「あの案件、今どの工程まで進んでる?」
「進捗が担当者しかわからない」
そこで工程管理の基本から、自社の課題診断、工程管理の改善事例、工程管理をするまでの4ステップ、現場で使えるおすすめシステムまで、属人化を解消する第一歩を見ていきましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
工程管理とは?改善できること
工程管理とは、製品や建造物が完成するまでの順序・担当・期日を計画し、進捗を管理することです。誰が、いつ、何をやるかを見える化し、納期と品質を保ちます。工程管理には次の3つ目的があります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 1. 進捗の可視化 | 手帳や口頭に頼っていた進み具合を、誰でもひと目で把握できる状態にする |
| 2. 属人化の解消 | ベテランの頭の中にある段取りを、チーム全体で共有できる形にする |
| 3. 納期遅延の予防 | 遅れの予兆を早い段階でつかみ、手を打って間に合わせる |
1. 進捗の可視化で現場を把握できる
工程管理で多い課題が、各個人の頭の中にしか進捗が存在しない状態です。工程管理を整えると、各案件がどの工程まで進んだかが一覧でわかり、進捗確認のために現場を歩き回る時間がなくなります。
| 項目 | これまでの現場 | 工程管理を整えた現場 |
|---|---|---|
| 進捗の確認 | 担当者に口頭で聞く・上長が現場を見て回る | 一覧表やボードで誰でも確認できる |
| 情報の最新性 | 最新の情報がわからない | 作業の完了ごとに状態が切り替わる |
| 遅れの発見 | 納期間際に発覚することが多い | 予定とのズレが早い段階で見える |
2. 属人化の解消で誰でも担当できる
段取りがベテラン1人の頭の中にある状態は、1人の退職がそのままリスクになります。工程の順序や標準時間を形に残せば、経験の浅い人でも次にやるべき作業を判断できます。
工程管理で共有できること
- 各工程の作業順序と、前後のつながり
- 1工程あたりの標準的な作業時間の目安
- 段取り替えのコツや障害となる注意点
3. 納期遅延の予防で信用を守る
1つの工程の遅れは後工程へ連鎖し、最終的に納期遅延となって表面化します。予定と実績を並べて管理すれば、遅れの予兆をすぐに察知できます。遅れが見えないまま放置されると、直前にまとめて発覚し、残業や緊急対応でコストが膨らみます。
遅れを早く知るとできる打ち手
- 遅れている工程に応援の人員を回す
- 後工程の段取りを前倒しして待ち時間を埋める
- 間に合わない場合は早めに客先へ相談する
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自社の工程管理の課題診断
自社の工程管理にどの程度課題があるか、以下のチェックリストで確認してみましょう。合計13点以上の場合は、工程管理の見直しが必要です。
現場の属人化や進捗の見えにくさがどの程度かがわかります
※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。
工程管理の改善事例3選
CASE1. プラント工事における株式会社佐々木プラントの事例

食品や医薬品向けのプラント工事を手がける株式会社佐々木プラントは、業務管理システムを導入し、人員管理を効率化しました。このシステムの特徴は以下のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| カレンダーでの人員配置 | 案件ごとの人員予定をカレンダーで管理 | ダブルブッキングがなくなった |
| スマホ対応 | 現場で報告書や見積書を作成 | スマホから簡単にアクセスでき、現場で使いやすい |
| 進捗のワンクリック確認 | 各現場の進捗をクリックして確認 | 現場の進み具合が一目でわかる |
以前は頻繁な調整にExcelの更新が追いつかず、同じ人に重複してスケジュールを割り当ててしまうことが、多々発生していました。工程管理に必要な情報がシステム上に集まったことで、案件を月10件並行しても管理できる体制を整えています。
プラント工事での具体的な変化
- カレンダー機能による人員配置の最適化でダブルブッキングを解消した
- 紙とExcelでの管理から脱却し、業務品質が向上した
- 必要な情報への迅速なアクセスが可能になった
CASE2. 設備工事における株式会社ライフスクエアの事例

通信や電気の設備工事を手がける株式会社ライフスクエアは、案件管理システムを使って、担当者に聞かないと進捗がわからない状態を改善しました。具体的なシステムの活用方法は主に3つです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| カンバンボードで可視化 | 案件の進捗をカンバンボードで表示 | システム上で誰でも進捗がわかる |
| 営業から工事完了まで一元管理 | 案件情報と帳票類を紐づけて管理 | 過去の情報もすぐ確認できる |
| 通知での情報共有 | 部署間の連携をシステム通知で行う | 対応の抜け漏れや機会損失の防止できた |
案件管理が属人化しており、各担当者への確認しないと進捗状況が把握できない状態でしたが、進捗状況をカンバンボードで見えるようにしたことで、確認の手間が減りや対応漏れも起きにくくなっています。
設備工事での具体的な変化
- 現場で帳票を作れるようになり、帰社後の作業がなくなった
- 情報が集約され、情報の整理や確認の手間が減った
- 売上見込みも正確に把握した
CASE3. 作業時間の可視化で生産効率がアップした事例

クラウドの工程管理システムを導入し、作業時間の可視化と指示の仕組み化を実現した事例です。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 作業時間の記録 | 作業者の得意・不得意に応じた業務配分 | 1割超~2割近くの生産量増加を達成 |
| 指示の仕組み化 | タブレットを確認すれば次の作業が示される | 上司への問い合わせが大幅に減少 |
| 製造データのリアルタイムな共有 | 生産状況や月産本数を客観的な数値で提示 | 生産キャパシティを踏まえた販売計画の立案 |
これまで工程の情報は特定の担当者に集まりがちで、担当者がいないと作業が止まることもありました。工程管理をデータに残すようにしたことで、進捗状況を確認しながら作業の優先順位を判断できる体制が整っています。
具体的な変化
- 次の作業をタブレットで確かめられて、担当者を探し回らずに済むようになった
- 紙の日報の記入や集計作業も廃止され、本来のものづくりに集中できるようになった
- 感覚で行っていた作業評価をデータに基づいて行える体制が構築された
※ 株式会社Smart Craft「属人的な管理と曖昧な原価把握から脱却。データ活用で月産1,800本近くへの生産量向上を実現」2026年5月28日
工程管理をするまでの4ステップ
STEP1. 作業を工程に分けて工程表を作る
まずは工程を洗い出し、時間や必要な人員を見積もったうえで工程表へ落とし込みます。
1. 工程の洗い出し
製品が完成するまでの作業を「切断」「加工」「組立」「塗装」のような工程単位へ分ける。
2. 見積もり
各工程の所要時間と、必要な設備・人員・コストまで見積もる。最初はおおまかでよく、運用しながら精度を上げる。
3. 工程表の作成
誰が・いつ・どの工程をやるかを工程表へ落とし込む。工程表にはいくつかの様式があり、現場の性質に合わせて選ぶ。
工程表にはいくつかの様式があり、現場の性質に合わせて選びます。代表的な様式は次のとおりで、中小規模の現場では、バーチャートかガントチャートから始めるのが取り組みやすいです。
| 様式 | 特徴 | 向いている現場 |
|---|---|---|
| バーチャート工程表 | 作業の期間を横棒で示し、各工程の期間を把握する | 工程がシンプルな現場 |
| ガントチャート工程表 | 横棒で各工程の開始から終了までを示し、進捗率を把握する | 進み具合をひと目で見たい、工程が多い現場 |
| カレンダー式工程表 | 見慣れたカレンダー形式で視認性が高い | 個人向けの顧客に説明が必要な現場 |
| ネットワーク工程表 | 工程の前後関係を矢印で結び、作業関係の経路を示す | 工程が複雑で前後関係が重要な現場 |
| グラフ式工程表 | 縦軸に進捗率、横軸に日付をとり、予定と実績を折れ線グラフで描く | 作業の関連性を把握し、進捗を管理したい現場 |
| 出来高累計曲線(Sカーブ) | 予定と実績の出来高を曲線で重ね、全体の遅れ進みを示す | 工事全体の進捗を早くつかみたい現場 |
STEP2. 工程表に沿って作業を進める
計画ができたら、工程表に沿って実際の作業を進めます。このとき大切なのは、計画を現場へ共有し、各担当者が自分の着手日と完了日を意識して動ける状態にすることです。
作業指示書や工程表を現場に掲示し、誰が何をいつまでに行うかを共有しておくと、指示の行き違いによる手戻りを防げます。
STEP3. 進捗を記録して計画と比べる
作業を進めると同時に日々の実績を記録し、予定と並べて確認します。各工程が予定どおり終わったか、問題が起きていないかを確かめることが、工程管理の中心です。予定と実績のズレをその日のうちにつかめれば、影響が小さいうちに手を打てます。
1日の終わりや工程の区切りなど、決めたタイミングで必ず実績を入力するルールを決めておきましょう。トラブルが起きたら関係各所へ迅速に伝え、計画全体への影響をすぐ評価して、速やかに計画を調整します。
STEP4. 遅れの原因をつぶし次に生かす
遅れや不良が見つかったら、その場の対処で終わらせず、原因までさかのぼって対策します。根本原因を掘り下げると、再発を防ぐ具体策が見えてきます。これを次の計画づくりに反映させると、工程管理の精度が回を追うごとに上がっていきます。
| 具体的な施策 | 詳細 |
|---|---|
| 人員や段取りを組み替える | 遅れた工程の人員を増やす、後工程の段取りを前倒しするなど、次回の計画で検討する |
| 標準時間を見直す | 同じ工程で遅れが続くなら、標準時間の設定が実態に合っていません。実績をもとに数値を更新する |
| 作業の標準化を行う | 工程を安定させるには、手順書の整備や教育で作業を標準化して属人化を減らす |
工程管理のおすすめサービス3種
1. 工程・進捗特化型

工程計画と進捗の見える化に機能を絞ったタイプです。ガントチャートでの予定組みや進み具合の表示に強く、シンプルな機能で負担を抑えて始められるのが利点です。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| Brabio! | 0円~ | ガントチャート作成に特化し、20万社以上が利用するツール。5名まで無料で使え、Excelの一括出力で既存データも活かせる |
| 工程’s Orario | 要問い合わせ | 手書き感覚のマウス操作で工程表を作成・編集できる。作業の遅れに応じて後続工程を自動で再計画、協力会社とも工程表を共有可能 |
| Lychee Redmine | 15,400円~ | 7,000社以上が導入し、ガントチャートに工数管理やリソース管理を備える。上位プランでは予算管理やレポート作成も可能 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年7月時点
2. 製造業向けオールインワン型

製造業に向けの工程管理ツールです。工程管理だけでなく受注から出荷、在庫や原価まで製造業務もまとめて管理できます。現場でも入力しやすい操作性の製品を選ぶと定着しやすいです。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| Smart Craft | 要問い合わせ | ガントチャートで生産計画と進捗を管理し、タブレットで作業実績を収集できる。指示書、手順書、図面などの帳票もまとめてペーパーレス化 |
| スマートF | 要問い合わせ | 工程管理以外にも在庫・計画・品質・原価・設備などの管理機能を持つ。必要な機能を選んで導入できるため、スモールスタートが可能 |
| Dr.工程Navi | 要問い合わせ | 個別受注生産に強く、一般的な製造業の工程管理システムが合わない現場向き。管理レベルに合わせて3つのエディションから選択できる |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年7月時点
3. 建設業向け現場管理型

複数の現場を同時に抱える設備・建設業に向けで、案件ごとに進捗や図面、写真をまとめて扱えます。案件管理から現場報告までを一体化したタイプです。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| プロワン | 要問い合わせ | 現場業界特化の業務管理システム。工程管理に必要な進捗管理、スケジュール管理から、見積、施工、請求、分析レポートまで一気通貫で支援 |
| 現場ポケット | 14,850円〜 | シンプル設計で低価格な現場管理アプリ。スマホ一台で工程表を簡単に作成、共有できる。アカウント、データ容量が無制限 |
| eYACHO | 要い問合わせ | 施工工程におけるTODO管理や各種帳票作成、打ち合わせ記録などをタブレット1つで管理できる施工管理ツール、手書きでの書き込みや通話も可能 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年7月時点
工程管理でよくある質問
── 進捗管理・生産管理との違いは?
工程管理は、よく似た生産管理や進捗管理と混同されがちですが、3つの違いはカバーする範囲の広さです。生産管理という大きな枠のなかに工程管理があり、そのなかに進捗管理があるという入れ子の関係になります。
生産管理は、需要予測や受注、購買、在庫、原価まで含めた生産活動全体を指し、工程管理を内側に含む最も広い概念です。進捗管理は計画に対して今どこまで進んだかを追う活動で、工程管理の一部です。
| 観点 | 対象範囲 | 主な目的 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 生産管理 | 受注・在庫・原価まで生産全体 | 生産活動全体のマネジメント | 工程管理を内包する最上位 |
| 工程管理 | 製造工程の計画から品質・コストまで | 納期・品質・コストの最適化 | 生産管理の一部で進捗管理を含む |
| 進捗管理 | 計画に対する進み具合のみ | 遅れの早期発見と挽回 | 工程管理の一部 |
── Excelでも工程管理ができるか
Excelならコストもなく、すぐに始めることが可能です。日付の自動入力や進捗率での色分けなどの機能を組み込んだ無料の工程表テンプレートなども配布されています。
ただし、Excelは複数人での同時編集やリアルタイムの実績入力には限界があり、扱う品目や工程が増えるほど専用システムとの差が開きます。次のサインが重なってきたら、システムへの切り替えを検討する目安です。
| 観点 | 専用システムを検討する目安 |
|---|---|
| 同時に編集する人数 | 3人以上が同時に触りたい |
| 操作性 | 現場ですぐに確認・反映したい |
| データ容量 | ファイルが重く開くのが遅い |
| 管理の手間 | 確認や入力に時間が取られている |
── 工程管理で見るべき指標は何か
代表的なのは納期遵守率とリードタイムですが、現場の状態に応じて次の指標も押さえると、どこに無駄や偏りがあるかをつかめます。最初から全部を追う必要はなく、まずは納期遵守率から始めるとよいでしょう。
| 指標 | 内容 | わかること |
|---|---|---|
| 納期遵守率 | 約束した期日を守れた割合 | 工程管理の成果が最も表れる |
| リードタイム | 受注から出荷までにかかる期間 | 短いほど資金繰りと在庫の負担が軽い |
| 設備・人の稼働率 | 設備や担当者が稼働している割合 | 余力の有無や負荷の偏り |
| 仕掛在庫 | 工程の間にたまる中間品の量 | 工程の滞留やボトルネック |
| 手戻り・不良率 | やり直しや不良の発生割合 | 品質と手戻りロスの傾向 |
── 工程管理がうまくいかない原因は?
多くは仕組みそのものより、情報の流れに原因があります。よくあるつまずきは次のとおりです。
よくある原因
- 現場にきちんとに共有されていない
- 計画を立てても現場の実態とずれていて、その通りに進まない
- 遅れが出ても後工程や管理者へ伝わるのが遅い
- 手順が標準化されておらず、人によってやり方や品質が違う
- 特定の設備や担当者に負荷が偏り、そこがボトルネックに
まずは進捗を見える化し、遅れを早く拾える状態をつくることです。その上で遅れの原因を検討し、対策することが立て直しの起点になります。