DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?簡単に理解できる事例と仕組み

「DXで何が変わる?」
「IT化とは何が違う?」

DXが自社の業務とどうつながるのか、導入前はイメージがしにくいです。そこでDXの本当の意味、IT化との明確な違い、身近な成功事例から、DXの推進の仕方まで、専門用語を使わずに一つひとつ紐解いていきましょう。

DX化とは?簡単にわかる基本の「き」

街にある本屋さんが「古いレジをPOSレジにして、データ分析する」だけでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは呼べません。一方で「①顧客の購買履歴をデータベース化する、②一人ひとりの好みに合わせた本をAIが推薦できるようになる、③電子書籍の配信サービスも始める」としたら、これは本格的なDXです。

つまり、DXとは、商品やサービスの提供方法から、社内の働き方、意思決定のプロセスまで、会社の根本的な部分をデジタルの力で作り直していく取り組みです。経済産業省「DXレポート」の中でも、次のように定義しています。

DXの定義

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

これを簡単に整理すると、以下の3つの要素に分解できます。

要素具体的な内容身近な例
デジタル技術の活用AI、クラウド、IoTなどを使う売上から購買パターンを分析する
ビジネスモデルの変革商品やサービスを最適化する車の所有からカーシェアに変える
組織文化の変革意思決定や働き方を刷新するデータに基づいて経営判断をする

DX化とIT化の違い

次に業務でよく見かける状況から「アナログ、IT化、DX化」の違いを見てみましょう。データを基点にして「①収集、②処理、③承認、④対応、⑤成果」に分けると、まったく異なることがわかります。

項目アナログIT化DX化
① 収集顧客から電話やFAXで依頼顧客からメールで依頼顧客がサイトのフォームに24時間入力可
② 処理営業担当が手計算し、Excel作成営業担当がExcelテンプレートなどで作成AIが最適な価格を算出し、自動生成
③ 承認上長が印刷した見積書に捺印上長がメール添付のファイルを確認し、返信電子ワークフローにより即時通知
④対応見積書をFAXや郵送で送付PDFファイルをメールで送信見積書がサイトやメールで自動発行される
⑤ 成果見積書提示見積作業の高速化見積作業から高付加価値業務にシフト

DX化とIT化の決定的な違いは「目的」です。IT化はこれまでと業務の流れや目的は変わらず、早くなっただけです。DX化は従来の作業から解放され、別の付加価値の高い業務に専念できます。

DX化とデジタル化の違い

同じDigitalが付く「デジタル化、デジタライゼーション、DX」の違いも見てみましょう。デジタル化(デジタイゼーション)はアナログからデジタルに変えること、デジタライゼーションはそのデジタル化したデータを使って効率化していくことです。

専門用語ひとこと変わるもの目的
デジタル化
Digitization
電子化媒体を変えるデータを探しやすくする紙やアナログがデジタルデータになる
デジタライゼーション
Digitalization
効率化プロセスを変えるコストと時間を減らす手作業が自動化し、オンライン化する
DX
Digital Transformation
変革ビジネスを変えるコストと時間を減らす物だけではなく、物と体験を提供する

DXとは、電子化や効率化を「手段」として、会社の在り方や顧客への価値提供を根本から見直す取り組みです。人手不足や競争激化が進む現代において、DXは企業規模を問わず避けて通れない経営課題となっています。

DX化の必要度チェックリスト21項目

DX化を検討するために、業務環境5分野に潜む課題を必要度チェックリストで振り返ってみましょう。チェックを付けると最後に合計点が表示されます。

1. 課題・危機感(Why)
2. 経営・戦略(Top)
3. 組織・文化(People)
4. 技術・データ(Technology)
5. 顧客・市場(Market)
合計 0 点

採点詳細
1〜6点いくつかの課題が見受けられます。まずは紙やFAX、ハンコの廃止といったIT化から着手し、足元の非効率を解消しましょう。
7〜11点DX推進の必要性が高まっています。競争力を失わないためにも、特にチェックが多いカテゴリから、優先的に対策すべきタイミングです。
12点以上複数の領域で深刻な課題を抱えている可能性が高いです。経営トップの強いリーダーシップのもと、全社的なDXに早急に着手しましょう。

DX導入事例2選

CASE1. 設備工事におけるヤンテック株式会社の事例

ヤンテック株式会社
ヤンテック株式会社

設備工事を手掛けるヤンテック株式会社は、業務管理システムを導入し、複雑な書類管理と案件管理のDX化を進めました。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴活用方法効果
情報の一元管理点在していた案件情報を集約情報整理の時間を大幅に削減
現場アプリスマホで見積もりや工事写真を確認外勤と残業時間の削減
見積もりテンプレートテンプレートを活用した見積もり作成最短1分で見積もり作成が可能に
検索機能過去案件の詳細情報を即座に検索3〜5年前の追加工事依頼にも即対応

同社は公共工事と法人向け案件を主軸とし、電気工事と空調工事の両方に対応していますが、膨大な量の案件を通常の人数で対応することができるようになりました。

設備工事の事例

  • 部署ごとに異なっていたシステムが統一され、業務の透明性が向上
  • 現場以外の事務作業が削減され、限られた従業員数での効率化
  • 未習熟者でも質の高い見積もりを簡単に作成できる体制を構築
  • 若手人材の登用が進み、20代の従業員が増加する好循環を創出

CASE2. 配送・設置工事における株式会社ソーデン社の事例

株式会社ソーデン社
株式会社ソーデン社

家電機器の配送・設置工事をする株式会社ソーデン社は、現場業務に特化したシステムを使って、元請けや関連会社との情報連携を中心にDX化を実現しました。具体的なシステムの活用方法は主に4つです。

特徴活用方法効果
全拠点の情報集約20拠点の状況をシステムで一元管理リアルタイムに可視化を実現
現場アプリ見積もりをその場でSMS送信現場での活用が予想以上に進展
デジタル書類作成現場報告書をデジタル化作業効率が格段に向上
自動集計売上、原価、経費を自動集計収支状況をリアルタイムに把握

顧客側と自社側での二重管理体制から脱却し、事務作業の大幅な効率化を達成しています。現在は大手量販店と提携し、1日1,000件ほどの案件を処理できるようになりました。

配送・設置工事の事例

  • 複雑なクライアントシステムを使い分けから、1つのシステムでの統合管理へ移行
  • 担当者の休職や退職時でも案件詳細を把握できるようにし、受注機会の損失を防止
  • インボイス制度や電子帳簿保存法の改正に対応した業務プロセスを確立
  • 2024年問題に向けて、残業時間の更なる削減への取り組みが可能に

DX化するまでの3ステップ

STEP1. 身近な業務課題を洗い出す

DX化を成功させる秘訣は、壮大な計画ではなく、小さな一歩から始めることです。まずは各部署で「なんとかならないかな」と感じている業務を書き出します。

業務の課題を書き出したの例

  • 毎朝の売上集計に2時間もかかって、他の仕事が進まない
  • 同じ情報を複数のシステムに何度も入力している
  • 会議の資料準備だけで半日潰れてしまう
  • お客様からの問い合わせ履歴が担当者しかわからない

こうした「小さなイライラ」こそがDX化につながります。課題を整理する際は、次の観点でチェックしてみましょう。

チェック項目確認内容優先度の判断基準
頻度その業務は毎日発生するか?頻度が高いほど効果大
時間どれくらいの時間を費やしているか?月間20時間以上なら最優先
ミスの可能性人為的ミスが起きやすいか?ミスの影響が大きい業務を優先
関係者数何人が関わっているか?多くの人が関わる業務ほど改善効果大

STEP2. 小さく試して効果を実感する

DX化は無料や安価なツールで効果を実感できることも多いです。例えば、会議の日程調整ならGoogleカレンダーの共有から始めたり、Excelでの集計作業が大変ならGASの組み込んだりします。

営業日報を無料でIT化し、DX化をする例

  1. 紙の日報をGoogleフォームで入力する(無料)
  2. 入力データを自動でスプレッドシートに集計する(無料)
  3. 集計データから自動でグラフ作成する(無料)
  4. 必要に応じて専門ツールの導入を検討する

この方法なら、リスクを最小限に抑えながらDXを体感できます。実際に業務時間が削減され、ミスが減り、情報共有がスムーズになることを実感すれば、周囲の理解も得やすくなるでしょう。

STEP3. 周囲を巻き込み仲間を増やす

小さな成功を収めたら、その喜びを周囲と共有することが重要です。「日報の集計が自動化されて、毎朝30分早く営業活動を始められるようになった」という具体的な成果を、チーム会議で発表してみましょう。

対象者発表内容
上司コスト削減効果と生産性向上の数値を提示する
同僚業務負担の軽減と残業時間の削減をアピールする
部下スキルアップの機会とキャリアアップの可能性を説明する

DX推進チームのような横断的な組織を作ることも効果的です。各部署から1名ずつ参加してもらい、月1回の情報交換会を開催。成功事例や失敗談を共有することで、会社全体のDXリテラシーが向上していきます。

意外と「うまくいかなかったら元に戻せばいい」という軽い気持ちが大切です。まずはツールやシステムを試してみて、DX化を成功に導きましょう。

DXを実現する「プロワン」

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。

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