案件管理システムとは？5つの事例でわかる営業や現場の見える化

「あの案件、どうなった？」
「担当者に聞かないと進捗が分からない…」
「またタスク漏れか…」

Excelやチャットに散在する情報、担当者が休めば案件は完全にブラックボックス、月末の報告書作成に追われる非効率な現状に、危機感を抱いているのではないでしょうか。案件管理システムの基礎知識から、失敗しないツールの選び方、具体的な製品比較、そして残業40%削減といった他社の成功事例まで、一つずつ紐解いていきましょう。

案件管理システムとは？脱Excelで解決

案件管理システムとは、企業のプロジェクトや顧客対応などの案件情報を一元的に管理し、進捗状況の可視化や業務効率化を実現するツールです。従来のExcel管理やメール・チャットでのやり取りでは、情報が分散し、担当者しか把握できない「属人化」が進んでしまいます。この状態では、担当者の不在時に業務が停滞したり、引き継ぎに膨大な時間がかかったりと、組織全体の生産性を著しく低下させてしまいます。

案件管理システムを導入することで、全ての案件情報がクラウド上で共有され、誰もがリアルタイムで状況を把握できるようになります。これにより、属人化から脱却し、組織として持続可能な業務体制を構築できるのです。

1. 進捗と課題をリアルタイムに可視化

案件管理システムの最大の特徴は、プロジェクトの進捗状況を一目で把握できるダッシュボード機能です。カンバンボードやガントチャートで表示することで、各案件がどの段階にあるのか、誰が何を担当しているのかが瞬時に分かります。

例えば、営業部門や制作部門では以下のような情報を可視化できます。このような可視化により、マネージャーは全体を俯瞰しながら適切な采配ができ、メンバーも自分の役割と優先順位を明確に理解して業務に取り組めます。

営業部門の可視化項目	具体例
案件ステータス	商談中、見積もり提出済、受注確定など
進捗率	0〜100%の数値表示
担当者の動き	最終更新日時、コメント履歴
売上予測	受注確度別の金額集計

制作部門の可視化項目	具体例
案件ステータス	企画・制作・確認・納品の各フェーズ
担当者の負荷状況	各メンバーが抱える案件数と工数
納期までの残日数	アラート機能で遅延リスクを事前察知
承認待ちの案件	ボトルネックになっている工程

2. タスク漏れや二重対応を未然に防ぐ

「あの件、誰か対応した？」「同じ問い合わせに2人が別々に回答してしまった」といった混乱は、情報共有が不十分な組織では日常茶飯事です。案件管理システムでは、タスクの自動割り当てと進捗管理機能により、このような問題を根本から解決します。

機能名	詳細
自動リマインド機能	期限が近づくと担当者に通知
ステータス管理	「未着手」「進行中」「完了」などを明確化
重複チェック機能	類似案件の自動検出
コメント・履歴機能	対応内容を時系列で記録

特に顧客対応においては、過去の対応履歴が即座に確認できるため、お客様を待たせることなく、的確な回答ができるようになります。幸いにも、多くのシステムでは検索機能も充実しており、キーワードや日付、担当者名などで瞬時に必要な情報にアクセスできます。

3. 工数と原価を正確に把握し利益改善

案件管理システムの隠れた価値は、収益性の見える化にあります。各案件にかかった実際の工数と原価を正確に記録することで、利益率の低い案件や非効率な工程を特定できます。

組織が成長するにつれ、営業・制作・経理など各部門間の情報共有は困難になりがちです。案件管理システムは、全部門が同じプラットフォーム上で情報を共有することで、部門の壁を越えた連携を実現します。

4. 情報の一元管理で部門間の連携を強化

組織が成長するにつれ、営業・制作・経理など各部門間の情報共有は困難になりがちです。案件管理システムは、全部門が同じプラットフォーム上で情報を共有することで、部門の壁を越えた連携を実現します。

部門	共有・活用できる情報
営業部門	案件の進捗状況、納期情報、顧客とのやり取り履歴
制作部門	仕様書、素材データ、修正指示の内容
経理部門	請求情報、入金状況、原価データ
経営層	全体の稼働状況、収益性分析、KPI達成度

このような情報の一元化により、部門間の引き継ぎがスムーズになり、顧客への対応速度も格段に向上します。残念ながら、多くの企業では部門ごとに異なるツールを使用しているため、情報の二重入力や転記ミスが発生していますが、案件管理システムならそのような非効率を一掃できます。

案件管理システムの成功事例5選

CASE1. 木材販売におけるハママツの事例

長崎県で木材販売を中心に森林関連事業を多角的に展開する株式会社ハママツは、案件管理のプロワンを導入し、従業員13名の組織における顧客管理の属人化と業務効率化の課題を解決し、事業基盤の変革を実現しています。

特徴	活用方法	効果
顧客一元管理	散在していた個人保存の顧客情報を統合	必要な情報を誰でも即時確認可能
見積書作成機能	価格表から検索して商品価格を参照	担当者以外でも価格決定が可能
コメント機能	打合せ内容を仕事詳細で共有	他の担当者との連携が強化
転用機能	見積書から発注書・請求書を一括作成	転記作業とミスのリスクを排除

新規事業展開を機に導入したシステムにより、顧客管理の属人化を解消し、担当者が休んだ際に他の従業員が対応できない状況を改善しました。写真・ファイル管理やマルチデバイス対応により、現場情報の共有とリアルタイム連携も実現しています（※1）。

※1 プロワン「株式会社ハママツ」

CASE2. 住宅検査・メンテナンスにおける家守りの事例

2011年設立の住宅検査専門企業「株式会社家守り」は、案件管理システムを導入し、月間3,000件を超える検査・点検案件の管理効率化と対応漏れ防止により事業基盤を変革しています。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴	活用方法	効果
進捗管理の可視化	案件状況を一画面で把握	スプレッドシート検索の手間を削減
リマインダー機能	期限前アラートで自動通知	クレーム発生前に対応漏れを防止
タグ付け機能	事業者ごとに色分け管理	緊急度や作業内容を視覚的に把握
ワンストップ管理	複数システムを一元化	システム間の転記ミスを解消

メンテナンス事業部30名体制の同社では、月間で新規検査1,500棟、点検1,500件、保証400件、アフターメンテナンス30件の案件を、複数システムから一元管理に移行しました。これにより書類作成や差配の事務作業時間を大幅に削減し、受注案件の拡大余力を創出しています（※2）。

※2 プロワン「株式会社家守り」

CASE3. 通信・電気設備工事における企業の事例

ケーブルテレビ工事から事業を拡大し、通信・電気設備工事を展開する従業員127名の株式会社ライフスクエアは、案件管理システム「プロワン」を導入し、営業から工事完了までの一元管理により事業基盤を変革しています。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴	活用方法	効果
カンバンボード	案件進捗を可視化	対応漏れ・機会損失を防止
ファイル管理	案件と写真・帳票を紐付け	過去情報の確認作業を効率化
現場帳票作成	モバイル端末で報告書作成	オフィス作業を削減
部署間通知機能	システム上で自動連携	連携スピードを向上

ICT事業部を中心とした同社では、ノーコードツールとExcel、Googleドライブに分散していた情報を一元化し、属人化していた案件管理を全社で可視化しました。大容量の写真管理機能により、工事現場で撮影する大量の写真データも効率的に管理できるようになっています（※3）。

※1 プロワン「株式会社ライフスクエア」

CASE4. イベント企画・運営業におけるセブンサービス企画装飾の事例

1977年創業のイベント企画・運営会社は、案件管理システム「プロワン」によって、属人化していた案件管理の一元化と全社的な情報共有により事業基盤を変革しています。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴	活用方法	効果
案件一元管理	進捗・収支情報を全社共有	属人化を解消し見える化を実現
見積書複製機能	過去案件データを活用	専用PC待ちを解消し作業効率化
現場アプリ	移動中でも見積・進捗確認	出先での業務対応が可能に
本番日管理	イベント実施日を起点に管理	業界特有の運用に柔軟対応

本社だけで月100～130件の案件を抱える同社では、ホワイトボード管理から脱却し、失注率や粗利などの経営指標をリアルタイムで把握できる体制を構築しました。営業担当が見積作成から請求まで一貫して対応できるようになり、業務の大幅な効率化を実現しています（※4）。

※4 プロワン「株式会社セブンサービス企画装飾」

CASE5. 建設・塗装業における日成工業株式会社の事例

創業70年の歴史を持つ日成工業株式会社は、案件管理システム「プロワン」を導入することで、属人化していた案件管理体制を一新し、キャッシュフロー改善という経営課題の解決に成功しました。

特徴	活用方法	効果
カンバンボード	引き合いから完了まで全案件の進捗を可視化	業務量と進捗が一目で把握可能に
案件・顧客登録機能	同一画面で案件と顧客情報を一括登録	少ない情報量で簡単に登録作業が完了
ワークフロー設定	業務フローに合わせて個別にカスタマイズ	属人化していた業務プロセスを標準化
一元管理システム	見積から施工完了まで全工程をシステム化	後手後手の対応からクレーム発生を防止

従業員13名の組織において、個人の頭の中で管理されていた案件情報を完全にシステム化し、キャッシュフロー悪化と赤字という経営課題を解決しました。他社製品では実現できなかった自社業務フローへの完全対応により、塗装工事だけでなく防水・リニューアル工事まで事業領域を拡大させています（※5）。

※5 プロワン「日成工業株式会社」

失敗しない案件管理システムの5つの選び方

1. 自社の業務フローに合うか確認する

最も重要なポイントは、現在の業務フローとシステムの機能がマッチしているかという点です。どのような高機能なシステムでも、自社の業務に合わなければ宝の持ち腐れになってしまいます。確認すべきポイントは以下の通りです。

確認する自社の業務フロー	詳細
案件の種類と管理項目	定型的な案件が多いか、カスタマイズが必要か
承認フロー	何段階の承認が必要か、承認者は固定か流動的か
外部との連携	顧客や協力会社とのやり取りはどの程度あるか
レポーティング	どのような分析や報告書が必要か

例えば、IT開発会社であればアジャイル開発に対応したタスク管理機能が必須ですし、コンサルティング会社なら時間単位の工数管理と請求連携が重要になります。まずは現状の業務フローを可視化し、システムに求める必須機能をリストアップすることから始めましょう。

2. 操作が直感的で定着しやすいか

どんなに機能が充実していても、使いにくいシステムは現場に定着しません。特に、ITリテラシーにばらつきがある組織では、操作性の良し悪しが導入の成否を左右します。評価すべき操作性のポイントは次の通りです。

確認するシステムの操作性	詳細
画面の見やすさ	情報が整理されていて一目で理解できるか
入力の手間	必要最小限の入力で済むか、自動化されているか
モバイル対応	外出先からもスムーズに利用できるか
カスタマイズ性	自社用に画面や項目を調整できるか

多くのシステムでは無料トライアルを提供しているため、実際に現場メンバーに使ってもらい、フィードバックを収集することが大切です。驚くほど多くの企業が、この検証プロセスを省略して失敗しています。

3. 他のシステムとデータ連携できるか

現代のビジネスでは、案件管理システム単体で完結することはほとんどありません。既存の業務システムとスムーズに連携できるかは、業務効率化の観点から極めて重要です。

確認する既存の連携システム	連携により実現できること
会計システム	売上・原価データの自動転記、請求書発行
グループウェア	スケジュール同期、会議室予約連携
CRM/SFA	顧客情報の共有、商談履歴の参照
ファイル共有サービス	成果物の自動保存、バージョン管理

API連携やCSVインポート・エクスポート機能の有無を確認し、データの二重入力を避けられる仕組みを構築できるかを検証しましょう。

4. 費用対効果が見合っているか

案件管理システムの導入には、初期費用と月額費用がかかります。しかし、単純に安いシステムを選べば良いわけではありません。重要なのは、投資に見合った効果が得られるかという点です。

確認する費用対効果	詳細
削減できる工数	報告書作成や情報共有にかかる時間
機会損失の防止	タスク漏れや納期遅延による損失
収益性の向上	原価管理による利益率改善
スケーラビリティ	事業成長に合わせた拡張

一般的に、月額1ユーザーあたり500円〜3,000円程度が相場ですが、3～6カ月以内に月額費用を上回る工数削減効果が見込めるシステムを選ぶことをお勧めします。

5. サポート体制は充実しているか

システム導入後の成功は、ベンダーのサポート体制に大きく左右されます。特に初期の導入期間は、様々な課題や疑問が発生するため、手厚いサポートが不可欠です。

確認するサポート内容	詳細
導入支援	初期設定や移行作業のサポート
トレーニング	操作研修やマニュアル提供
問い合わせ対応	電話、メール、チャットでの対応時間
定期的なフォロー	活用状況の確認と改善提案

幸いにも、優良なベンダーではカスタマーサクセス担当が付き、導入から定着まで伴走してくれます。サポート体制の充実度は、契約前に必ず確認しておきましょう。

おすすめの案件管理システム3選

営業から現場まで連携できる案件管理システムのプロワン

プロワンは、案件の発生から完了、経営分析まで、営業・現場・経営に必要な全機能を1つのプラットフォームで提供します。

利用カテゴリ	具体的な機能
営業	案件進捗管理、タスクリマインド、顧客情報管理、外部CRM連携
現場	見積書作成、工程管理、作業完了報告、協力会社との情報共有
経営	請求書発行、入金消込、案件別収支管理、経営分析レポート

導入前は、案件管理、施工進捗、工程調整、原価管理など、各業務で異なるツールやExcelファイルが乱立し、情報の一元化ができていませんでした。プロワン導入により、これらの機能が一つのシステムに統合され、リアルタイムでのデータ連携が実現しました。

その結果「案件の成約率15%向上、管理業務の工数30%削減、売上高20%増加」などの成果が期待できます。

中小企業の業務全体を最適化する製品A

製品Aは、中小企業の業務効率化に特化した総合的な案件管理システムです。営業管理から請求業務まで、バックオフィス業務全般をカバーする機能を備えています。

特筆すべきは、Excelからの移行支援ツールが充実している点です。既存のExcelデータをそのまま取り込み、自動的にシステムに最適化してくれるため、移行の手間を大幅に削減できます。

IT開発や制作会社に特化した製品B

製品Bは、アジャイル開発やクリエイティブ制作に最適化された専門性の高いシステムです。エンジニアやデザイナーが使いやすい工夫が随所に施されています。

機能カテゴリ	具体的な機能
プロジェクト管理	スプリント管理、バーンダウンチャート
タスク管理	GitHubやJiraとの連携、コードレビュー機能
リソース管理	スキルマッチング、稼働率の可視化
品質管理	バグトラッキング、テスト進捗管理

月額料金は1ユーザー1,200円からと比較的リーズナブルながら、開発現場で本当に必要な機能に絞り込まれているため、無駄がありません。

案件管理システムで失敗しないための注意点

──導入で失敗する主な3つの原因とは？

最も多い失敗パターンは、現場の意見を聞かずに経営層だけで導入を決定してしまうケースです。実際に使用する現場スタッフの業務フローや課題を理解せずに導入すると、システムと実務のミスマッチとなり、現場からの反発と抵抗が起きて、結果的に元のExcel管理に戻ってしまう問題が発生します。

次に高機能なシステムほど陥りやすい罠が、初期段階から全ての機能を使おうとすることです。情報入力の負担が急激に増え、現場が疲弊してしまいます。成功している企業は、まず基本機能から始めて、徐々に活用範囲を広げています。

また、システムを導入して終わりではありません。継続的な改善とサポートがなければ、次第に利用率が低下していきます。定期的な振り返りと、必要に応じた設定変更や追加トレーニングが不可欠です。

──Excel管理からの移行は大変ですか？

「長年使い慣れたExcelから新しいシステムへの移行は大変そう…」という不安の声をよく聞きます。確かに移行には一定の労力が必要ですが、適切な手順を踏めば、思っているより スムーズに進められます。移行を成功させるステップは次の通りです。

実際の移行期間は、企業規模にもよりますが1〜3ヶ月程度が一般的です。この期間を投資と考えれば、その後の業務効率化により十分にペイできます。

──導入後の社内定着のコツはありますか？

システムの真価は、全社員が日常的に活用してこそ発揮されます。以下、社内定着を成功させるための実践的なコツをご紹介します。

定着化のための5つのコツ	具体的な実践方法
小さな成功体験を作る	まず1つの部署で成果を出し、横展開する
キーパーソンを巻き込む	各部署の影響力のある人を推進役に任命
定期的な振り返り	月1回の活用状況レビューと改善
インセンティブ設計	活用度の高いチームを表彰
継続的なスキルアップ	定期的な勉強会や tips 共有会の開催

特に効果的なのは、システム活用による具体的な成果を数値で示すことです。「報告書作成が2時間から30分に短縮」「顧客対応スピードが50%向上」など、分かりやすい成果を共有することで、モチベーション向上につながります。

また、「システムチャンピオン」と呼ばれる推進役を各部署に配置し、日常的な質問対応や活用促進を担ってもらうことも有効です。幸いにも、このような取り組みを実施した企業では、3ヶ月後の定着率が90%を超えるケースが多く報告されています。