FMEAとは?故障を予測するポイント3点とおすすめツール5選

「FMEAの作成のやり方がわからない」
「点数の付け方の根拠が不明」

そこでFMEAの基本から、導入事例、FMEA実践の5ステップ、FMEAのおすすめツールまで、順を追って見ていきましょう。

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FMEAとは?3つのポイント

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)とは、故障モード影響解析の略で、製品や工程に潜む故障をあらかじめ洗い出して、不具合を未然に防ぐために対策を検討する手法です。不具合が出てから対処するのはなく、設計や工程の段階で問題の芽を摘む点が特徴です。

項目詳細
1. 不具合の未然防止に役立つ壊れてから直すのではなく、設計段階で壊れ方を予測して潰す予防型のアプローチ
2. 設計と工程を使い分ける製品の設計を対象とするDFMEAと、製造工程を対象とするPFMEAを使い分ける
3. 優先度によって対策を絞る影響の大きさ・発生頻度・検出のしやすさからリスクを点数化し、対策の順番を決める

1. 不具合の未然防止に役立つ

従来の品質管理は、不具合が起きてから原因を調べて対策する事後対応が中心でした。FMEAは発想が逆で、製品が完成する前に「どこがどう壊れるか」を予測し、先回りして手を打ちます。市場クレームや量産後の手戻りを未然に防ぐのが狙いです。

観点事後対応FMEA
対応のタイミング不具合が起きてから着手設計・工程の検討段階で着手
かかるコスト選別・回収・対策費が膨らみやすい図面修正など小さなコストで収まる
蓄積される資産担当者の記憶や経験に依存故障モードの知見が組織に残る

2. 設計と工程を使い分ける

FMEAは対象によって大きく2種類に分かれます。製品そのものの設計を見るのが「DFMEA」、作り方である製造工程を見るのが「PFMEA」です。両者は連動させ、設計の弱点を工程の管理でカバーする流れを作ります。

名称対象詳細
DFMEA(設計FMEA製品の設計部品の形状や材質に起因する故障を設計段階で洗い出す
PFMEA(工程FMEA製造の各工程加工・組立・検査など製造工程で生じる不良を洗い出す

3. 優先度によって対策を絞る

洗い出したすべての故障に同じ労力をかけるのは現実的ではありません。そこでFMEAでは、厳しさ(影響の大きさ)・発生度(起こりやすさ)・検出度(見つけやすさ)の3指標を点数化し、掛け合わせたリスク優先数(RPN)で順番を決めます。

評価指標意味点数の目安
厳しさ(S)故障が起きたときの影響の大きさ1(軽微)〜10(重大)
発生度(O)その故障原因が起こる頻度1(まれ)〜10(頻発)
検出度(D)出荷前に発見できる難しさ1(必ず検出)〜10(検出困難)

リスク優先数は「S×O×D」で算出し、最大1,000点になります。点数が高い故障モードから優先して対策することで、限られた人手と時間を効果の大きい改善に集中できます。

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FMEAの導入事例

CASE1. 生成AIで工程FMEAの自動生成を行った事例

NECプラットフォームズ株式会社

生成AIを活用して、設備トラブルへの対応と工程FMEAの作成を効率化した事例です。

特徴活用方法効果
工程FMEAの自動生成LLMで故障モードの影響分析を自動作成誰が作っても品質のバラつきが減る
トラブル対応の支援過去のトラブルデータをAIが検索し提案対応の属人化を防げる
品質と生産性の改善リスク項目の洗い出しを強化品質コストと作業時間を抑えられる

FMEAは担当者の経験差で品質が揺れやすい手法ですが、生成AIにたたき台を作らせることで、誰が作っても一定の水準を保てるようにしました。過去のトラブル情報も探しやすくなり、対応のスピードが上がっています。

具体的な変化

  • 工程FMEAをAIが下書きし、作る人による品質の差が小さくなった
  • 品質コストを15%、作業生産性を25%改善できた
  • 過去のトラブル対応を引き出しやすくなり、属人化が防げた

NECプラットフォームズ株式会社「NEC、金融業・製造業での生成AIの取り組みを解説」2024年10月25日

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FMEAを実践する5ステップ

STEP1. 対象範囲と評価基準を決める

最初にどの製品・どの工程を分析するのかを絞ります。あわせて厳しさ(S)・発生度(O)・検出度(D)をどう点数化するか、チーム内で評価基準をそろえることが出発点です。基準が人によってバラバラだと、同じ故障でも点数が食い違い、優先順位づけが機能しません。

着手前に決めておくこと

  1. 分析の対象(製品全体か特定ユニットか)と粒度の線引き
  2. 厳しさ(S)・発生度(O)・検出度(D)の点数表(1〜10点が何を指すか)の社内基準
  3. 設計・製造など参加メンバーと役割分担

STEP2. 故障モードを洗い出す

対象の機能ごとに分解し、それぞれで起こりうる故障モードを書き出します。「割れる・外れる・寸法がずれる・通電しない」など、起こりうる壊れ方を具体的に書き出す工程です。

1人で考えず複数の視点で出し合うことが精度を左右するでしょう記憶や勘だけに頼らず、クレーム記録や工程内不良のデータなどの実際に起きた不具合を起点にすると現実的なリストになります。

STEP3. 影響と原因を分析する

洗い出した故障モードごとに、それが起きると何が困るのか(影響)と、なぜ起きるのか(原因)を結びつけます。例えば、樹脂成形部品なら次のような関係で並びます。影響からは厳しさ、原因からは発生度、検査でどれだけ見つかるかから検出度を見積もります。

故障モード影響原因
寸法が規格外になる組み付け不良で客先ラインが停止金型温度のばらつき
バリが残る外観不良で選別工数が発生型締め圧の不足
ヒケが出る強度低下で市場クレーム保圧時間の不足

STEP4. リスク優先数で対策を絞る

厳しさ(S)・発生度(O)・検出度(D)を掛け合わせてリスク優先数(RPN)を出し、点数の高い順に並べます。一般的にはRPNが高い故障モードから優先して対策します。

RPNの目安対応の方針
高い(おおむね200以上)最優先で対策し、設計変更や工程見直しを検討する
中程度(100前後)計画的に対策し、検査強化などで補う
低い現状維持し、記録を残し次回に再評価する

STEP5. 対策を実施し定期的に見直す

対策は「発生度を下げる」「厳しさを下げる」「検出度を上げる」のいずれかを狙います。対策後は再び評価し直し、リスクがどれだけ下がったかを確認します。FMEAは設計変更や新しいクレームが出るたびに更新し、回し続けることが重要です。

FMEAのおすすめツール5選

1. FMEA作成の専用ツール

e1ns

IATF16949やVDA-AIAGなどの規格要求に対応したFMEAの作成ツールです。RPN算出やリスク分析を仕組み化でき、手作業では負担の大きい部分を任せられます。

サービス名月額料金(税込)特徴
e1ns要問い合わせIATF16949準拠のFMEAソフトウェア。設計データを一元管理し品質ナレッジを組織の資産にする。コンサルティングにも対応。
APIS IQ-FMEA要問い合わせ世界2000社超が使うドイツ生まれのツール。AIAG&VDAやISO26262に対応し、構造・機能・故障の分析からAP自動算出まで
ConTrack FMEA Insight要問い合わせAIAG&VDAに対応したトレーサビリティ管理ツール。納入先基準に応じたAP自動再計算や、課題管理ツールとの連携が可能

※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年6月時点

2. FMEAを支援するツール

Qualityforce

過去のトラブル事例や製造時の不具合をデータ化し、FAMA作成の手間を軽減できるサービスです。FMEAの故障モード洗い出しや点数付けの根拠を補強したい企業に向きます。

サービス名月額料金(税込)特徴
Qualityforce要問い合わせ過去の不具合報告書や設計チェックを一元管理し、AIで検索・分析できる。FMEAの故障モードの洗い出しに役立つ
QC-One要問い合わせ検査データの一元管理、データの解製ができる品質管理システム。FMEAの点数付けの根拠となるデータを拾える

※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年6月時点

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FMEAでよくある4つの質問

── FMEAとFTAの違いは何ですか?

どちらも信頼性を高める手法ですが、FMEAは原因から結果へたどるボトムアップ、FTAは結果から原因へさかのぼるトップダウンという違いがあります。

観点FMEAFTA
分析の方向部品の故障モードから影響へ(ボトムアップ)重大事象から原因へ(トップダウン)
得意なこと故障モードの網羅的な洗い出し特定の事故の原因究明
主な使いどころ設計・工程の予防全般安全に関わる重大故障の分析

── AP(処置優先度)とは?

AP (処置優先度)は、RPN の弱点を補うために2019年に自動車業界の標準(AIAG-VDA)が制定した新しい指標です。 厳しさ(S)・発生度(O)・検出度(D)の組み合わせを判定表で照合し、高・中・低の3段階で対策の必要度を決定します。

掛け算のRPNと違い、厳しさ(S)を最優先で評価するため、検査強化だけ行って点数を下げる運用が可能になってしまいます。APはそうした見かけ上のごまかしを防ぎやすくなります。

観点RPN(リスク優先数)AP(処置優先度)
算出方法S×O×Dの掛け算厳しさ(S)・発生度(O)・検出度(D)の組み合わせを判定表で照合
結果1〜1000の数値高・中・低の3段階
重み付け3指標を同等に扱う厳しさ(S)を最優先に評価
位置づけリスクの大きさを点数化対策に着手すべき優先度を示す

── 生成AIでFMEAを作るなら?

生成AIを下書き役に使うと、故障モードをゼロから考える負担を減らせます。やり方の流れは以下です。

生成AIでFMEAを作る4ステップ

  1. 対象の製品・部品と機能、使用環境をAIに伝える
  2. 想定される故障モードと影響・原因を一覧で出してもらう
  3. 出力をベテランや過去のクレーム記録と突き合わせて取捨選択する
  4. S・O・Dの評価と対策は自社基準で人が判断して埋める

ただし、AIの出力は完成品ではなく、あくまで人がチェックする前提のたたき台です。生成AI使用の際は以下の点に注意し、出てきた案を鵜呑みにせず現場の経験と突き合わせることで、洗い出しの網羅性と手間の軽減を両立できます。

観点詳細
セキュリティ機密情報や図面データをそのまま入力しない。社内の生成AI利用ルールを必ず確認する
信頼性AIは事実と異なる情報や架空のデータを混ぜることがある(ハルシネーション)S・O・Dの点数や最終的な対策はは人が必ず検証する

── FMEAでよくある失敗は何ですか?

技術的な問題よりも、運用や進め方に原因があるケースがほとんどです。形だけのFMEAに陥らないための注意点は次のとおりです。複数の視点で洗い出し、評価基準をそろえ、設計変更のたびに更新する。形骸化させないためにもこの3点を守りましょう。

陥りやすい失敗と対策

  • 担当者一人で作り、故障モードの洗い出しに漏れが出る
  • 評価基準が人によって違い、点数に一貫性がなくなる
  • 1度作ったきり更新されず、審査用の書類になってしまう

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。

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