「オントロジーと言われたが、よくわからない」
「AI活用でオントロジーが出てくる」
そこで、オントロジーの基本的な理解から、自社への必要性がわかる診断チェック、オントロジーを始める3ステップ、中小企業の活用事例まで、社内で活かすための道筋を見ていきましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
CONTENTS
オントロジーとは?整理された知識の地図
1. オントロジーをひとことで言うと
オントロジーとは、言葉の意味と関係性を整理した「知識の地図」のことです。
元々は哲学で「この世界を構成するあらゆる要素を根本的に分類し、体系化する」という学問を意味していました。それが、AIやIT、業務改善の文脈では、知識をコンピューターが扱える明確な形に再構築したものを指し、近いようで少し異なる概念になってます。
2. 図解で見るオントロジー
言葉だけだとイメージしづらいので、図で見てみましょう。下の図は「ネコ」という身近な例で、オントロジーの骨格を表したものです。
何もしなければ「動物、哺乳類、ネコ、ミャーコ、田中太郎」はバラバラな単語として存在しますが、この図では「動物>哺乳類>ネコ」という階層ができており、次のようなつながりを確認できます。
単語がつながりを持った状態
- ネコは哺乳類の一種、哺乳類は動物の一種という「概念」でつながる
- ミャーコは、ネコの「個体」の1つである
- 田中太郎(ヒトの個体)はミャーコ(ネコの個体)の飼い主として「関係」がある
- ミャーコは年齢という「属性」を持つ
このように「動物」「哺乳類」「ネコ」といった概念や、「ミャーコ」「田中太郎」といった具体的な個体を、「飼い主」のような関係や「3歳」のような属性とともに整理したものが、先ほどの「知識の地図」の正体です。これがつかめれば、オントロジーの土台部分は理解できています。
続いて、図に出てきた「クラス、インスタンス、プロパティ」などの用語の意味も確認しましょう。
| 名前 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| クラス | 概念や種類を表す枠組み | 動物、哺乳類、ネコ |
| インスタンス | クラスに属する具体的な対象 | ミャーコ、田中太郎 |
| プロパティ | 対象同士とのつながりを表すもの | ミャーコの飼い主は田中太郎 |
| 属性 | 概念や個体が持つ情報 | 3歳 |
| ルール | 常に成り立つ条件や約束 | ネコは動物の一種である |
3. 実際に使うオントロジー
ネコの例で見た構造は、例えば、設備工事の業務にもそのまま当てはめられます。ネコの個体である「ミャーコ」は、空調機の個体である「AC101-0088」に置き換えられます。
| ネコの例 | 設備工事の例 |
|---|---|
| ネコの名前はミャーコ | 空調機の型番はAC101-0088 |
| ミャーコの飼い主は田中太郎 | AC101-0088の設置場所は新宿ビル |
| ミャーコの年齢は3歳 | AC101-0088の設置年は2024年 |
設備工事では「顧客、工事、現場、設備、点検、修理」といった概念を定義し、つながりを整理します。その結果、営業部が「AC101-0088を設置した工事は?」と探したとき、「顧客情報、工事内容、現場名、点検・修理履歴」などのデータを簡単に取ってこれるわけです。
オントロジーのメリット3選
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 2-1. AIの回答を業務に合わせやすくなる | 言い換えや社内用語の意味をAIが理解し、的外れな回答が減る |
| 2-2. 関連データをシステム横断でたどれる | 顧客から工事、現場、設備、保守履歴まで一続きに確認できる |
| 2-3. 判断基準を会社の知識として残せる | 同義語を束ね、異動や退職でも知識が失われなくなる |
2-1. AIの回答を業務に合わせやすくなる
AIが的外れな回答をする原因の1つは、言葉の意味を理解していないことです。例えば、製造現場で「不良品・不適合品・NG品」と呼び方が分かれているとき、人間は「同じもの」と察しても、AIは「別物」とする可能性があります。その結果、歩留まり集計では3つの経路に分かれ、不良率にズレが生じます。
そこで、オントロジーで「不良品=不適合品=NG品」と意味をつないでおくと、どの呼び方で質問しても同じ答えが返ります。
| 場面 | オントロジーなし | オントロジーあり |
|---|---|---|
| 言い換え | 同じ意味の「不良品」と「NG品」を別物とする | 同じ不良として束ね、歩留まりを取りこぼさない |
| 社内用語・略語 | 文字どおり「特管」と読み、意味を取り違える | 正しく「特別管理産業廃棄物」と解釈する |
| 回答の根拠 | それっぽい言葉をつないで誤回答が混じる | 定義された概念にひも付けて答え、誤りが減る |
2-2. 関連データをシステム横断でたどれる
「この部品はどの製品に使っている?」「このルールを変更すると、どのマニュアルを直す?」など、全体を追うのはなかなか難しいです。例えば、原材料の仕入れ単価が上がると、部品、製品、見積書へと数珠つなぎに影響が広がりますが、人の記憶ではミスが起きるでしょう。
オントロジーはバラバラだった知識の点を線でつないで、情報同士の関係性を地図のように可視化します。
| 項目 | 整理する前 | 整理した後 |
|---|---|---|
| 知識の状態 | 関連する情報がバラバラに点在している | 網の目のように線で結ばれる |
| 関係性の理解 | どこに何が影響するかが分からない | 変更時などの影響範囲がひと目でわかる |
| 情報の検索性 | 欲しい情報にたどり着くのに時間がかかる | 関連する情報まで芋づる式に見つかる |
2-3. 判断基準を会社の知識として残せる
この見積もりは「〇〇さんしかできない」など、個人に知識が紐づいていると、異動や退職のたびに業務がブラックボックス化します。そこで「築年数が20年現場は補修工程を足す」など、複雑な知識を言語化しましょう。オントロジーで見える化することで、次のように変わります。
整理がもたらす変化
- 判断基準が明文化され、新入社員でもベテランと同じ品質で対応できる
- 業務のブラックボックス化を解消し、異動や退職による知識の流出を防ぐ
- 社内資料へ誰でも迷わずアクセスできて、組織全体の有益となる
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オントロジー必要度チェック
オントロジーはすべての会社にいますぐ必要なわけではありません。そこで次の10問に直感で答えてみることで、点数・タイプ・優先して見直すべきポイントが表示されるようにしました。
10の質問で自社にオントロジー整備が必要かがわかります
点数が高いほど、知識が個人の頭の中に留まり、AI活用や引き継ぎでつまずきやすい状態です。14点以上なら、用語の洗い出しから整理を始めるサインとしましょう。
※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。
オントロジーの活用事例2選
CASE1. 通信・ネットワーク管理におけるNTTドコモソリューションズの事例

通信システムの開発・運用を手がけるNTTドコモソリューションズ株式会社は、概念同士の関係をたどれるナレッジグラフを使って、膨大なネットワーク構成の検索を速くしました。このシステムの特徴は以下のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 大規模な構成情報の管理 | 4,000万件のネットワーク構成をグラフデータベースで管理する | 構成情報を関係でつないで扱えるようになった |
| 検索スピードの向上 | 関係をたどる形で必要な構成を探す | 80分かかっていた検索が数十秒で終わるようになった |
| 関係性の見える化 | 機器やシステムのつながりをグラフで表す | 構成同士のつながりを直感的にたどれるようになった |
従来のデータベースでは、構成情報が増えるほど検索に時間がかかっていました。概念と関係を整理するオントロジーの考え方をデータ管理に取り入れたことで、必要な情報へ素早くたどり着けるようになっています。
ネットワーク管理での具体的な変化
- 大量の構成情報でも待たされずに検索できるようになった
- 機器やシステムのつながりを関係でたどれるようになった
- 検索にかかっていた時間が大きく短くなった
※ NTTドコモソリューションズ株式会社「国内企業の AI × ナレッジグラフ活用事例 ── 因果推論と実装から学ぶ」2025年10月27日
CASE2. 通信・WAN運用におけるIIJの事例

インターネット接続やネットワークサービスを提供する株式会社インターネットイニシアティブは、機器同士の関係をグラフで管理し、数万台規模のネットワーク運用を支えています。具体的なシステムの活用方法は主に3つです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 大量機器の管理 | 数万台のデバイスをグラフデータベースで扱う | 大規模なネットワークをまとめて管理できるようになった |
| 運用基盤への組み込み | WAN運用の基盤としてグラフデータベースを使う | 運用の土台に関係性の情報を取り込めるようになった |
| 安定運用 | 機器の関係を把握しながら運用する | 約2年間にわたり障害ゼロの運用を続けられた |
数万台もの機器を扱う運用では、機器同士のつながりを正しく把握できるかが安定運用のカギになります。概念と関係を整理するオントロジーの発想を運用基盤に取り入れ、長期間の安定運用につなげています。
WAN運用での具体的な変化
- 数万台の機器を関係でつないで管理できるようになった
- 運用の基盤に機器のつながり情報を取り込めるようになった
- 約2年にわたり障害を出さずに運用を続けられた
※ 株式会社インターネットイニシアティブ「Neo4j導入事例を発表:膨大な運用管理を円滑に」2023年12月13日
オントロジー構築を始める5ステップ
STEP1. 解決したい課題を探る
最初から用語を集めるのではなく、オントロジーによって解決したい課題を1つに絞ります。例えば、次のような課題です。
オントロジーで解決したい課題例
- 同じ意味の言葉が複数あり、検索結果に漏れが出る
- 関連する情報が複数の文書やシステムに分散している
- 担当者によって言葉の意味や判断基準が異なる
- 生成AIが社内用語や情報同士の関係を正しく理解できない
STEP2. 答えたい質問を決める
続いて「オントロジーを使って何に答えられるようにしたいか」を3〜5問程度にまとめます。専門的には「コンピテンシー・クエスチョン」と呼ばれており、例えば、顧客対応に関する情報を整理する場合は、次のように設定します。
| 決める項目 | 設定例 |
|---|---|
| 目的 | 顧客に関する情報を横断して検索できるようにする |
| 答えたい質問① | 顧客Aが契約している商品は何か |
| 答えたい質問② | 商品Xに関する過去の問い合わせはあるか |
| 答えたい質問③ | その問い合わせには誰が対応したか |
| 対象に含めるもの | 顧客、契約、商品、問い合わせ、担当者 |
| 対象に含めないもの | 請求、在庫、売上、人事評価 |
STEP3. 用語を集めて整理する
対象範囲が決まったら「マニュアル、帳票、データベース、社内文書」などから用語を集めます。現場で使われている「略語」や、文書に残っていない「呼び方」も確認し、次の項目で整理します。
| 項目 | 整理する内容 | 例 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 共通して使用する名称 | 顧客 |
| 定義 | その言葉が何を指すか | 商品やサービスの契約主体 |
| 別名 | 同じ意味で使われる呼び方 | お客様 |
| 種類 | クラス、インスタンス、プロパティなど | クラス |
| 情報源 | 定義の根拠となる文書やシステム | 顧客管理システム |
| 管理者 | 定義を確認・更新する担当者 | 営業管理部門 |
STEP4. 関係性とルールを設定する
次に、用語同士の関係を「主語・関係・目的語」の形で定義します。正式なオントロジーでは、概念や種類を「クラス」、具体的な対象を「インスタンス」、対象同士や対象と値のつながりを「プロパティ」として表現します。
| 主語 | 関係 | 目的語 |
|---|---|---|
| 顧客 | 締結する | 契約 |
| 契約 | 対象とする | 商品 |
| 問い合わせ | 関連する | 商品 |
| 担当者 | 対応する | 問い合わせ |
| 契約 | 開始日を持つ | 日付 |
さらに、必要に応じてルールも設定します。
設定するルールの例
- 契約には契約主体となる顧客がいる
- 問い合わせには対象となる商品またはサービスがある
- 契約開始日は日付形式で登録する
STEP5. サンプルデータで検証する
定義したクラスやプロパティに、実際のデータを数件から数十件程度登録してみます。例えば、次のようなデータです。
検証で確認したいこと
- 顧客A ── 締結する ── 契約001
- 契約001 ── 対象とする ── 商品X
- 問い合わせ123 ── 関連する ── 商品X
- 担当者B ── 対応する ── 問い合わせ123
サンプルデータの登録後には、STEP1で決めた質問に正しく答えられるかを確認します。正しく答えられない質問があれば、用語の定義、関係の向き、ルール、サンプルデータを見直します。オントロジーは1度で完成させるものではなく、実際に使いながら修正を重ねることが前提です。
| 検証項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 質問への回答 | STEP1で決めた質問に必要な情報が返るか |
| 表記揺れ | 正式名称と別名のどちらで探しても同じ対象が見つかるか |
| 関係のつながり | 顧客から契約、商品、問い合わせまで正しくたどれるか |
| 定義の一貫性 | 同じ言葉が複数の意味で使われていないか |
| 情報の根拠 | それぞれの定義やデータの参照元を確認できるか |
| 不足項目 | 答えるために足りない概念や関係がないか |
具体例
下の図は、現場の業務管理の記録をオントロジーとして整理し、AIが使える知識に変えた図解例です。
オントロジー導入例
日々の現場記録と判断を、AIが使える知識資産に変える仕組み
過去の記録と進行中の案件を
まとめて収集
類似案件の見積や対処法を参照
進行中の案件に顧客履歴や機器情報を補完
日々の作業を月次の売上・稼働計画に接続
報告書・書類づくりを自動化しやすくする
- 判断と品質確認は人が担う
- 書類づくりはできるだけAIに任せる
- 毎日の現場仕事が会社の資産になる
オントロジー対応ツール9選
1. オントロジー設計・編集ツール

概念や関係を定義する設計工程に特化したツールです。無料・低コストのものが多く、まずは小さな範囲でオントロジーを作って試したい段階に向いています。専門知識を学びながら手を動かしたい中小企業の第一歩として選びやすい分類です。
| サービス名 | 料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| Protégé | 無料 | スタンフォード大学が開発するオープンソース。世界的に利用実績が多く学習情報が豊富 |
| WebProtégé | 無料 | Protégéのクラウド版。インストール不要で複数人による共同編集に対応 |
| PoolParty | 要問い合わせ | 用語管理から公開まで一貫対応する商用製品。サポート体制を重視する企業向け |
※ 料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年6月時点
2. グラフデータベース

概念同士の関係を蓄積し、関係をたどる検索を高速に行う中核基盤です。事例で紹介したNTTコムウェアやIIJも、この分類のツールを使っています。本格的にデータを蓄積し、検索やAI連携につなげたい段階に向いています。
| サービス名 | 料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| Neo4j | 従量課金 | グラフデータベースの代表格。無料のコミュニティ版があり小さく始めやすい |
| Amazon Neptune | 従量課金 | AWSのマネージドサービス。使った分だけ支払う形で運用負担を抑えられる |
| GraphDB | 要問い合わせ | オントロジーの標準仕様に強く、概念の意味を扱う用途に向く |
※ 料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年6月時点
3. 統合データ基盤プラットフォーム

全社に散らばるデータをオントロジーで統合し、分析やAI活用までを一貫して支える大規模向けの基盤です。専任のIT部門があり、全社規模でデータ活用を進める企業に向いています。中小企業では、まず上の2分類から始め、必要に応じて検討する選択肢です。
| サービス名 | 料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| Microsoft Fabric | 従量課金 | 分析基盤を統合したサービス。Microsoft製品を使う企業となじみやすい |
| Palantir Foundry | 要問い合わせ | 企業のオントロジーを前面に据えた統合基盤。大規模なデータ活用に強い |
| NTTデータ(導入支援) | 要問い合わせ | ナレッジグラフの構築から運用まで支援。自社に専門人材が少ない場合の選択肢 |
※ 料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年6月時点
オントロジーでよくある質問回答
── 導入コストはどれくらいかかる?
始め方によって幅が大きく、費用をかけずに無料の設計ツールで着手することもできます。ただし、本格運用では「データ連携、データベース、権限管理、保守」などの費用が加わります。まずは1つの業務に絞って効果を確認するのが現実的です。
| 段階 | 使うツール | 費用の目安 |
| 設計・お試し | 設計・編集ツール | 無料から始められる |
| 本格運用 | グラフデータベース | 無料版〜従量課金 |
| 全社統合 | 統合データ基盤 | 従量課金〜要問い合わせ |
── AIベースのデータ基盤ではオントロジーが必須?
すべてのAI活用にオントロジーが必要なわけではありません。ただし、複数システムに蓄積された「データ基盤」と、AIを経由する「アクセス基盤」の間には、それらを介在するオントロジーが有効とされています。
| 層 | 役割 |
|---|---|
| データ基盤 | 生データの保存し、正確で利用可能なデータを蓄積・整備する |
| オントロジー | データの意味や関係、業務ルールを定義する |
| アクセス基盤 | AIが権限の範囲内で安全にデータを利用できるようにする |
── 専門知識がなくても自社で構築できる?
用語の洗い出しや関係の整理は、業務を理解している担当者が中心となって始められます。ただし、RDFやOWLによる実装、複数システムとのデータ連携には、データ設計や開発の知識が必要です。
業務担当者が意味やルールを決め、技術担当者がシステムへ実装する分担が適しています。
── オントロジーの標準技術とは?
主な標準技術は、RDF、RDFS、OWL、SPARQLの4つです。
| 技術名 | 役割 | できること |
|---|---|---|
| RDF Resource Description Framework | 主語・述語・目的語の組み合わせで事実を表す | 「A社の本社はX市」「製品YはカテゴリZに属する」といった事実をグラフ構造で表現する。機械がどのシステム間でも読めるよう標準化されている |
| RDFS RDF Schema | クラスやプロパティの基本的な構造を定義する | 「社員はPersonクラスのサブクラス」「所属するというプロパティは社員→部署にしか使えない」など、データの意味と制約を軽量に定義できる |
| OWL Web Ontology Language | より複雑な制約や同一性、推論ルールを定義する | 「AとBは同一概念」「この条件を満たすなら必ずXクラス」など複雑なルールを定義できる。推論エンジンがルールを使って新しい知識を自動導出したり、矛盾を検出したりできる |
| SPARQL SPARQL Protocol and RDF Query Language | RDFで表したデータを検索する | 「売上上位10社の社名と担当者を取得」のように、グラフ構造を横断して条件付き検索ができる。複数のデータソースをまたいだ連携クエリも可能 |
── オントロジーとカスタムオブジェクトの関係は?
カスタムオブジェクトは、独自のデータを保存する「箱」です。オントロジーは、その箱が何を意味し、ほかのデータとどのような関係にあるかを定義します。
例えば、「故障履歴」というカスタムオブジェクトを作るだけでなく、「故障は設備に発生する」「修理作業は故障を解決する」といった関係まで定めるのがオントロジーです。両者は置き換えるものではなく、組み合わせて使います。
── オントロジーと間違えやすい言葉は?
オントロジーは、概念の意味・関係・ルールを定義する設計です。似た用語には、それぞれ異なる役割があります。
| 用語 | 説明 | オントロジーとの関係 |
|---|---|---|
| グロッサリー | 言葉と定義を一覧にする | 関係やルールまでは定義しない |
| タクソノミー | 上位・下位の階層で分類する | オントロジーの関係の一部だけを扱う |
| シソーラス | 同義語や関連語を言い換える | 表記揺れの統合に近い |
| ナレッジグラフ | 実際の対象や事実を点と線でつなぐ | オントロジーを設計ルールとして使うことがある |
| グラフデータベース | グラフ形式のデータを保存し、検索する | データを扱う技術であり、意味の定義そのものではない |
| RAG | 文書やデータを検索してAIの回答材料にする | オントロジーがなくても使えるが、組み合わせると意味や関係を検索に反映しやすい |