脱紙・ペーパーレス化の事例3選!現場のメリットと進め方がわかる

「紙の書類ばかりで管理しきれない…」
「どのようにデジタル化したのか?」

脱紙の5つのメリットから、依存度チェックリスト、真似できる他社の成功事例、導入ロードマップ、おすすめの脱紙ツールまでを一緒に見ていきましょう。

脱紙・ペーパーレス化とは?5つのメリット

1. 劇的なコスト削減を実現する

脱紙やペーパーレス化とは、従来の紙文書中心の業務プロセスをデジタル化し、電子データを主軸とした業務体制へと転換することを指します。単に紙をスキャンしてPDF化するだけではなく、業務フロー全体を見直し、デジタル技術を活用して効率化を図る包括的な取り組みです。

脱紙による最もわかりやすい効果は、年間数百万円から数千万円規模のコスト削減です。

コスト項目年間削減額の目安(従業員100名規模)
紙・印刷関連費用約200万円
保管スペース賃料約150万円
ファイリング作業人件費約300万円
郵送・配送費約100万円
合計削減額約750万円

さらに書類を探す時間の削減による生産性向上効果は金額換算すると更に大きな価値を生み出します。

2. 業務の生産性を飛躍的に高める

脱紙は単なるコスト削減だけでなく、業務スピードを2倍から3倍に加速させる強力な生産性向上ツールです。デジタル化された文書は検索機能により瞬時に必要な情報にアクセスでき、複数人での同時編集も可能になります。

脱紙の業務改善例

  • 契約書管理で過去の契約内容を数秒で検索・確認
  • 議事録作成で音声認識とAIを活用し、作成時間を80%短縮
  • 報告書作成でテンプレート化により定型業務を自動化
  • 情報共有で部門間での即時共有により待ち時間をゼロに

3. 意思決定のスピードを加速させる

脱紙は承認プロセスにおいて、意思決定スピードを劇的に向上させます。従来の紙ベースでは、物理的な書類の移動や確認待ちで数日から数週間かかっていた承認が、デジタル化により数時間で完了するようになります。

電子承認システムを導入することで、出張中の上司もスマホから即座に承認でき、過去の事例でも承認待ちを80~90%削減できます。また、承認履歴がすべてデジタルで記録されるため、監査対応も格段に楽になり、コンプライアンス強化にもつながります。

4. 場所を選ばない働き方を可能にする

脱紙はテレワークやハイブリッドワークの実現に不可欠な要素です。すべての文書がクラウド上で管理されることで、オフィスにいなくても必要な情報にアクセスでき、業務を滞りなく進められます。

脱紙の働き方改革

  • 地理的制約を超えた採用による優秀な人材の確保
  • 通勤時間削減によりワークライフバランスが向上
  • BCP対策となり、災害時でも業務継続が可能
  • オフィスコストの削減して、賃料を節約

5. セキュリティとBCPを強化する

意外に思われるかもしれませんが、適切に実施された脱紙はセキュリティを大幅に向上させます。紙文書は誰でも閲覧可能で、紛失や盗難のリスクが常に存在しますが、デジタル文書はアクセス権限を細かく設定でき、閲覧履歴もすべて記録されます。

また、災害時の事業継続計画(BCP)においても、クラウド上にバックアップされた電子データは、物理的な被害を受けることなく即座に復旧できます。東日本大震災では多くの企業が紙文書を失い、復旧に膨大な時間を要しましたが、脱紙を進めていた企業は迅速に業務を再開できました。

紙への依存度チェックリスト

自社がどの程度紙に依存しているか、客観的に把握することが脱紙の第一歩です。以下のチェックリストで、現在の紙依存度を確認してみましょう。スコア11~20点は危険度「中」、スコア21点以上は危険度「高」です。

診断項目 リスクレベル
会議資料は必ず人数分印刷している (印刷コスト・準備時間の浪費)
承認印(ハンコ)を押すために出社することがある (業務の停滞・意思決定の遅延)
ファイルキャビネットが執務スペースの20%以上を占めている (オフィスコストの圧迫)
過去の文書を探すのに30分以上かかることがある (年間での膨大な時間ロス)
契約書は必ず原本を製本して保管している (管理コスト・災害時の紛失リスク)
FAXが現役で稼働しており、主要な連絡手段の一つだ (情報漏洩リスク・非効率)
在宅勤務時に必要な書類が手元になくて困ったことがある (業務の中断・生産性の低下)
監査対応で段ボール箱を何箱も準備する (対応工数の増大・検索性の悪さ)
回覧板や紙の配布物で社内の情報共有を行っている (情報伝達の遅延・共有範囲の限定)
書類の修正指示を、印刷したものに赤ペンで書いている (修正漏れ・バージョン管理の煩雑化)
担当者しか保管場所を知らない重要書類がある (業務の属人化・ブラックボックス化)
請求書や領収書を紙で受け取り、手作業で処理している (入力ミス・月次決算の遅延要因)
機密情報が記載された書類を施錠なしで保管している (情報漏洩・紛失事故リスク)
書類の保管・廃棄ルールが曖昧、または徹底されていない (法令違反リスク・管理コスト増)
合計 0 点

脱紙・ペーパーレス化の成功事例3選

CASE1. プラント設備工事における株式会社佐々木プラントの事例

株式会社佐々木プラント

プラント設備工事を手掛ける株式会社佐々木プラントは、業務管理システムを導入し、紙とExcelベースの管理体制から脱却することで、ペーパーレス化による業務効率の大幅な改善を実現しています。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴活用方法効果
カレンダー機能人員配置をデジタル管理で一元化ダブルブッキングを完全に解消
電子帳票システム見積書・請求書のフォーマットを統一転記作業の削減と業務品質向上
モバイル対応現場で報告書作成・電子サイン取得紙の持ち運びや事務所往復が不要に
クラウド情報共有案件ごとの進捗をリアルタイム管理LINEでの混在した情報共有から脱却

大阪営業所を含む全国展開において、紙の図面配布を完全デジタル化し、現場と事務所間の移動時間を大幅削減しました。従来は紙の忘れ物による現場への再訪問で時間と移動費がかかっていましたが、モバイル端末からの即時アクセスにより、現場作業の効率性が飛躍的に向上しています。

プラント工事事業の変革事例

  • 紙の図面コピーと手渡しから、デジタル配信による即時共有へ移行
  • 完成報告書の電子サイン機能により、紙の持参忘れによる現場再訪問を撲滅
  • Excel個別管理から脱却し、月平均10件の案件を一元的にペーパーレス管理
  • 見積書から請求書まで電子帳票で一貫処理し、紙の転記作業を完全削減

※ プロワン「株式会社佐々木プラント

CASE2. 貯水槽・排水管清掃管理における大芝水工の事例

創業40年以上の歴史を持つ大芝水工は、業務管理システムを導入し、月100件を超える清掃・維持管理案件の紙やExcelによる属人的な管理体制から脱却し、デジタル化による業務基盤の変革を実現しています。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴活用方法効果
カレンダー管理機能案件の未定・確定を色分け表示紙への書き出しと修正テープ作業を完全撤廃
顧客情報一元管理マンション別の作業履歴を案件に紐づけフォルダ管理から脱却し即座に過去経緯を確認可能
定期案件自動登録毎月の繰り返し案件を自動化手作業での個別登録作業を削減
ドラッグ&ドロップ機能案件の日程調整を視覚的に実施日程変更の工数を大幅削減

関東全域をカバーする同社では、ホワイトボードと紙による管理から完全デジタル化を実現し、属人化していた月100件超の案件管理を標準化しました。6年前は2名体制で月20件程度だった案件数も、現在は9名体制で月150件まで対応可能となり、システム化による効率的な業務拡大を実現しています。

貯水槽・排水管清掃管理事業の変革事例

  • 紙の予定表とExcel見積書、ビジネスチャットの分散管理を一元化し、情報連携を実現
  • LINEでの手入力による現場割り当て作業を撤廃し、システム上で完結
  • 支店別・マンション別の複雑な顧客情報をデジタル管理し、紙のフォルダ管理を廃止
  • 抜け漏れによる顧客への迷惑を解消し、ペーパーレス化による確実な業務遂行を実現

※ プロワン「大芝水工株式会社

CASE3. 配送における株式会社ソーデン社の事例

株式会社ソーデン社

2026年までに売上100億規模を目指す株式会社ソーデン社は、プロワンを導入し、紙ベースの配送管理から完全デジタル化への移行を実現しています。元請・関連会社との情報連携における脱紙化により、1日1,000件規模の案件処理の効率化と業務基盤の変革を達成しました。

特徴活用方法効果
現場報告書のデジタル化紙の配送表から電子チェックシステムへ移行作業効率が格段に向上し残業時間削減
デジタル書類作成機能現場でタブレットを使い見積書・請求書を即時作成オフィスへの持ち帰り作業を完全撤廃
SMS送信機能作成した見積もりをその場で顧客へ電子送信紙の見積書作成・郵送業務を削減
クラウド情報共有全20拠点の案件データを一元管理紙ファイルの検索作業から解放

全国20拠点を展開する同社では、従来紙の束を持って配達していた現場作業を完全デジタル化し、手書き管理からの脱却を実現しました。複数のクライアントシステムで二重管理していた紙ベースの業務も、プロワン導入により電子化され、事務作業の大幅な効率化を達成しています。

配送事業の変革事例

  • 紙の配送表による確認作業をデジタルチェックシステムに移行し、日次突合作業を撤廃
  • 手書きの料金管理をデジタル価格表に置き換え、事務員のデータ入力作業を削減
  • 紙ファイルに埋もれていた顧客・作業データをクラウド上で一元管理し、情報検索を効率化
  • 現場での紙の見積書作成から、タブレットによる電子見積もり作成・送信へ完全移行

※ プロワン「株式会社ソーデン社

脱紙・ペーパーレス化の導入ロードマップ

脱紙は一朝一夕には実現できません。しかし、適切なロードマップに沿って進めることで、確実に成功へと導くことができます。ここでは、多くの成功企業が採用している3段階アプローチを詳しく解説します。

STEP1. 現状把握と目標の数値化

脱紙プロジェクトの成功は、現状の正確な把握と明確な目標設定から始まります。まずは以下の項目を徹底的に調査し、数値化することが重要です。

現状把握すべき項目

  • 年間の紙購入量と印刷枚数
  • 文書保管に使用しているスペースの面積
  • 書類探しに費やしている時間(アンケート調査)
  • 承認プロセスにかかる平均日数
  • 紙文書に起因するトラブルの発生頻度

これらのデータを基に、具体的な削減目標を設定します。例えば「1年後に紙の使用量を50%削減」「承認時間を3日から1日に短縮」といった測定可能な目標を立てることで、プロジェクトの進捗を客観的に評価できます。

STEP2. 特定部門でのスモールスタート

全社一斉の導入は失敗のリスクが高いため、パイロット部門を選定してスモールスタートすることが成功の鍵です。理想的なパイロット部門の条件は以下の通りです。

理想的なパイロット部門の条件

  • ITリテラシーが比較的高い
  • 部門長がデジタル化に前向き
  • 業務プロセスが比較的シンプル
  • 成果が測定しやすい

多くの企業では、総務部門や営業企画部門から始めることが多く、3〜6ヶ月で効果を実証してから他部門への展開を進めています。この段階で重要なのは、小さな成功体験を積み重ね、社内に「脱紙は効果がある」という認識を広めることです。

STEP3. 全社展開とルールの定着化

パイロット部門での成功を基に、段階的に全社展開を進めます。この際、以下の施策により定着化を図ることが重要です。

定着化のための施策

  • 脱紙推進委員会の設置と定期的な進捗管理
  • 各部門にデジタル推進担当者を配置
  • 定期的な研修とサポート体制の構築
  • インセンティブ制度の導入(削減効果の一部を部門に還元)
  • ルールの明文化と例外処理の最小化

特に重要なのは、例外を認めすぎないことです。「この書類だけは紙で」という例外を多く認めると、結局は元の紙文化に戻ってしまいます。原則デジタル、例外は経営承認という厳格なルールを設けることで、真の脱紙が実現します。

脱紙・ペーパーレス化におすすめのツール

ツール1. グループウェア

Google Workspace

文書のデジタル化と共有の基盤となるのがグループウェアです。単なるファイル保管場所ではなく、組織の知識基盤として機能する重要なツールです。グループウェア・は、次の通りです。

ツール名月額料金(1人)主な強み
Google Workspace680円〜リアルタイム共同編集に強く、シームレスな連携が魅力
Microsoft 365540円〜Officeアプリとの高い親和性とビジネスでの安心感

※ 2025年10月時点

選定時のポイントは、検索機能の充実度とアクセス権限の柔軟性です。また、既存システムとの連携性も重要で、例えばMicrosoft製品を多用している企業であれば、Microsoft 365との親和性を重視すべきでしょう。

ツール2. ワークフローシステム

X-point Cloud

承認プロセスのデジタル化にはワークフローシステムが効果的です。承認ルートの自動化により、承認待ちによる業務停滞を解消できます。

ツール名月額料金(1人)主な強み
X-point Cloud500円〜低価格で使いやすく、申請・承認業務を効率化
ジョブカンワークフロー300円〜紙の書類のような、直感的に使える入力フォームが特徴
サイボウズ ガルーン845円〜日本企業向け、大規模な組織でも使いやすい設計

※ 2025年10月時点

効果的なのは、スマホ対応により外出先からも承認可能になることで、意思決定スピードが格段に向上します。また、承認履歴が自動的に記録されるため、監査対応も大幅に効率化されます。

ツール3. 電子契約サービス

クラウドサイン

契約書の脱紙には電子契約サービスが最適です。印紙税の削減効果もあり、ROIが非常に高いツールとして注目されています。

ツール名月額料金主な強み
クラウドサイン10,000円〜+従量課金国内導入実績No.1、弁護士監修で法務に強い
DocuSign1人1,500円世界中で利用される、グローバル標準の電子署名
GMOサイン8,800円〜+従量課金充実の機能と高いコストパフォーマンスを両立

※ 2025年10月時点

電子契約の導入により、契約締結までの期間を平均2週間から2日に短縮でき、印紙税や郵送費を含めると年間数百万円のコスト削減が可能です。また、契約書の検索性が飛躍的に向上し、更新漏れなどのリスクも大幅に低減されます。

ツール4. 業務管理システム

プロワン
脱紙・ペーパーレス化「プロワン」

プロワンは、営業・現場・経営に必要な全機能を1つのプラットフォームで提供し、紙、Excel、メールでの情報共有から脱却することで、一気通貫のデータ連携を実現します。

中野貴利人

株式会社ミツモア マーケティング本部所属。業務管理システム「プロワン」のコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作中。著書5冊。

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