「FAX対応でリモートワークできない」
「手入力と確認作業で1日が終わってしまう…」
社内でIT化を推進していても、FAX業務だけが取り残されていることは多いです。そこで脱FAXがもたらすメリットから、チェックリスト、成功事例、脱FAXするフロー、自社に最適なFAX代替サービスまでを一緒に見てみましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
脱FAXとは?3つのメリット
FAXは1980年代からビジネス現場で重宝されてきた通信手段です。しかし、今では年数百万円のコストと膨大な作業時間を費やしている会社も少なくありません。脱FAXとは、このアナログなFAX業務をクラウドサービスや専用システムなどに置き換えることを指します。
クラウドFAXなどのサービスを活用すれば、相手先には何の変更も求めることなく、FAX番号を残したまま業務をデジタル化できます。
1. 煩雑な手作業からの解放される
FAX業務には多くの手作業が潜んでいます。「機器まで移動する、紙を取り出す、デジタル化して関係各所に配布する、紙やインクを補充する」といった一連の作業だけでも、1件あたり平均5〜10分の時間を要するでしょう。脱FAXをすると20分程度が3分程度に短縮されます。
| 従来のFAX業務フロー | 脱FAX後の業務フロー |
|---|---|
| FAX機まで移動して受信確認(往復3分) | メールやチャットで受信通知を確認(10秒) |
| 内容確認と仕分け作業(2分) | PDFファイルをPC上で開いて内容確認(30秒) |
| 担当者への配布またはスキャン作業(5分) | ワンクリックで担当者に転送(5秒) |
| 返信が必要な場合は手書きまたは印刷して送信(10分) | 電子データのまま編集して返信(2分) |
月間500件のFAXを処理している企業の場合、月83時間もの作業時間を削減できる計算になります。さらに、受信したデータは自動的にクラウド上に保存されるため、過去の取引履歴を探す時間も大幅に短縮されます。
2. 用紙や通信費をコストカットできる
「FAXの維持費なんて大した金額ではない」と思われがちですが、実際に計算してみると数十万円のコストが浮かび上がります。
| 項目 | 月間費用 | 年間費用 |
|---|---|---|
| FAX用紙代 | 2,500円(A4用紙5,000枚) | 30,000円 |
| トナー・インク代 | 8,000円 | 96,000円 |
| 通信費(送信料) | 15,000円(30円×500件) | 180,000円 |
| FAX機リース料 | 5,000円 | 60,000円 |
| 保管スペース | 10,000円相当 | 120,000円 |
| 合計 | 40,500円 | 486,000円 |
これらの直接的なコストに加えて、FAX機の故障対応や用紙の補充作業といった見えないコストも存在します。一方、クラウドFAXサービスの月額料金は1,000〜5,000円程度。仮に月額3,000円のサービスを導入した場合、年間45万円のコスト削減が可能になる計算です。
3. 誤送信や紛失リスクを防ぐセキュリティ強化
FAXにまつわるセキュリティインシデントは、実は頻繁に発生しています。番号の押し間違いによる誤送信、受信トレイに放置された書類の紛失、第三者による盗み見などです。脱FAXをするとリスクは軽減されます。
| FAXのセキュリティリスク | 脱FAX後のセキュリティ対策 |
|---|---|
| 番号入力ミスによる誤送信が防げない | アドレス帳からの選択送信で誤送信を防止 |
| 受信トレイの書類は誰でも閲覧可能 | アクセス権限の設定で閲覧者を限定 |
| 送信完了の確実な確認が困難 | 送信ログと開封確認で確実な到達を把握 |
| 紙の紛失や劣化による情報消失 | 暗号化されたデータ保存で情報を保護 |
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FAX業務のリスク診断
自社のFAX業務がどの程度リスクを抱えているか、以下のチェックリストで確認してみましょう。12点以上になった場合は、脱FAXの効果が特に高いでしょう。
自社のFAX業務が抱えるリスクや非効率性を可視化します
※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。
脱FAXの成功事例2選
CASE1. 設備工事におけるサンセキ株式会社の事例

住宅設備機器の卸売・施工を手掛けるサンセキ株式会社は、業務管理システムを導入し、FAXや紙書類を使った非効率なやりとりをデジタル化しました。システムによる主な効果は次のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 見積もり・発注のデジタル化 | ExcelとFAXからシステム管理へ切り替え | 印刷・送信の手間がなくなった |
| 書類のまとめて管理 | iCloud個別フォルダから統一システムへ移行 | 書類を探す時間が短くなった |
| データ管理ルールの統一 | 全社共通のルールでファイルを保存 | 担当者が休んでも業務を続けられる |
ゼネコンやハウスメーカーなど多くの取引先への発注業務において、印刷やFAXに頼っていたやりとりを電子化し、見積もりから発注まで1つのシステムで完結できるようになりました。
設備工事での具体的な変化
- FAXや手書きのやりとりがなくなり、受発注業務をその日のうちに完結できた
- 新入社員でも書類の場所や手順が一目でわかるようになり、定着率が上がった
- 請求・入金管理まで1つのシステムにまとまり、経理の確認作業が楽になった
CASE2. 賃貸管理業における株式会社ユーミーClassの事例

湘南エリアで賃貸管理・建物管理を展開する株式会社ユーミーClassは、案件管理システムを使って、FAXや手作業による業務プロセスの改善に取り組みました。具体的なシステムの活用方法は主に3つです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 電子帳簿管理への切り替え | FAX代用から正式な電子帳票管理へ移行 | 法改正にきちんと対応できた |
| インボイス番号の自動入力 | 請求書にインボイス番号を自動で反映 | 請求書を手作業で作らなくてよくなった |
| リマインド通知 | 繁忙期の案件停滞を自動通知で確認 | 月530件の案件漏れを防げた |
大学寮の入退去といった2〜3日で対応が必要な原状回復工事でも、FAXを使ったやりとりを電子処理に切り替えたことで、200名の現場スタッフがどこからでも案件の状況を確認できるようになりました。
賃貸管理での具体的な変化
- FAX枠に消費税を書いていた頃と比べ、帳票の準備から確認まで大幅に早くなった
- 11支店・3万戸の管理情報が1カ所に集まり、支店間のやりとりがスムーズになった
- 取引先ごとにFAXを送っていた請求処理が一括で送れるようになり、担当の負担が減った
脱FAXまでのかんたん3ステップ
STEP1. 現状の課題とコストを可視化する
脱FAXの第一歩は、現状を正確に把握することから始まります。「なんとなく非効率」という感覚的な理解では、経営層や現場の協力を得ることは困難でしょう。まず1週間は以下の項目を記録して、年間コストを算出してみましょう。
| 測定項目 | 記録方法 | 目標値の目安 |
|---|---|---|
| FAX送受信件数 | 正の字でカウント | – |
| 処理にかかった時間 | 開始・終了時刻を記録 | 1件5分以内 |
| 発生したトラブル | 内容と対処時間をメモ | 週1件以下 |
| 用紙・トナー使用量 | 補充時に枚数を確認 | – |
| 出社が必要だった回数 | FAXのみが理由の場合 | 週0回 |
次に部門ごとの利用状況を調査します。営業部門は顧客とのやり取り、購買部門は発注業務、経理部門は請求書の処理など、それぞれ異なる使い方をしているはずです。
STEP2. 自社に合った脱FAXの方法を選ぶ
脱FAXには複数のアプローチがあり、企業規模や業務内容によって最適解は異なります。
| 導入タイプ | 特徴 | 導入期間 | 初期投資 | 最適な対象 |
| クラウドFAXサービス | 既存のFAX番号をそのまま利用可能 | 1週間程度 | 5万円以下 | 中小企業や段階的導入に最適 |
| 複合機FAX連携 | 既存複合機をFAXの自動振り分けとOCR化 | 設定による | 変動型 | 複合機のリース契約がある |
| 業務管理システム連携 | 基幹システムと直接データ連携 | 3〜6ヶ月 | 100万円〜 | 大量処理が必要な企業向け |
| EDI移行型 | 取引先と協力して標準化 | 6ヶ月〜1年 | 200万円〜 | 業界全体での取り組みが必要 |
| 完全デジタル型 | FAX自体を廃止しWebやメールに移行 | 1年以上 | 変動型 | 新規事業や若い顧客層向け |
多くの企業にとって現実的なのは、クラウドFAX受信サービスから始めることでしょう。取引先に変更を強いることなく、自社の業務だけを効率化できます。その後、効果を確認しながら段階的に他の方法へ移行していくことが有効です。
STEP3. 社内を巻き込み計画的に導入する
かなり優れたシステムでも、現場に受け入れられなければ失敗に終わります。脱FAXを成功させるには「現場には作業負担の軽減」「経営層には数値化した効果」を訴求して、全社的な協力体制の構築が不可欠です。
準備期間(1カ月目)
- プロジェクトチーム結成(各部門から1名選出)
- 現状調査と要件定義
- サービス選定と契約
試験導入(2カ月目)
- パイロット部門での運用開始
- 操作研修の実施(1回2時間×3回)
- 問題点の洗い出しと改善
本格展開(3カ月目)
- 全部門への展開
- 取引先への案内(FAX番号は変更なし)
- 効果測定とフィードバック
特に注意すべきは、ITリテラシーの差への配慮です。「PDFって何?」というレベルの人もいるかもしれません。また、導入初期には必ず混乱が生じて、「前のほうが良かった」という声も出ます。ただし3ヶ月後には「もうFAXはいらない」となりますので、淡々と進めていきましょう。
脱FAXできるFAX代替サービス5社
クラウドFAXサービスの主要5社を比較

クラウドFAXはインターネット経由でFAXの送受信するサービスです。受信したFAXはPDFファイルとしてメールに転送されたり、Web画面で確認したりできます。月額1,000円程度から利用可能で、最も手軽に始められる選択肢といえるでしょう。
| サービス名 | 月額料金(1名あたり・税込) | 1枚あたりの送信料金 | 1枚あたりの受信料金 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 秒速FAX Plus | 550円〜 | 7~10円 | 0~8円 | 送信特化型と受信特化型を選択可能 |
| メッセージプラス | 871円~ | 16円 | 0円 | 留守番電話機能付きで050番号も取得可 |
| MOVFAX | 1,078円〜 | 11円 | 11円(1,000枚まで無料) | 国産サービスで日本語サポート充実 |
| eFax | 1,980円 | 11円(150枚まで無料) | 11円(150枚まで無料) | 世界1,200万人が利用する定番サービス |
| FAX.PLUS | 6.99ドル〜 | 0.1ドル(100枚まで無料) | 0.1ドル(100枚まで無料) | 多言語対応でグローバル企業向け |
最終的な選定では、以下の3つの質問に答えることで方向性が見えてくるでしょう。
クラウドFAXサービスの選び方
- 100枚未満なら基本料金重視、1,000枚以上なら従量課金重視
- ITに詳しい担当者がいるなら機能重視、いないならサポート重視
- 他システムとの連携を考えているならAPI対応を重視
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