業務見える化とは?3つの成功事例とAIによるカイゼン手順

「担当者がいないから、タスクが止まってる…」
「あの人が辞めたら、誰もできない業務がある」

そこで業務が見えないことで起こる問題から、チェックリスト、成功事例、AIで進める手順、すぐに使えるツールまで、部署の生産性を劇的に向上させる方法を一緒に見ていきましょう。

業務見える化とは?3つのメリット

業務の見える化とは、仕事の内容、進捗状況、問題点を誰もが把握できる状態にすることです。単なる情報開示ではなく、データや図表を活用して業務プロセスを可視化し、組織全体で共有できる仕組みを構築することを指します。

1. 業務が見えないときのデメリット

業務が見えない状態、いわゆる「ブラックボックス化」した職場では、以下のような深刻な問題が日常的に発生しています。

デメリット詳細
属人化の進行特定の人しか業務を把握できず、その人が不在だと業務が止まってしまう。
非効率作業の発生すでにあるものをゼロから作り直したり、重複連絡をしたりといった無駄が頻発する。
業務品質の低下問題が起きても十分な再発防止が取れず、ミスが繰り返され、品質が一層低下する。

2. 業務が見えるときのメリット

業務の見える化を実現することで、組織には以下の3つの大きなメリットがもたらされます。

メリット詳細
属人化の解消業務手順が組織の共有財産となり、特定の人に依存しない体制を構築できる。
非効率作業の排除業務プロセスが可視化されることで、無駄な作業が明確になり、業務改善を実現できる。
業務品質の改善問題点が見える状態になることで、組織全体で改善意識が根付き、PDCAサイクルが回るようになる。

業務見える化チェックリスト

自社の業務が可視化できているかを、客観的に把握することが第一歩です。以下のチェックリストで、現在の見える化レベルを確認してみましょう。スコアは8~15点が危険度「中」、16点以上が危険度「高」です。

診断項目 リスクレベル
(業務の属人化・停止リスク)
(ナレッジの非共有・生産性低下)
(責任体制の崩壊・非効率)
(進捗のブラックボックス化)
(業務品質の低下・継承不可)
(高度な属人化・非効率)
(ボトルネックの把握不能)
(再発防止策の欠如)
(組織の停滞・改善文化の欠如)
(オンボーディングの失敗・離職)
合計 0 点

業務見える化の成功事例3選

CASE1. 住環境製造おける株式会社トヨダの事例

株式会社トヨダ
株式会社トヨダ

岐阜県で建具・襖など住環境製品の製造・施工・販売を行う株式会社トヨダは、業務管理システムを導入し、アナログ管理による業務の属人化と複雑化という課題を解決し、全社的な業務の見える化を実現しました。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴活用方法効果
フェーズ管理機能業務パイプラインで進捗状況を可視化案件の停滞を防ぎ業務の流れが明確化
案件情報一元管理営業個人管理から全社共有システムへ移行複数回の転記作業が1回の入力で完結
クラウドベース管理図面・写真をシステム上で共有出先でも見積書・請求書作成が可能
顧客情報自動連携一度の入力で見積書・発注書に自動反映事務作業が半日から数時間に短縮

営業4名と事務4名の体制において、業務管理システムにより3回必要だった転記作業が1回で完結し、事務作業時間を半日以上削減しました。属人化していた案件管理方法を標準化し、黒板管理していた職人のスケジュールもシステム上で可視化することで、外部からの派遣スタッフもすぐに業務対応できる体制を構築しています。

住環境製造事業の変革事例

  • 営業各自で管理していた案件情報をシステムで一元化し、全社で進捗状況を共有
  • 職人10名のスケジュール管理を黒板からシステム管理に移行し、外出先からも確認可能に
  • 発注品の状況や粗利計算をリアルタイムで可視化し、迅速な経営判断を実現
  • 業務プロセスの定型化により、新規スタッフの教育期間と工数を大幅に削減

CASE2. イベント企画・運営における株式会社セブンサービス企画装飾の事例

株式会社セブンサービス企画装飾
株式会社セブンサービス企画装飾

1977年創業で建築儀式式典や行政主催イベントの企画・設営・運営を手がける株式会社セブンサービス企画装飾は、業務管理システムを導入し、設備管理の観点から会場設営業務の属人化解消と情報一元化により、月100件超の案件管理体制を変革しました。

特徴活用方法効果
案件管理の見える化ホワイトボードから脱却しデジタル管理へ移行全社員が案件進捗と設営状況を即座に把握
現場アプリ移動中や設営現場で見積もり・スケジュール確認現場での柔軟な業務対応が可能に
本番日管理機能イベント本番日を起点とした設営スケジュール管理設営準備から撤収まで一貫した工程管理を実現
見積もり作成の効率化専用PC不要で複数税率対応・過去案件の複製機能を活用見積もり作成の待ち時間を解消し作業を大幅効率化

浦安本社を中心とした全国展開において、月100~130件に及ぶイベント設営案件の管理を一元化し、属人化していた情報共有体制を全社的な「見える化」へと転換しました。長野オリンピックや新国立競技場起工式などの大規模案件にも対応してきた同社は、プロワン導入により次の50年を見据えた業務基盤を確立しています。

イベント企画・運営事業の変革事例

  • 設営現場と本社間でリアルタイムな情報共有により、案件進捗の把握が容易に
  • 見積もり作成専用PCの順番待ちが解消され、営業担当が自席や現場で作業可能に
  • 秋の繁忙期における月130件の設営案件も、システム化により円滑に管理
  • 企画から設営、運営、撤収まで一貫した案件管理により、業務フロー全体を標準化

CASE3. プラント工事における株式会社佐々木プラントの事例

株式会社佐々木プラント
株式会社佐々木プラント

食品・飲料・医薬品・化粧品業界向けのプラント工事を全国展開する株式会社佐々木プラントは、プロワンを導入し、設備管理の観点から人員配置の最適化と現場情報の一元管理を実現し、約50名体制での事業基盤を変革しています。

特徴活用方法効果
カレンダー機能人員予定と工事割り当ての統合管理ダブルブッキングを完全解消
利益率自動計算見積もり作成時の原価・利益率即時反映収益性のリアルタイム把握を実現
モバイルアクセス現場から直接報告書作成・見積もり対応移動時間と事務作業を大幅削減
進捗管理機能各現場の進捗状況をクリック1つで確認複数案件の並行管理を効率化

導入により月平均10件の工事案件を並行管理し、従来の紙とLINEベースの管理から完全デジタル化を実現しました。特に北海道から沖縄まで全国に分散する現場において、リアルタイムでの情報共有と人員配置の最適化により、設備工事の効率性が飛躍的に向上しています。

プラント工事事業の変革事例

  • Excel管理による人員のダブルブッキング問題が解消し、適切な人員配置を実現
  • 紙の図面や報告書の受け渡しによる移動時間と経費が削減
  • 見積書・請求書のフォーマット統一により業務品質が標準化
  • LINEグループでの混在していた現場情報が案件別に整理され、必要情報への迅速なアクセスが可能に

AIによる業務見える化の3ステップ

STEP1. AIに音声入力して、業務リストを生成する

まず必要なのは「何の業務があるか」をすべて洗い出すことです。しかし、Excelに項目を打ち込んでいく従来の方法では遅すぎますし、思考が止まりがちで抜け漏れが発生するでしょう。

それをAIに音声入力する方法なら、話すスピードで思考をそのままテキスト化できて、普段意識していない細かい作業も自然にアウトプットできます。

AIで業務リストを作る方法

  1. GeminiやGPT、Claudeを開く
  2. Windowsキー + Hで音声入力を起動する
  3. 最初に「今から業務内容を伝えるので、表にしてください」と話す
  4. 担当業務を思いつくまま話し、その際に時間と頻度も伝える
  5. 業務リストができるため、スプレッドシートなどにコピーする

ポイントは順番にすべてを変えようとせず、網羅的にとにかく何でも話すことです。AIが作った表に過不足があるときは、そのまま「〇〇を変えてください」などで最適化できます。

STEP2. AIに音声入力して、業務フロー図を生成する

従来、業務フロー図の作成は最も時間がかかる作業でした。図形ソフトで矢印や箱を1つずつ配置し、修正のたびに全体のレイアウトを調整する必要があったからです。

しかし、こちらもAIを使えば、話すだけで数分でプロ並みのフローチャートが完成します。専門知識も不要で、修正もテキスト編集だけで済みます。

AIで業務フロー図を作る方法

  1. GeminiやGPT、Claudeを開く
  2. Windowsキー + Hで音声入力を起動する
  3. 最初に「今から業務フローを伝えるので、Mermaid形式に変換してください」と話す
  4. 担当業務を思いつくまま話して、完成したコードをコピーする
  5. Notionで「コード」を選んで、 言語に「Mermaid」を指定し、コードを貼り付ける

ポイントは一般的なLLMとNotionがあれば、誰がやっても同じ品質で業務フロー図が完成できることです。

Notionの業務フロー図

STEP3. AIに結果を投稿して、アクションプランを実行する

最後にAIに業務リストと業務フロー図が送信して、「最も非効率なタスクを洗い出して」「チームで共通化できる業務を抽出して」「自動化できそうでインパクトが大きい業務を教えて」のように分析してもらい、一緒にアクションプランを考えてもらいます。

測定指標目標値の例測定方法
業務処理時間20%削減タイムトラッキング
エラー発生率50%削減インシデント管理表
問い合わせ件数30%削減ヘルプデスクログ

ポイントは1度の見える化で終わらせず、継続的な改善サイクルを回すことです。定期的な振り返りと現場からの改善提案を仕組み化することで、組織全体の生産性が向上します。

業務見える化におすすめの4種類のツール

1.プロジェクト全体の進捗を可視化するツール

Asana
Asana

プロジェクトの進捗管理には、ガントチャートやカンバンボード機能を持つツールが効果的です。代表的なツールとして、Asana、Trello、Backlogなどがあります。

これらのツールを使うことで、タスクの依存関係や期限が一目で把握でき、ボトルネックの早期発見が可能になります。

ツール名主な機能特徴料金(テキストより)
Asanaガントチャート、カンバンボードなどタスク依存関係・期限の把握、ボトルネック発見、作業負荷の可視化無料プランあり
Trelloカンバンボード(テキスト内では個別の特徴は限定的だが、一般的に)直感的な操作、タスク管理無料プランあり
Backlogガントチャート、カンバンボードなど(テキスト内では個別の特徴は限定的だが、一般的に)開発者向けの機能(Git連携など)も豊富無料プランあり

また、チームメンバーの作業負荷も可視化されるため、適切なリソース配分が実現できます。多くのツールは無料プランから始められるため、まずは小規模なプロジェクトで試してみることをおすすめします。

2. 誰でもわかる業務マニュアルを作成するツール

Notion

業務マニュアルの作成には、画像や動画を簡単に挿入できるツールが適しています。Notion、Confluenceなどのドキュメント管理ツールは、階層構造でマニュアルを整理でき、検索性も優れています。

ツール名主な機能特徴
Notion画像・動画の挿入、階層構造での整理、検索高いカスタマイズ性、データベース機能
Confluence画像・動画の挿入、階層構造での整理、検索更新履歴の自動管理、Jiraとの連携

特に効果的なのは、画面録画ツールとの併用です。LoomやBandicamなどを使って実際の操作画面を録画し、マニュアルに埋め込むことで、文字だけでは伝わりにくい操作手順も確実に共有できます。更新履歴も自動で管理されるため、常に最新版のマニュアルを維持できます。

3. 社内のナレッジを蓄積し共有するツール

Slack

組織の知識を蓄積・共有するには、検索性の高い情報共有プラットフォームが必要です。Microsoft Teams、Slack、Google Workspaceなどのコラボレーションツールは、日常的なコミュニケーションと情報蓄積を同時に実現できます。

ツール名主な用途情報蓄積の方法活用ポイント
Slackチャット、ファイル共有チャンネル内の会話、スレッド、ピン留めチャンネルの構造化、タグ付け、検索機能の活用
Microsoft Teamsチャット、ビデオ会議、ファイル共有チーム/チャンネル内の会話、SharePoint/OneDriveとの連携チャンネルの構造化、タグ付け、定期的な情報整理
Google Workspaceメール、カレンダー、ドキュメント作成・共有Google Drive、Google ドキュメント、Google Chatフォルダ構造化、共有設定、タグ付け(ラベル)、検索

これらのツールの活用ポイントは、情報の構造化とタグ付けです。プロジェクトごと、部署ごとにチャンネルを作成し、関連する情報を集約します。

また、重要な情報にはタグを付けて検索しやすくすることで、必要な情報に素早くアクセスできる環境が構築できます。定期的に情報を整理し、古い情報をアーカイブすることも、使いやすさを維持する上で重要です。

4. 全社の業務を見える化する業務管理システムのプロワン

プロワンは、設備工事・リフォーム・ビルメンテナンス等の現場業務における顧客管理から案件進捗、原価分析まで、すべての業務プロセスを一元的に可視化し、データドリブンな経営を実現する業界特化型システムです。

利用カテゴリ具体的な機能
営業顧客データ管理、案件進捗の可視化、営業履歴の一元管理、最適タイミング提案
現場業務標準化、作業進捗のリアルタイム共有、タブレット・スマホでの報告、帳票データ化
経営案件・部門別の原価・利益分析、稼働状況の可視化、リアルタイムダッシュボード、戦略的意思決定支援


顧客情報や案件進捗が属人的に管理されていると、営業活動や現場作業の状況が組織全体で共有されません。ま報告書作成や転記作業などの間接業務に多くの時間が割かれると、経営判断に必要なデータもリアルタイムに把握できないです。

プロワンを導入すると、すべての業務プロセスで標準化と可視化され、顧客データから施工進捗、収支状況まで一元的に把握できる体制が構築されます。その結果「受注率の向上、間接業務の大幅削減による本業への集中時間増加、リアルタイムデータに基づく戦略的判断による収益性改善」などの成果が期待できます。

プロワン導入事例集
業務管理システム「プロワン」

中野貴利人

株式会社ミツモア マーケティング本部所属。業務管理システム「プロワン」のコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作中。著書5冊。

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