステムの形骸化を防ぎ組織へ定着させるため、導入時に役割や承認フロー等の運用ルールを明確化した上で、稼働後も定期的なモニタリングと現場の声に基づいた継続的な改善を実施します。
サイロ化解消におすすめのツール4種
1. コミュニケーションツール

チャット、ファイル共有、タスク管理などの機能を統合し、部門を越えた情報共有を促進するプラットフォームです。 メールや対面会議が中心の運用から、リアルタイムでの非同期コミュニケーションが可能になり、物理的な距離や部門の壁を越えた協働を実現します。
| ツール名 | 主な機能 | 効果 |
| Slack | 即時性の高いチャット、外部ツール通知の集約 | 豊富な外部アプリ連携による業務自動化、「オープンチャンネル」で、他部署の動きが見える化 |
| Notion | ドキュメント作成、タスク・プロジェクト管理、社内Wiki | マニュアルや議事録を一箇所に集約し、「情報の属人化」を防ぐ |
| Microsoft Teams | ビデオ会議、Officeファイルの共同編集ハブ | メールのような宛先限定のやり取りを減らせる |
| Confluence | ナレッジベース構築、仕様書・マニュアル作成、ファイル共有 | 大量の文書の構造化、強力な検索機能により、他部署の資料でもすぐに探し出せる |
※ 2026年1月時点
2. プロジェクト管理ツール

タスクの進捗、リソース配分、スケジュールを可視化し、部門横断プロジェクトを効率的に推進するシステムです。 Excel管理や属人的な進捗把握から脱却し、ガントチャートやカンバンボードで全員が同じ情報を共有できるため、部門間の連携ミスを大幅に削減できます。
| ツール名 | 主な機能 | 効果 |
|---|---|---|
| Asana | タスク管理、プロジェクトビュー、ルーティン自動化、モバイルアプリ、タイムトラッキング | 部門横断プロジェクトの進捗共有、責任所在を明確化 |
| Monday.com | タイムライン、工数管理、ダッシュボード、パフォーマンス分析、レポート機能、ツール連携 | 部門別ワークフローを統合、誰が何をしているか一目瞭然 |
| Lychee Redmine | 予算管理、リソース管理、タイムマネジメント、コストマネジメント、プロジェクトレポート | WBSで部門間タスクを可視化、進捗の見える化で連携強化 |
※ 2026年1月時点
3. データ連携ツール

異なるシステムやアプリケーション間でデータを自動的に同期・転送できるプラットフォームです。 ノーコード・ローコードで設定可能なシステムも多く、部門間のデータサイロを技術的に解消する効果的な手段です。
| ツール名 | 特徴 | 効果 |
|---|---|---|
| Zapier | ノーコードで5,000以上のアプリを自動連携、ルーティンワークを自動化 | 部門別ツールを簡単連携、手作業でのデータ転記を撲滅 |
| MuleSoft | ローコードで複数サービスをデータ統合し、システム連結 | レガシーシステムと最新SaaSをシームレス統合、業務効率化とデータ活用を促進 |
| Informatica | データ統合プラットフォーム、社内の散らばるデータを統合、効果的にデータ管理・分析 | 顧客や商品マスターを一元化、情報の不整合を根本解決、データドリブン経営の促進 |
※ 2026年1月時点
4. 業務管理システム

プロワンは、営業・現場・経営部門を1のプラットフォームで繋ぎ、工事、リフォーム、設備業界などの物理的に離れた現場とオフィスの間で発生しがちなサイロ化を解消する業務管理システムです。
| 利用カテゴリ | 具体的な機能 |
|---|---|
| 営業 | 顧客データ管理、案件進捗の可視化、営業履歴の一元管理、外部CRM連携 |
| 現場 | スケジュール管理、作業進捗のリアルタイム共有、資材管理、発注管理、写真・ファイル管理、現場アプリ |
| 経営 | 利益分析、稼働状況の可視化、レポート・ダッシュボード、申請・承認ワークフロー、自動化ルール |
営業はCRM、現場はExcel、経営は独自の管理ツールと、各部門がバラバラのシステムを使用していると、情報の転記作業や部門間の連携不足による機会損失が発生します。プロワン導入により、全部門が同一のプラットフォーム上で業務を遂行できるようになり、情報やデータを一元管理できます。