MTTRとは?計算シミュレーションからMTBFやMTTFの違いまで

「MTTRの計算式は?」
「平均的な稼働率を正確に算出したい」

そこで、MTTRと稼働率の関係から、計算シミュレーション、現場で起きやすい数値ズレの防ぎ方、Excelなどで集計を仕組み化する方法まで、順に整理していきましょう。

DXまるわかりガイド
無料ダウンロード

計算や管理の効率化を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ

今すぐ詳しい資料を見る

MTTRとは?かんたん解説

1. MTTRとは平均修復時間のこと

MTTRは「Mean Time To Repair」の略で、日本語では「平均修復時間」と訳されます。設備やシステムが故障してから復旧するまでにかかった時間の平均値を指し、保全活動の速度と質を測るうえで欠かせない指標です。

1点注意しておきたいのが、MTTRには実は2つの解釈が存在するという点です。

意味詳細
Mean Time To Repair(平均修復時間)故障した機器を修理して動作可能な状態に戻すまでの時間であり、製造業の設備保全で最も一般的に使われる定義
Mean Time To Recovery(平均復旧時間)システムが障害から完全に復旧し、サービスが再開されるまでの時間であり、IT運用やSREの文脈で多く用いられる

現場では「Repair」と「Recovery」が区別されずに使われるケースが大半です。MTTRを運用する際には、どの定義を採用しているのかチーム内で明確にしておきましょう。

2. MTBFやMTTFとの違い

よく混同される指標にMTBFとMTTFがありますが、MTBFは「どれだけ長く動き続けるか」、MTTFは「壊れたときにどれだけ早く直せるか」を示す数値です。

名称意味詳細
MTBFMean Time Between Failures(平均故障間隔)ある故障から次の故障までの平均間隔で、修復可能な機器が対象
MTTFMean Time To Failure(平均故障発生時間)稼働開始から最初の故障までの平均時間で、修復不可の機器が対象

修復できる設備にはMTTRMTBFの両方を使って稼働率を算出します。また、MTTFは使い捨てセンサーのように交換前提の部品に用います。

3. MTTRが重要視される3つの理由

MTTRが保全・運用の現場で重視されるのには、大きく3つの理由があります。

1. ダウンタイムコストの定量化
MTTRで故障1回あたりのダウンタイムが定量化できるため、単位時間あたりの損失コストを掛ければ損失額も算出できる。設備投資の費用対効果を経営層に示す根拠になる。

2. 稼働率の算出
MTBFと組み合わせて稼働率を計算する。例えば「稼働率99.9%以上(年間ダウンタイム約8.76時間以内)」といった目標を掲げている現場では、MTTRの短縮が目標達成に直接貢献できる。

3. 文書化が求められる指標
ISO/IEC 20000やITILではインシデント管理のKPIとしてMTTRが広く用いられ、監査でも計測方法を問われるため、定義と算出プロセスの整備が必要である。

MTTRの計算シミュレーション

MTTR(平均修復時間)を計算できるようにしました。MTBF(平均故障間隔)と組み合わせて稼働率も算出できます。

MTTR(平均修復時間)計算ツール
時間
MTTR(平均修復時間)
MTBF(平均故障間隔)計算ツール
時間
時間
MTBF(平均故障間隔)
稼働率

MTTRの計算式

1. 基本の計算式

MTTRの計算式そのものはシンプルです。総修復時間を故障回数で割って求めます。

MTTR = 総修復時間 ÷ 修復回数

2. 製造ラインにおける計算例

よくある製造ラインを想定し、実際にMTTRを算出してみましょう。

故障発生日時復旧完了日時総修復時間(ダウンタイム)
4月3日 午前9時00分4月3日 午前11時30分2時間30分
4月10日 午後1時00分4月10日 午後5時00分4時間00分
4月18日 午前10時00分4月18日 午後1時30分3時間30分
4月25日 午後3時00分4月25日 午後6時30分3時間30分

4月は4回故障が発生しており、総ダウンタイムは13.5時間でした。MTTRは約3時間23分かかっています。仮にMTTRの目標を2時間以内に設定しているなら、1件あたり平均1時間23分の短縮が求められます。

総ダウンタイム = 2.5 + 4.0 + 3.5 + 3.5 = 13.5時間
MTTR = 13.5時間 ÷ 4件 = 約3時間23分

また、MTTRには、定期メンテナンスのような計画的に停止させた時間は含めません。MTTRはあくまで予期しない故障に対する復旧パフォーマンスを測る指標であり、意図的な停止は計測対象外です。

3. MTTRとMTBFで稼働率を求める

稼働率の算出式は以下のとおりです。

MTBF = 総稼働時間 ÷ 総故障回数
稼働率(%) = MTBF ÷ (MTBF + MTTR) × 100

例えば、月の総稼働時間が「1日8時間×稼働日数20日=160時間」とすると、先ほどの例では総ダウンタイムは「13.5時間」でしたので、実際に動いていた時間は「160ー13.5=146.5時間」と計算できます。これを元にMTBFと稼働率を計算します。

MTBF = 146.5時間 ÷ 4件 = 36.625時間
稼働率 = 36.625 ÷ (36.625 + 3.375) × 100 = 91.6%

仮に稼働率の目標を99%以上に設定しているなら、差は7.4%もあります。MTTRの短縮だけでは届かず、故障そのものの頻度を下げる予防保全の強化も欠かせないことが、数値ではっきり見えるようになります。

DXまるわかりガイド
無料ダウンロード

計算から管理業務まで、
現場が変わった24社のリアルを公開

業種や機能ごとのDX成功事例を1冊に。自社に合うヒントがきっと見つかります。

24社 の実例を収録
10種 のDX機能
67P のボリューム
「DXまるわかりガイド」を無料で読む

フォーム入力1分・即ダウンロード可

MTTRの計算がズレるポイント

1. 検知・対応・復旧時刻のずれる

MTTRの算出で最も多いズレは、計測の始点と終点が担当者間で統一されていないことです。

ある担当者はアラートが鳴った時刻を始点とし、別の担当者は現場に着いて作業を始めた時刻を始点にしていることがあります。終点にしても、機械が再稼働した時刻なのか、品質確認まで終えた時刻なのか、こうしたルールが曖昧なまま運用されている現場も少なくありません。

計測ポイント推奨する定義
始点(故障発生)監視システムのアラート発報時刻、または現場担当者が異常を報告した時刻のうち早いほう
終点(復旧完了)設備が正常稼働を再開し、品質チェックが完了した時刻

この計測基準をあらかじめ社内で決めておけば、担当者ごとの解釈の違いを最小限に抑えられます。

2. 待機時間の扱いが異なる

もう1つよくあるズレが、部品の調達待ちや専門業者の到着待ちといった待機時間の扱いです。MTTRの計測範囲は、通常3つのフェーズに分かれます。

フェーズ内容修復時間に含めるか
検知・通知アラートや目視で異常を検知し、担当者に連絡が届くまでの時間含める
診断・対応原因の特定、部品の手配、修理作業など復旧活動にかかる時間含める
待機・ロジスティクス交換部品の到着待ちや専門技術者の移動にかかる時間組織のルールによる

3番目の待機時間をMTTRに含めるかどうかは、組織のポリシー次第です。待機時間を含めれば、生産ラインやユーザーが体感するダウンタイムを正確に反映できます。一方で除外すれば、保全チームの技術力そのものを評価しやすくなります。

IEC61703(国際規格)では待機時間を含む総ダウンタイムベースの定義が採用されていますが、社内レポートでは純粋な作業時間だけを計測している現場も珍しくありません。大切なのは、どちらの定義を採るかを統一し、文書に残しておくことです。

3. 計画停止を混同する

定期メンテナンスや年次点検のために計画的に停止した時間をMTTRの計算に含めてしまうと、値が不当に大きくなります。

MTTRはあくまで「計画外の故障」に限定して計算する指標です。月次レポートを作成する際には、障害記録に「計画停止 / 計画外停止」のフラグを付けておき、集計時に計画停止を除外するフィルタをかける運用を徹底しましょう。

もっと詳しく 104社の調査をもとに、計算・管理業務のDX化を67ページで解説。数字に裏付けられた情報が手に入ります。
無料でダウンロードする

MTTRの計算を効率的にする方法

1. MTTR計算できるExcelテンプレートを使う

MTTRの算出をExcelで自動化するなら、障害記録を統一フォーマットで記録することが出発点です。

項目名入力例備考
障害IDINC-2025-001連番で自動採番
発生日2025/06/15日付形式で統一
設備名・システム名プレス機A-03ドロップダウンリストで選択式にすると表記ブレを防止できる
故障検知時刻09:15アラート発報 or 異常確認の時刻
対応開始時刻09:30担当者が修理に着手した時刻
復旧完了時刻11:45正常稼働を確認した時刻
ダウンタイム(時間)2.5(復旧完了時刻 − 故障検知時刻)×24 で自動計算
故障原因分類機械的故障機械的故障・電気的故障・ソフトウェア・人的要因 ・その他
対応者山田太郎必須
計画外/計画停止計画外MTTRの集計時に「計画外」のみフィルタ

2. 設備保全管理システムで自動集計する

Excelはすぐに始められる反面、入力漏れや記録タイミングのばらつきが避けられません。月の障害件数が10件を超えるような現場なら、設備保全管理システム(CMMS)への移行を検討すべきです。CMMSは、設備台帳の管理、作業指示の発行・管理、部品在庫管理、保全履歴を一元的に記録できます。

CMMSのメリット

  • 作業指示を「開始」したタイミングと「完了」したタイミングがシステム上に自動記録
  • 蓄積されたデータからMTTR、MTBF、稼働率などを自動計算し、ダッシュボードに表示
  • どの設備のMTTRが悪化しているか、どの故障原因分類が多いかといった分析機能

まずExcelの記録フォーマットを整え、件数が増えた段階でツールを導入しましょう。この順番で進めれば、現場の混乱を抑えながら計測の精度を上げられます。

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。

プロワンの導入をご検討中の方はこちら

顧客対応から施工、請求までの業務を一気通貫で管理。業界特化型のSaaSでより効率的な業務管理を実現しましょう。

3分でわかる詳しい資料をプレゼント
資料アイコン 無料サービス資料ダウンロード