建設業DXとは?建設事業者100社以上の実態調査から導入事例まで

「いまだに手入力をしている」
「現場の職人がタブレットを使えそうにない」

現場では突然のツール導入に戸惑ったり、事務所では業務改善が進まなかったりと悩みは尽きません。そこで、中小規模の建設業向けDXから、チェックリスト、成功事例、DXをスモールスタートする手順、シニアメンバーが扱えるDXツールまで、ロードマップを見ていきましょう。

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建設業DXとは?現場をラクにする仕組み

建設業DXとは、現場で発生する無駄や手間を「SaaS・AI・IoT」などのデジタル技術でなくし、効率的に業務ができるようになる取り組みです。人手不足や働き方改革といった課題を解決し、利益を出し続ける会社を作るために、今や欠かせない経営戦略となっています。

1. SaaS導入で77.9%が業務改善

建設業DXの調査によると、「SaaSを導入した建設事業者の77.9%が業務改善」を実感しており 、104社の導入実績がその効果を証明しています 。例えば「事務所に戻らないと作業ができない」といった建設業特有の見えない課題を解消し 、企業の足かせを取り除くことが建設業DXの目的です 。

出典:株式会社ミツモア
調査方法:リサピー®︎によるインターネット調査
調査期間:2025年7月8日〜7月9日
調査対象:建設業(従業員数50名以上)のSaaS導入者104名

2. SaaS導入で91.3%が時間削減

2024年4月からの残業上限規制に対し、SaaS導入企業は具体的な成果を上げています。先ほどの調査では、導入企業の91.3%が月間の業務時間を削減できました。削減した時間別では「10~30時間が36.4%、31~50時間が32.7%、51~70時間が5.8%、71時間以上が2.9%」でした。

出典:株式会社ミツモア
調査方法:リサピー®︎によるインターネット調査
調査期間:2025年7月8日〜7月9日
調査対象:建設業(従業員数50名以上)のSaaS導入者104名

3. 建設業IT化と建設業DXの明確な違い

建設現場において、IT化は「道具を変えるだけ」、DXは「仕組みごと変える」という大きな差があります。

比較項目建設業IT化建設業DX
目指すゴール手書きやFAXなどの既存作業をスピードアップさせる働き方そのものを変え、利益率を高める
現場での変化紙の日報をExcel入力にし、図面をFAXではなくPDFで送る現場で内容が即座に共有されて、自動で原価管理や工程表に反映される
情報の活かし方データの記録はデジタル化できたが、あとでメールするために1度事務所に戻るスマホアプリで日報や写真を登録し、移動時間を別の本来の業務にあてる
得られる成果全体的な事務作業の時間が少し短縮されるが、手間は残っている無駄な移動や二重入力が消え、現場の利益が確実に残る

IT化はアナログをデジタルに置き換えただけで、二重入力などの手間を増やすこともあります。建設業DXは「そもそも、その移動や打ち合わせが本当に必要か?」と疑い、現場の無駄を削ぎ落として、浮いた時間で別の作業をするなどして、売上と利益が増える仕組みです。

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建設現場DX必要度チェック

自社の建設・工事現場がDXを必要としているかどうか、以下のチェックリストで確認してみましょう。12点以上当てはまる場合、DX推進が求められます。

建設現場DX必要度チェック

現場の非効率・リスクを5段階で振り返り、DX推進の優先度を把握できます

第 1 問 / 10
0% 完了
質問文がここに入ります
1 2 3 4 5
当てはまらない 当てはまる

※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。

もっと詳しく 現場でよくある悩みを起点に、業務管理のDX化で何が解消できるかを具体的に解説しています。
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建設業DXの実施事例2選

CASE1. リフォーム・新築工事における大和ハウスウッドリフォーム株式会社の事例

大和ハウスウッドリフォーム株式会社

リフォーム・新築工事を手掛ける大和ハウスウッドリフォーム株式会社は、一気通貫の業務管理システムを導入し、複数システムへの二重入力による工数増大や情報分断を解消しました。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴活用方法効果
一気通貫の案件管理集客からアフターフォローまで情報を集約部門をまたいだ連携がスムーズになり情報の断絶がなくなった
BI・レポート機能売上見込みや実績をダッシュボードで確認リアルタイムの数字をもとに経営判断が早くなった
入金・進捗管理契約後の入金状況と工事工程を1カ所で管理二重入力と手動のデータ更新作業がなくなった

自社の業務フローに合わせた工程設定が開発なしで変更できるため、建設業DXの段階に合わせて長く使い続けられます。営業・経理部門の事務工数は30%の削減を見込んでおり、現場の手間を減らしながら顧客対応の時間を増やしたい企業に支持されています。

リフォーム・新築工事での具体的な変化

  • 二重入力がなくなり、入力ミスとチェック作業の手間が減った
  • 実績がダッシュボードで見えるようになり、販売施策が立てやすくなった
  • 転記や手作業から解放され、顧客提案や現場対応に使える時間が生まれた

CASE2. エネルギー・プラントの断熱施工における株式会社阪和の事例

株式会社阪和

エネルギー、プラント、発電設備などの断熱施工を手掛ける株式会社阪和は、現場に特化した案件管理システムを使って、紙ベースの運用に起因する情報の重複や非効率な体制を刷新しました。具体的なシステムの活用方法は主に3つです。

特徴活用方法効果
業務全体のデータ連携現場作業から請求業務まで一元管理情報の重複による無駄な作業がなくなった
現場特化のフォーマット厳しい管理基準が必要な業務を型に落とし込む品質基準をクリアしながら管理の手間が減った
タスクの見える化案件ごとの進捗をリアルタイムで集約状況をすぐ把握でき正確な処理ができるようになった

SO9001の導入で増えた管理項目をデジタルに切り替え、現場の疲弊につながっていた重い負担が軽くなりました。分散していた管理項目をまとめたことが、「情報の散在と作業精度のムラを解決することにつながっています。

エネルギー・プラントの断熱施工での具体的な変化

  • 紙の二重管理がなくなり、現場担当者の事務負担が大きく減った
  • 原子力発電所など高い品質基準がある現場でも対応できるようになった
  • 現場から請求まで1カ所で処理できるようになり、転記ミスがなくなった

もっと詳しく 業務管理のDX化で現場がどう変わったか、3社の導入事例から具体的な変化を紹介しています。
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建設業DXのデジタル技術33項目早見表

現場やバックオフィスで導入が進んでいる主要な建設業のデジタル技術を、具体的に整理しました。すべて個別に導入する必要はなく、複数の機能が統合されたシステムを採用したり、既存の仕組みと外部連携させたりするなど、自社の課題に合わせた最適な形態で活用できます。

技術名・項目概要
3Dスキャナレーザーで構造物の形状をミリ単位の精度で立体データ化する
AI OCR手書きの帳票や図面内の文字を、自動でデジタルデータ化する
AI画像解析現場写真から危険挙動や進捗状況を、AIが自動で判別する
AI自動設計過去データから最適な構造計算や図面をAIが自動生成する
ARMR(拡張・複合現実)現実の視界に設計図を重ね、施工ミスや干渉を防ぐ
BIM・CIM設計・施工・維持管理の情報を、3Dモデルに集約する
ERP(基幹システム)経営資源を統合管理し、工事原価をリアルタイムに把握する
ICT建機重機を自動制御し、経験の浅い人でも精密な施工を可能にする
ICT測量3次元データを用いて、広範囲の測量を迅速かつ精密にする
IoTウェアラブル作業員の心拍数等を管理し、熱中症や事故を未然に防ぐ
IoTセンサー現場の温湿度やコンクリート硬化状態を遠隔から監視する
RFID(ICタグ)資材にタグを付け、入出荷や在庫位置を非接触で一括管理する
VR(仮想現実)360度の仮想空間で、臨場感のある安全教育や疑似体験をする
アシストスーツ身体への負担を軽減し、重い資材の搬送などの作業を補助する
営業支援(案件管理)営業活動を可視化し、フォロー漏れ防止と成約率向上を図る
機器・資材管理現場ごとの機器使用状況を正確に把握し、保守点検からアフターまで管理する
クラウドサービス資料や写真をネットで共有し、場所を問わず更新できる
契約管理顧客・案件情報をデータベース化し、過去の経緯を踏まえた最適な提案に繋げる
現場アプリスマホで最新予定の確認や見積作成を可能にし、現場と事務の連携を強化する
顧客管理顧客情報を全部署でリアルタイム共有し、継続的な関係構築と売上拡大を支援
作業日報アプリ現場で日報をスマホ入力し、報告書作成と共有の工数を大幅に削減する
写真・ファイル管理現場写真や書類を案件に紐づけてクラウド管理し、即座に共有する
申請・承認ワークフロー見積もりや請求をスマホから申請し、業務の停滞と属人化を防ぐ
自動化ルール請求や入金などの定型業務に自動処理を設定し、ミス防止と省人化を実現する
スケジュール・作業管理現場の工程や作業員の配置を可視化し、リアルタイムでの進捗調整を可能にする
施工管理システム工程や図面を一括管理し、現場事務のペーパーレス化を推進する
請求・入金管理見積書や原価と連動した請求書発行から、入金消込や会計連携までを一元化する
センシング技術センサーで目に見えない構造物の変化や劣化を数値化する
デジタルツイン現実を仮想空間に再現し、施工工程を高度にシミュレーションする
ドローン高所点検や空中測量を、安全かつスピーディに実施する
発注管理見積書から発注書までを連携し、進捗の可視化と原価への自動反映を行う
見積作成マスタ情報で誰でも高品質な見積もりを作成し、発注業務へデータを繋ぐ
レポート・ダッシュボードデータをリアルタイムで可視化し、多角的な状況把握と迅速な経営判断を支援

※ 2026年5月時点

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建設業DXを始める3ステップ

STEP1. 現場の課題洗い出しと優先順位

DX推進の第一歩は、現場の生の声を集めることです。経営層が一方的に決めるのではなく、実際に業務を担当する社員が何に「足かせ」を感じているかを明確にしましょう。

フェーズ具体的なアクション重点チェックポイント
ヒアリング現場が抱える悩みや無駄を直接聞き取る建設現場特有の見えない課題を徹底的に掘り起こす
課題評価二重入力などツールで解決できる課題を絞る現場ならではの悩みに対しデジタル化が有効か分析する
優先度決定写真整理など負担の軽いものから始める現場の声が反映されていると実感してもらい足かせを取り除く

STEP2. 操作が簡単なツールの選定

どれだけ高機能なツールでも、現場で活用されないと進みません。特にITに不慣れな社員でも、「使い慣れたスマートフォンのように」直感的に操作できることが定着の分かれ道となります 。

操作が簡単なツールの調べ方

  • 説明書なしで直感的に使いこなせる画面を選ぶ
  • 現場のルールに合わせ柔軟に設定を変えられる
  • 無料体験で現場の担当者が使い心地を確かめる
  • 選定から定着まで手厚い支援があるか確かめる
  • 現場と経営を繋ぎ情報をまとめて管理できる

STEP3. 特定現場でのスモールスタート

一斉に広めるのではなく、小さな成功体験を積み重ねることで、最終的な全社導入がスムーズに進みます

実施内容意識したいポイント
新しい取り組みに抵抗が少ない現場から始める心理的なハードルを下げやすい前向きなチームを選ぶ
入力の決まりを最小限にして現場の負担を抑える現場の社員がシステムを使い慣れる環境作りを最優先する
業務の改善度合いを定期的に数字で確かめる約8割の事業者が改善を実感しているデータを指標にする
残業の減少や嬉しい変化を社内で伝える約40%が大幅な時間削減に成功した例を出しメリットを伝える

建設業DXを推進させる総合システム3種

1. 大手・中堅向け建設業総合ERP(基幹業務システム)

PROCES.S

財務会計、原価管理、人事労務など、企業の基幹業務すべてを建設業の商習慣に合わせて統合したシステムです。各部署が独自のツールで管理する状態から脱却し、全社で正しい1つの数字を共有できます。

サービス名主な機能業務改善ポイント
PROCES.S統合会計、工事原価管理、販売、給与、JV管理、支払、電子承認など全業務が財務会計に直結。現場の動きを経営数字に即時反映し、透明性の高い経営を実現できる
OBIC7会計、人事、給与、就業、販売、工事原価管理など複雑な組織や雇用形態、外部連携に柔軟に対応。大手企業のDXを根底から強力に支える
ガリバーPro工事管理、支払管理、債権管理、電子保存、ワークフローなど注文から支払までをデジタル化。法改正への対応と業務効率化を高いレベルで両立する

2. 現場特化型プラットフォーム

Photoruction

図面やBIM、さらにはAIを活用した検査など、現場のあらゆる情報をデータプラットフォームとして集約する仕組みです。現場で発生する情報が自動的に整理される仕組みにより、現場監督が品質管理などの付加価値の高い業務に専念できます。

サービス名主な機能業務改善ポイント
Photoruction写真、図面、タスク、工程、検査、書類作成、AI自動解析などデータを一括集約。自動化やBPO活用により、技術者が本来の業務に集中できる環境を作ります

3. 現場・事務一貫型ビジネス管理システム

建設業DXができる「プロワン」

建設業界のDXにおいて、個別のアプリ導入はデータの分断を招くリスクがあります。現場、事務、経営を1つの仕組みでつなぎ、二重入力や情報のタイムラグをゼロにする統合的なシステム導入が重要です。顧客管理から見積、施工、請求までを一気通貫で管理しましょう。

サービス名主な機能業務改善ポイント
プロワン顧客管理、スケジュール、写真・日報、見積・請求、電子署名、経営分析など現場と事務を完全デジタル化。報告から請求まで即座に連動し、淀みのない業務フローを構築する
AnyONE顧客管理、図面・書類管理、工程表、実行予算、アフター管理など顧客体験をデータ化し属人化を排除。会社全体で案件状況をリアルタイムに可視化する

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。

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