「写真の整理と書類の作成が手間」
「AI施工管理はなにができる?」
そこでAI施工管理に任せられる業務から、実際の画面イメージ、導入事例3選、選び方の4ステップ、おすすめサービス9種まで、自社の現場で始めるかを決める判断材料を見ていきましょう。
ChatGPTでは足りない、現場が変わる業務AI活用
CONTENTS
AI施工管理とは?任せられる3つの業務
AI施工管理とは、写真の仕分けや書類の作成といった事務作業に加え、現場の進捗の把握までAIが肩代わりする仕組みです。人が担うのは最終確認と判断だけになります。AI施工管理が肩代わりできる業務は、大きく次の3つです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 1. 写真の整理と台帳作成 | 黒板の文字をAIが読み取り、工種・撮影箇所ごとに仕分けて工事写真台帳へ反映 |
| 2. 日報や計画書の下書き | 現場の記録や発注情報をもとに、AIが日報・報告書・施工計画書・工程表の下書きを生成 |
| 3. 施工状況の自動判定 | 現場カメラの映像をAIが解析し、いまどの作業段階にあるかを推定して工程表とつなぐ |
1. 写真の整理と台帳作成を自動化
工事写真は、撮る手間より整理する手間のほうが重い作業です。AI施工管理では、AIの画像認識により黒板に書かれた工種や撮影箇所を読み取り、仕分けまで済ませます。持ち帰り作業になりがちな写真整理や台帳作成が現場で完結します。
写真まわりでAIが担う作業
- 黒板の工種・工区・撮影箇所を読み取って写真に紐づけ
- 手ぶれや黒板の写り込み不足など、撮り直しが必要な写真を抽出
- 提出様式に合わせた工事写真台帳のレイアウトへ自動配置
撮影から台帳作成までをスマホ1台で完了します。
2. 日報や計画書の下書きをAIが作る
日報や施工計画書をゼロから作成するのは手間がかかります。AIに下書きを任せれば、担当者の作業は確認と修正のみで完了します。
| 書類の種類 | AIができること |
|---|---|
| 日報・報告書 | 現場で入力したチェックや音声メモから、提出できる形の文面を組み立てる |
| 施工計画書 | 発注情報と社内に蓄積した過去のナレッジから、ドラフト原稿を作る |
| 工程表 | 見積書やPDFの内容を読み取り、編集できる工程表に組み直す |
特に施工計画書は、経験の差がそのまま作業時間の差になる書類です。AIに頼れば手間の削減と品質向上の両方が見込めます。
3. カメラ映像で施工状況を自動判定
進捗管理そのものをAIに任せる動きも始まっています。現場に据えたカメラの映像をAIが解析し、重機の配置や配管の接続状態、資材の有無から、いま現場がどのフェーズにあるかを推定する仕組みです。
| 項目 | 従来の進捗把握 | AIによる進捗把握 |
|---|---|---|
| 把握の手段 | 現場を巡回し、担当者の報告を受けて確かめる | カメラ映像をAIが解析し、作業の段階を推定する |
| 把握のタイミング | 週次の定例会議など、報告が上がった時点 | 映像が撮れた時点で随時 |
| 情報の置き場 | カメラと図面と工程表がそれぞれ別の場所にある | 判定した施工状況と図面・工程表を1つにまとめる |
巡回して進捗を記録する作業が減るうえ、実績データが自動で自然にたまっていきます。
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AI施工管理の導入事例3選
CASE1. 施工状況の自動判定を可能にした事例

AI施工管理システムを導入し、カメラ映像から施工の進み具合を自動で判定する仕組みを整えた事例です。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 施工状況の自動判定 | クラウドカメラの映像をAIが解析し工事のフェーズを推定する | 工程管理を自動で回せる |
| 情報の一元化 | クラウドカメラとBIM/CIMと工程表に分かれた情報を1つにまとめる | 分散していた情報をまとめて扱える |
| 記録業務の見直し | 進捗管理と写真記録と報告書作成にかかる時間を対象にする | 現場担当者の業務負担が軽くなる |
今までは日々の進捗管理や膨大な写真記録、報告書の入力と現場に多くの業務負担がかかっていました。各システムを手動修正していた負担を大幅に軽減し、業務時間の短縮と施工管理の省力化の実現を目指しています。
具体的な変化
- マシンセットから削孔までの作業段階をAIが見分けられるようになった
- H鋼挿入とモルタル注入の進み具合を映像から推定できるようになった
- システムごとに散らばっていた現場の情報を一か所で見られるようになった
※建設現場のAXを加速させる「AI施工管理システム」を構築(2026年5月20日)
CASE2. 全体施工計画書の作成にAIを利用した事例

施工計画書の作成支援システムを使って、手作業で組み立てていた書類の下書きを生成AIに任せる形へ切り替えた事例です。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| ドラフト原稿の自動生成 | 発注情報と社内の技術ナレッジをシステムに読み込ませる | 計画書の下書きが約10分で出てくる |
| 国土交通省書式への準拠 | 国土交通省の指針に沿った書式で出力する | 提出様式に合わせ直す手間がない |
| Word形式での出力 | 専門用語や文章と図表を組み合わせて構成する | 受け取ったファイルをそのまま手直しできる |
全体施工計画書の作成には正確性と高い専門性が求められ、経験豊富な技術者の監督のもとで多数の担当者が手作業で進めていました。この作業時間を従来比で約85%削減できるとしています。
具体的な変化
- 計画書の下書きを手作業からAIに任せられるようになった
- 入力作業におけるミスを抑制でき、規定書式のWord形式で正確に出力可能
- 高品質な全体施工計画書を効率的に作成できる
※最新生成AIを活用した土木工事の「全体施工計画書作成支援システム」を開発(2025年11月28日)
CASE3. 歩掛の調査を自動化を行った事例

画像AIのシステムによって、人手で行っていた歩掛の調査を自動で回せる体制を整えた事例です。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 技能者の人数の自動把握 | 指定した作業エリア内の技能者の人数を画像AIが数える | 調査の担当者を配置せずに済む |
| 作業時間の自動計測 | 技能者が作業していた時間をリアルタイムに記録する | 正確な時間をその場でつかめる |
| 歩掛の自動算出 | 把握した人数と時間を工事出来高と結びつける | 歩掛の調査を無人にできる |
これまで複数名の調査担当者が作業に立ち会い、記録していた歩掛調査の無人化に成功しています。
歩掛調査での具体的な変化
- 複数名の担当者が張り付いて記録していた調査を無人で回せるようになった
- 調査できる現場の数に限りがあった状態から抜け出せた
- 多くの現場でより正確な歩掛を把握できるようになった
※画像AIを用いて技能者の人数と作業時間をリアルタイムかつ正確に、自動で把握するシステムを開発(2024年2月29日)
AI施工管理の選び方4ステップ
STEP1. 現場の全員が説明なしで使えるか
導入したのに誰も使わなくなるツールは、精度ではなく操作性が原因です。チェックポイントは以下になります。
操作性のチェックポイント
- スマートフォンだけで完結し、PCへの取り込みが不要か
- 電波の弱い現場でも撮影・入力ができ、あとで同期されるか
- 日報の入力を音声で済ませられるか
- ITに慣れていない作業員が、説明なしで使えるか
まずは、現場の職人が迷わず使えるかを確認しましょう。
STEP2. いまの書類をそのまま扱えるか
AIの精度より先に確かめたいのが、元請や発注者から求められる様式に出力できるかどうかです。ここが合わないと、AIが作った下書きを人が様式へ打ち直す二度手間が発生します。
| 確認する対象 | 確認する内容 |
|---|---|
| 工事写真台帳 | 発注者が指定する基準に沿った形式で出力できるか |
| 安全書類 | 元請ごとに異なる様式へ差し替えられるか |
| 日報・報告書 | 自社で使っているExcelの項目を再現できるか |
| 過去のデータ | これまでの写真や書類を移行できるか |
また、AIの精度は蓄積されたデータ量で決まります。過去のデータを読み込ませられる仕組みがあるかも確認してください。
STEP3. AIの判断を人が確認・修正できるか
AIが仕分けた写真や作った文章をそのまま提出できる仕組みは、裏を返すと誤りもそのまま通ります。どこまでをAIが判断し、どこで人が確認するのかをはっきりさせておきましょう。
1. 確信度の低い判定が分けられているか
黒板が読み取れない写真や、判断に迷った項目だけを「要確認」として切り出す仕組みがあるかを見ます。全件を人が見返す運用になると、導入前より手間が増えます。
2. 修正した内容が次に反映されるか
人が直した箇所を学習し、同じ間違いを繰り返さないかを確認します。修正を学習しない製品は、いつまでたっても精度が変わりません。
3. 入力したデータの扱いが示されているか
現場写真や図面が学習データとして外部で使われないか、契約書と規約で確かめます。発注者から情報の取り扱いを問われたときに、そのまま示せる資料があると安心です。
STEP4. 費用対効果を確かめる
月額だけでなく、初期設定やデータ移行の費用も考慮にいれる必要があります。1年目の総額と2年目以降の総額を分けて出しておきましょう。
費用まわりのチェックポイント
- 料金が一律固定か、ユーザー数と現場数で変動するか
- 初期設定・データ移行・研修の費用が別途かかるか
- IT導入補助金などの対象になっているか
- 導入後に相談できる担当者が付くか
例えば年間10万円前後で監督1人あたり月10時間の事務が減るなら、費用対効果の判断ができます。
AI施工管理におすすめのサービス3種
1. 工事写真の仕分けを支援

撮った写真の工種や撮影箇所をAIが判別し、工事写真台帳まで作るタイプです。施工管理の中でも写真整理に最も時間を取られている会社に向いています。お手頃な料金設定の製品が多く、最初の一歩として選ばれやすい領域です。
| サービス名 | 月額料金(1名あたり・税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| 蔵衛門 | 無料〜 | 12億枚超の工事写真を学習した仕分けAIが、電子小黒板の有無を問わず写真の仕分けから台帳作成まで自動で行う。AI機能は有料プランの契約が必要 |
| ミライ工事写真 | 無料〜 | AIが小黒板を読み取り、写真台帳の項目へ自動反映する。読み取り機能は法人プランのオプション機能。 |
| PhotoManager 21 AI | 1242円〜 | 黒板の位置をAIが検出し、工種区分番号を認識して振り分け、黒板の内容も台帳に自動入力される。初期費用20,000円、3年目以降は月額料金の割引あり。 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年7月時点
2. 書類の作成を支援

日報や帳票などの書類作成を効率化するAIを搭載したツールです。AIが担う範囲は製品ごとに違い、音声から文章を組み立てるもの、帳票の項目を自動で判定するもの、検査書類の下準備を代わりに行うものに分かれます。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| eYACHO | 2,640円〜 | 画像認識AIで帳票のテンプレート作成を支援。項目を自動判定し、日付や写真の入力欄まで自動追加。最小5ライセンスからの契約、初期費用は330,000円 |
| SPIDERPLUS | 要問い合わせ | 配筋検査の事前準備作業をAIで自動化。AIが配筋リストから配筋詳細図を切り出し、図面上の検査アイコンへ自動でひもづける。 |
| 工事書類AI | 126,500円~ | 過去の計画書や設計図などをアップロードするだけで、生成AIが施工計画書のドラフトを自動生成。最低契約数は3ライセンス~ |
※ 料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年7月時点
3. 現場業務を支援

手間がかかっている現場業務をAIが支援するタイプです。AIが関わる範囲も工程表の作成から問い合わせ対応、業務代行などさまざまで、料金は規模と機能で決まります。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| PROCOLLA | 要問い合わせ | 工程作成を支援するAIクラウド工程管理システム。図面や見積書をアップロードして指示すると、蓄積された工程データを基に工程表を自動生成する |
| Photoruction | 要問い合わせ | AIによる写真台帳作成や整理を自動化に加え、AIが実務を代行するクラウド型のBPOサービスを提供。図面や検査、施工計画などの作成をAIが支援する |
| Kizuku | 22,000円~ | 画像解析AIで報告書のチェックや工事別の写真振り分けが可能。現場からの質問にチャットで答えるAIアシスタント機能も搭載する。初期費用110,000円 |
※ 料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年7月時点
AI施工管理でよくある4つの質問
── 導入にどのくらいの費用がかかりますか?
担う業務の範囲で価格帯が分かれます。写真整理だけなら1名あたり数千円、現場業務を扱うツールなら現場数と人数に応じた見積もりが必要になります。無料プランのあるツールでもAI機能は有料プラン限定、もしくはオプション料金が必要な場合が多いです。
| タイプ | AI機能を使う場合の料金目安 |
| 工事写真の仕分け | 1名あたり月2,000~3,000円程度 |
| 報告書・日報の作成 | 1名あたり月3,000~5,000円程度 |
| 現場業務 | 要問い合わせ |
「デジタル化・AI導入補助金」の制度が使えるかも確認してみましょう。
── AIが作った書類で誤りが出たら責任はどうなりますか?
AIが下書きを作っても、提出した書類の内容に責任を持つのはこれまでどおり現場や会社です。AIに任せる範囲と、人が必ず目を通す範囲のルールを社内で決めましょう。
| 任せてよい範囲 | 人が必ず確認する範囲 |
|---|---|
| 過去資料を基にした下書きの生成 | 数量、金額、工期の数値 |
| 写真の振り分け先の候補出し | 安全と品質に関わる記述 |
| 議事録や報告書の文章整形 | 発注者へ提出する最終版 |
判断の根拠を示したり、確信度の低い判定にアラートがでる製品だと確認作業が楽になります。
──現場がAI機能を使いこなせるか不安です
成功事例では現場でのトライアルを経て全社展開に進み、説明会やハンズオンセミナーを重ねながら利用者を増やしています。
現場に定着させるためのポイント
- 最初は機能を絞って利用する
- 「写真を撮る」「日報の下書き」など効果の見えやすい機能から着手する
- 社内で窓口を設置し、困ったときの問い合わせ先を明確にする
- 削減できた時間を記録し、社内会議に数字で出す