二重入力とは? 転記ミスや残業を減らす改善手順とおすすめシステム

「転記ミスで誤った請求書を提出してしまった」
「非効率と思いながらも改善できていない」

二重入力のリスクから、二重入力・転記のムダ度診断、転記作業を解消した3社の事例、改善ステップまで、現場目線で1つずつ紐解いていきましょう。

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二重入力とは? 現場に与えるダメージ

二重入力とは、同一のデータを複数のシステムや帳票に手作業で繰り返し入力することです。「紙の伝票→Excelの帳票」「Excel→会計ソフト」のように、取引先名や日付といった同じ情報を、担当者が目視で確認しながら何度も打ち込むことで、現場には3つのデメリットがあります。

1. 累積するコスト

二重入力の問題は目に見えにくいコストが積み重なっていく点にあります。

コストの種類具体的な内容
入力工数同じデータの転記作業が毎月繰り返し発生する
照合・確認工数2つのデータを突き合わせ、そのチェックに時間がかかる
修正工数ミスした場合、差し戻しや再入力が発生し、不要な手間を消費する
心理的負荷人為的ミスが起きやすいため作業者の負担になる

例えば、1人の担当者が1日に10件の帳票を作成しているとします。確認作業も含めて、1件あたりの転記に6分かかるとすれば、毎日1時間が「書き写すだけ」という非生産的な作業に消えている計算です。これを年間コストに換算すると、以下のようになります。

時給2,000円 × 1日1時間 × 月20日 × 12ヶ月 = 1人あたり年間48万円

社内に似たような転記作業をしている人間が2人いれば、年間で100万円近くものコストがかかっています。

2. 転記ミスで発生するトラブル

入力ミスはさまざまなトラブルの引き金になります。厄介なのは、転記の間違いが発覚するまでのタイムラグです。直後にはミスに気づけず、後工程で問題が表面化します。

トラブルの種類起きること
請求金額の誤り過大請求で取引先からクレーム、過少請求で売り上げを取りこぼす
仕訳科目の取り違え月次決算の数字がずれ、修正仕訳と再集計で締め作業が遅延
在庫数量の食い違い欠品や過剰発注につながる
取引先情報の誤記振込先口座や届け先住所の誤りで、入金遅延や誤配送が発生
品番の誤り商品や部材の誤出荷

3. トラブルフォローの負担

どれだけ注意しても一定の割合で入力ミスは起こります。そして、処理件数が増えるほどミスの発生件数も比例して増えていきます。

原状回復工事での具体的な変化

  • 関係各所への連絡
  • 社内の承認フローをもう一度回す
  • 取引先へのお詫び
  • 再発防止の報告書作成

こうした対応工数まで含めると、たった1件の転記ミスが最終的に多くの関係者の業務時間を奪う玉突き事故に発展します。

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二重入力・転記のムダ度診断

自社のフローに二重入力の問題が起きているか、客観的に診断してみましょう。以下の項目に3つ以上当てはまる場合、対策が必要です。

二重入力・転記のムダ度診断

同じ数字を何度も書き写していませんか?あなたの現場に潜む「転記の罠」を可視化し、自動化に向けた優先順位を特定します。

第 1 問 / 10
0% 完了
質問文がここに入ります
1 2 3 4 5
当てはまらない 当てはまる

※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。

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二重入力解消の成功事例3選

CASE1. 原状回復工事におけるフロンティアの事例

株式会社フロンティア

賃貸物件の原状回復工事を手掛ける株式会社フロンティアは、案件管理から請求書発行までを一元管理できる業務管理システムを導入し、帳票の転記や集計作業を解消しました。このシステムの特徴は以下のとおりです。

特徴活用方法効果
書類の自動つなぎ見積書から依頼書まで自動連携二重入力がなくなり転記ミスがゼロになった
書類レイアウトの調整顧客ごとの形式に合わせてテンプレート編集請求書発行の手間が大きく減った
売上の見える化売上グラフでリアルタイムに収益を確認売上が落ちた原因をすぐに追える

案件管理と現場管理で別々のシステムを使っていたため、見積もり内容を何度も打ち込む二重入力が日常的に発生していました。システムをひとつにまとめたことで、入力作業の重複がなくなり、残業時間の削減と直行直帰体制の定着につながっています。

原状回復工事での具体的な変化

  • 見積もりから依頼書への転記がなくなり、入力ミスが出なくなった
  • 報告書を書くためだけにオフィスへ立ち寄る必要がなくなった
  • 複数システムをまたいで確認していた手間がひとつに集約された

CASE2. 空調設備工事における株式会社太陽プラントの事例

株式会社太陽プラント

空調設備工事を手がける株式会社太陽プラントは、案件管理システムを使って、拠点間でのExcel転記やPDF報告書の往復送付という非効率な業務連携をなくしました。具体的なシステムの活用方法は主に3つです。

特徴活用方法効果
業務フローの一本化見積作成から施工完了まで一続きで管理Excel・PDFへの二重入力がなくなった
拠点間のリアルタイム共有東京と神戸が同じ画面で案件を確認請求処理がスムーズに進むようになった
顧客情報と施工履歴の紐づけ過去の案件履歴を顧客情報画面から参照過去資料をさかのぼる手間がなくなった

東京と神戸の2拠点が、それぞれ別のExcelや紙で案件を管理していたため、同じ情報を何度も入力する二重入力が日常的に発生していました。会計・顧客管理・現場報告をひとつに集約したことで、経理担当が工事完了後すぐに請求作業へ着手できるようになりました。

空調設備工事での具体的な変化

  • 拠点間でメールやPDFをやり取りする手間がなくなった
  • 完工後すぐに経理担当が請求作業を始められるようになった
  • 会計・顧客管理・現場報告がバラバラだった状態から抜け出せた

CASE3. 住環境製造における株式会社トヨダの事例

株式会社トヨダ

建具や襖などの製造と販売を手掛ける株式会社トヨダは、オールインワンシステムによって複数回にわたる転記作業を、1回の入力で完結する体制へと改善しました。システムによる主な効果は次のとおりです。

特徴活用方法効果
発注書への図面・写真添付フォルダへの写真・図面の直接保存と発注書添付スマホ撮影後の会社への転送が不要になった
出先でのモバイル作業訪問先で見積書・請求書をその場で作成帰社後の事務処理が減り、訪問の合間に作業できる
顧客情報の自動反映案件情報から見積書・発注書へ自動で流し込み転記ミスと入力間違いがなくなった

導入前は、営業が入力した情報を事務が別のシステムに二重入力し直すために、半日から1日を費やすこともありました。今は営業が1回入力するだけで見積書・発注書がそろい、事務担当の転記作業がまるごとなくなっています。

住環境製造での具体的な変化

  • 1案件あたり3回発生していた転記の手間がなくなった
  • 原価管理ソフトだけでは対応できなかった業務も効率化できた
  • 転記作業がなくなった分の時間を、別の仕事に使えるようになった

もっと詳しく 3社がExcelを卒業して現場がどう変わったか、リアルな事例で紹介しています。
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二重入力の解消までの4ステップ

STEP1. データのフロー図に起こす

改善の第一歩は、現状の業務フローを可視化することです。頭の中で把握しているつもりでも、実際に図に描いてみると想定外のデータ重複が見つかるケースは少なくありません。特に部署をまたぐ転記は、放置されやすい傾向にあります。

業務フローの可視化ステップ

  1. データの発生元(紙の伝票・メール・FAXなど)を左端に書く
  2. 右に向かって「どのファイルに、誰が、何回入力しているか」を矢印でつなぐ
  3. 矢印が2本以上出ているデータ項目が、二重入力の発生ポイント

注意したいのは、例外処理も含めることです。返品処理や値引き対応といったイレギュラー時に追加の転記が発生しているケースがあります。

STEP2. CSVインポートを利用する

ほとんどの会計ソフトや業務システムは、CSVのエクスポート・インポート機能を備えています。まず試してほしいのが、コストゼロで始められるCSVインポートによる転記の自動化です。

手順作業内容
1. 取込フォーマットを確認する指定の列順・項目名を調べる
2. Excelの列順を合わせる既存の管理表を取込フォーマットに合わせる
3. CSVで保存して取り込むCSV形式で保存し、システムにインポートする
4. 取込結果を確認するエラーが出た行を修正し、再度取り込む

1度テンプレートを整えてしまえば、翌月以降は同じ手順を繰り返すだけで済みます。インポートの手間は残りますが、手入力の手間や入力ミスを削減できます。

STEP3. Excel集計を自動化する

Excelで管理表や集計表を作成している場合、VLOOKUP、INDEX、MATCH関数を活用して、既存システムからエクスポートしたデータを自動で反映させる仕組みが作れます。例えば、受注一覧のCSVファイルをExcelに取り込み、VLOOKUP関数で商品コードをキーにして単価や商品名を自動で埋める方法があります。

受注の集計表を作成する例

  1. 基幹システムから受注データをCSV形式でエクスポートする
  2. Excelの管理表にCSVデータを貼り付ける
  3. VLOOKUP関数で商品マスターと紐づけ、単価と商品名を自動反映させる
  4. IF関数やISERROR関数で、マスターに存在しない商品コードをエラー検出する

ピボットテーブルと組み合わせれば、取引先別や月別の売り上げ集計も自動化でます。この方法ならマクロやVBAの知識も不要です。

STEP4. クラウドシステムへの移行で属人化を防ぐ

もう一歩踏み込むならRPAツールの利用や会計・生産システム、業務管理システムへの段階移行が有力な選択肢です。

RPAとは?

パソコン上の定型作業をソフトウェアのロボットが自動実行する仕組み。「Aのシステムにログインし、データを抽出し、Excelに貼り付ける」といった、人がマウスとキーボードで行っていた操作をそのまま再現できます。

二重入力に対応できるシステム3種

システム導入の利点は属人化の解消もできることです。Excel運用では、担当者の不在や異動が業務停止のリスクになりますが、システム移行で依存構造を断ち切れます。

選択肢ツール例特徴
RPAツールPower Automate Desktop
WinActor
システム間のコピー&ペースト作業や定型帳票の転記
会計・精算システムfreee
マネーフォワード
バックオフィス業務に特化し、事務作業を効率化
業務管理システムRobotERP
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二重入力でよくある質問

── 小規模な会社でもシステム導入の費用対効果は出る?

少人数の組織ほど1人あたりの業務負荷が重いぶん、二重入力の削減効果が目に見えやすいです。例えば、担当者1人が月20時間を転記作業に費やしているケースでは、年間約12万円の削減が見込めます。

比較項目現状(手作業)ツール導入後
月間の転記時間20時間0円
年間の人件費換算時給2000円×月20時間×12ヶ月=48万円0円
年間のシステム費0円月額3万円×12ヶ月=36万円

── 上司への改善提案をしたいがコツは?

改善提案を通すうえで欠かせないのは、現状の転記にかかっているコストを金額で示すことです。計算はシンプルで構いません。「二重入力の削減による年間○○時間・○○万円の工数削減」のように、数字を冒頭に置くと決裁者の目に留まりやすくなります。

算出項目計算式の例
月間の転記件数対象伝票数×二重入力の発生率
月間の転記工数転記件数×1件あたりの作業時間
年間コスト月間転記工数×12ヶ月×時給単価
年間修正コスト月間の誤り件数×1件あたりの修正時間×時給単価×12ヶ月

中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部SaaSビジネス部所属。現場向けの業務支援システム「プロワン」のAIコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。

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