「顧客情報が営業と現場で別々に管理されている」
「月末の集計のたびに、部署ごとのExcelを突き合わせている」
こうした手間の原因は、部署ごとにデータが分かれて管理される「データのサイロ化」です。解消した3社に共通するのは、営業から施工までの案件情報を1つのシステムに集めたことでした。原因とリスク、危険度チェック、解消の手順から、自社で最初につなぐデータを見つけましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
CONTENTS
データのサイロ化とは?データが部署で分かれた状態
1. データのサイロ化と組織のサイロ化の違い
データのサイロ化とは、顧客・案件・売り上げなどのデータが部署ごとのシステムに分かれ、つながっていない状態を指します。
サイロ化の由来
農場で穀物を貯蔵する円筒形の建物「サイロ」に由来しています。それぞれのサイロは高い壁に囲まれ独立しており、中身が混ざることはありません。この「外から中身が見えず、他と混ざらない」という状態が、データが部署ごとのシステムに閉じ込められる様子に似ています。
サイロ化には、データが分かれる「データのサイロ化」と、部署どうしの連携が途切れる「組織のサイロ化」があります。この記事はデータの側を扱います。組織の側はタコツボ化の記事にまとめています。
| 項目 | データのサイロ化 | 組織のサイロ化(タコツボ化) |
| 状態 | 顧客・案件・売り上げのデータが、部署ごとのシステムやExcelに分かれている | 部署ごとに仕事が閉じ、他部署との連携や情報共有が途切れている |
| 具体例 | 営業はCRM、現場はExcel、経理は会計ソフトで、同じ顧客を別々に登録する | 他部署への協力依頼が「うちは忙しい」と断られる |
| 影響 | 転記と突き合わせが増え、全社の数字がすぐに出ない | 部署の都合が優先され、全社で決めたことが進まない |
| 主な対策 | データの持ち方をそろえ、システムをつなぐか1つにまとめる | 共通の目標や評価制度、部署をまたぐ会議の場を見直す |
2. データのサイロ化が招く7つのリスク
たとえば、営業が聞いた顧客の要望が施工部門のシステムに入っておらず、現場で仕様の食い違いに気づくことがあります。データが分かれていると、こうした行き違いが部署の境目ごとに起きます。主なリスクは次の7つです。
| 項目 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 意思決定の遅れ | 部署ごとの数字を集めて突き合わせるまで、全社の状況がわからない |
| 二重入力とコスト増 | 同じ顧客や案件を部署ごとに登録し直し、入力の手間とツール費用が重なる |
| 転記ミスと数字の食い違い | 手で書き写すたびに誤りが入り、部署ごとに売り上げや原価の数字がずれる |
| 顧客対応の質の低下 | 問い合わせに過去の履歴を出せず、確認の折り返しや回答の食い違いが起きる |
| 担当者の負担と離職 | 集計や転記などの作業が特定の人に集まり、疲弊や退職につながる |
| 管理漏れと情報漏えい | どこに何のデータがあるか把握できず、権限管理や削除が行き届かない |
| DX推進の失敗 | データをつなげないまま新しいツールを足し、部分最適に終わる |
3. データのサイロ化が起こる4つの原因
データが部署ごとに分かれてしまう主な原因は4つです。
1. 部署ごとのシステム導入
営業はCRM、経理は会計ソフトのように、部署ごとに使いやすいツールを選んだ結果です。ツールどうしがつながらず、同じデータを別々に持つことになります。
2. データの形式や名前がそろっていない
同じ顧客でも、部署によって社名の書き方や顧客番号が違います。形式がそろっていないと、システムをつなごうとしても突き合わせができません。
3. Excelや紙での個人管理
担当者が自分のExcelや紙で案件を管理していると、その人しかデータを見られません。異動や退職のたびに、データが行方不明になります。
4. 縦割りの組織と評価制度
自部署の目標だけを追う評価制度では、他部署のためにデータを入力する手間が後回しになります。組織の側の原因はタコツボ化の記事で詳しく扱っています。
4つの原因は重なって起きることが多く、システムだけ入れ替えても、データの持ち方がばらばらなら分断は残ります。まずは自社がどこに当てはまるかを、次のチェックで確かめてください。
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データのサイロ化の危険度チェック
自社のデータがどれだけ部署ごとに分かれているかを、10問で確かめましょう。3つ以上当てはまるなら、早めに手を打つ段階です。
部署ごとに分かれたデータが、業務を止めていないかがわかります
※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。
データのサイロ化を解消した事例3選
CASE1. 段階ごとの管理の違いから、部署をまたいだ一元管理に

冨野様
導入前の悩み
情報共有の面でも、営業段階・見積作成・施工段階ごとに担当者で管理方法が違ったり、細かな連携が取れていなかったりで、現場や他部署との情報の行き違いも発生していました。
冨野様
導入後の変化
営業3部では写真管理や見積依頼(メンテナンス部への受け渡し)、メンテナンス部では見積作成や実行予算作成にプロワンを主に使っています。東京支社ではこれらの業務全体をまとめて活用しています。以前は対面や紙でやり取りしていた内容も、プロワン上で一元管理ができるようになりました。
冨野様

現場で起きた主な出来事
- 紙でのやり取りが少なくなり、情報の伝達や共有がリアルタイムでできる点がとても便利
- 書類のやり取りがこれまで対面やメール中心だったのに対し、プロワンではすぐに通知できるので、時間短縮やミス防止につながっている
CASE2. 拠点ごとに別々のツールから、全拠点の状況が見える形に

常務取締役 山元様
導入前の悩み
直営の拠点だけでも20店舗あり、異なるツールで管理しているため、現場や拠点がどのような管理をしているのか、本部では把握できない構造になっていました……従来のExcel管理だと案件データを複数人で共有できず、担当者しか把握できない状況になっていました。
常務取締役 山元様
導入後の変化
複数人で情報共有ができるのは大きかったです。プロワンを使えばすべての情報が集約されるだけでなく、各拠点の状況をリアルタイムに可視化できます。
常務取締役 山元様
現場で起きた主な出来事
- 「現場で作成した見積もりをその場でSMS送信できる」といった便利機能のおかげで、現場での活用が予想以上に進んでいる
- 現場報告書をデジタル化できたことで、作業効率が格段に上がった
- 作業が終わったらチェックする配送表があるのもありがたい
CASE3. 部署ごとに点在していた資料を、4部門が同じ画面で

開発グループ 大田様
導入前の悩み
営業がExcelで見積もりを作り、設計がWordやCADで仕様を整え、施工や資材がそれぞれ別シートを作成する流れです。手順そのものは開発グループで標準化していましたが、資料は部署ごと・個人ごとに点在していました。
開発グループ 大田様
導入後の変化
ビニールハウスや植物工場の仕様をあらかじめテンプレート化しておくと、案件ごとに呼び出すだけで図面・仕様書・見積もりが一式そろいます。営業、設計、施工管理、資材調達の4部門が同じ案件画面を見ているので、変更履歴や進捗も一目でわかります。
開発グループ 大田様

現場で起きた主な出来事
- 提出日時や最新データが自動で共有され、「送った?最新どれ?」という確認がかなり減った
- 見積書はメールで添付せずプロワンから直接送付している
- 「誰が・いつ・何を」変えたか履歴が残るので後追いがラクになった
※ プロワン導入事例「日栄インテック株式会社」2025年8月
データのサイロ化を解消する4ステップ
STEP1. 推進チームを立ち上げる
各部署から代表者を選び、データの統合を進めるチームを作ります。入力のルールを変えると各部署の仕事も変わるため、チームには各部署へ指示や調整ができる権限を持たせましょう。
チームの活動例
- 各部署へのヒアリングで、データを探す手間や書き写す手間を集める
- 業務の流れを図にして、どこでデータが途切れているかを特定する
- 経営層に進み具合を報告し、全社の取り組みとして続ける
STEP2. 散らばったデータを棚卸しする
次に、どの部署がどのデータを、どのツールで持っているかを書き出します。同じデータを2カ所以上で持っている箇所が、分断の起きている場所です。
| 観点 | 具体的な内容 | 重要なポイント |
| 対象のデータ | 顧客・案件・見積もり・売り上げ・原価など、部署をまたいで使うデータを洗い出す | 部署の中だけで使うデータは後回しにする |
| 置き場所 | CRM・Excel・紙の台帳など、データがどこにあるかを一覧にする | 個人のExcelや紙の台帳も漏らさず書き出す |
| データの流れ | 誰が入力し、誰が書き写して使っているかをたどる | 転記が起きている箇所に印を付ける |
STEP3. データの持ち方をそろえる
システムをつなぐ前に、部署ごとにばらばらな書き方をそろえます。ここを飛ばすと、つないでもデータの突き合わせができません。
| 観点 | 具体的な内容 | 重要なポイント |
| 番号 | 顧客番号や案件番号を全社で1つに決める | 部署ごとの独自番号は、全社の番号にひもづける |
| 項目と書き方 | 社名・住所・日付などの書き方を決める | 「株式会社」の位置や全角・半角まで決めておく |
| 正とするデータ | 項目ごとに、どのシステムの値を正とするかを決める | 顧客情報は営業、原価は経理のように持ち主を決める |
STEP4. 段階的に1つのシステムへまとめる
最初は連携ツールで、転記の多いシステムどうしをつなぎます。そのうえで、全業務のデータを一元管理できるシステムへの統合を目指します。選ぶときは、次の5点を確かめましょう。
| 選定ポイント | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 既存システムとの連携性 | 現在使用している業務システムと容易に接続できるか。API連携やデータ移行の難易度はどうか |
| 画面の操作性 | ITに詳しくない社員でも直感的に使えるか。研修コストや習熟期間は許容範囲か |
| コストパフォーマンス | 初期導入費用だけでなく、月額料金やカスタマイズ費用を含めた総コストは適正か |
| 将来の拡張性 | 今後の事業成長や組織変更に柔軟に対応できるか。機能追加やユーザー数増加に耐えられるか |
| セキュリティ | 顧客情報や機密データを安全に管理できるか。アクセス権限の細かな設定が可能か |
データのサイロ化解消に役立つツール4種
1. データ連携ツール

異なるシステムやアプリの間で、データを自動で同期・転送できるツールです。ノーコードやローコードで設定できるものも多く、今あるシステムを入れ替えずに転記の手間を減らせます。
| ツール名 | 機能 | 効果 |
|---|---|---|
| Zapier | ノーコードで5,000以上のアプリを自動連携、ルーティンワークを自動化 | 部門別ツールを簡単連携、手作業でのデータ転記を撲滅 |
| MuleSoft | ローコードで複数サービスをデータ統合し、システム連結 | レガシーシステムと最新SaaSをシームレス統合、業務効率化とデータ活用を促進 |
| Informatica | データ統合プラットフォーム、社内の散らばるデータを統合、効果的にデータ管理・分析 | 顧客や商品マスターを一元化、情報の不整合を根本解決、データドリブン経営の促進 |
※ 2026年9月時点
2. 情報共有ツール

チャットや社内Wikiで、部署ごとに散らばった資料ややり取りを1カ所に集めるツールです。メールや個人のフォルダに埋もれていた情報を、全社で検索できるようになります。
| ツール名 | 主な機能 | 効果 |
| Slack | 即時性の高いチャット、外部ツール通知の集約 | 豊富な外部アプリ連携による業務自動化、「オープンチャンネル」で、他部署の動きが見える化 |
| Notion | ドキュメント作成、タスク・プロジェクト管理、社内Wiki | マニュアルや議事録を一箇所に集約し、「情報の属人化」を防ぐ |
| Microsoft Teams | ビデオ会議、Officeファイルの共同編集ハブ | メールのような宛先限定のやり取りを減らせる |
| Confluence | ナレッジベース構築、仕様書・マニュアル作成、ファイル共有 | 大量の文書の構造化、強力な検索機能により、他部署の資料でもすぐに探し出せる |
※ 2026年9月時点
3. プロジェクト管理ツール

タスクの進み具合や担当、日程を1つの画面に集め、部署をまたぐ仕事の状況を全員で見られるツールです。Excelや担当者の頭の中にあった進捗を、ガントチャートやカンバンボードで共有できます。
| ツール名 | 主な機能 | 効果 |
|---|---|---|
| Asana | タスク管理、プロジェクトビュー、ルーティン自動化、モバイルアプリ、タイムトラッキング | 部門横断プロジェクトの進捗共有、責任所在を明確化 |
| Monday.com | タイムライン、工数管理、ダッシュボード、パフォーマンス分析、レポート機能、ツール連携 | 部門別ワークフローを統合、誰が何をしているか一目瞭然 |
| Lychee Redmine | 予算管理、リソース管理、タイムマネジメント、コストマネジメント、プロジェクトレポート | WBSで部門間タスクを可視化、進捗の見える化で連携強化 |
※ 2026年9月時点
4. 業務管理システム

プロワンは、営業・現場・経営のデータを1つにまとめる業務管理システムです。工事・リフォーム・設備業界のように、離れた現場とオフィスの間で起きがちなデータのサイロ化を解消します。
| 利用カテゴリ | 具体的な機能 |
|---|---|
| 営業 | 顧客データ管理、案件進捗の可視化、営業履歴の一元管理、外部CRM連携 |
| 現場 | スケジュール管理、作業進捗のリアルタイム共有、資材管理、発注管理、写真・ファイル管理、現場アプリ |
| 経営 | 利益分析、稼働状況の可視化、レポート・ダッシュボード、申請・承認ワークフロー、自動化ルール |
営業はCRM、現場はExcel、経営は独自の管理ツールと、部門ごとにシステムが分かれていると、転記の手間や連携不足による機会損失が生まれます。プロワン導入により、全部門が同一のプラットフォーム上で業務を遂行できるようになり、情報やデータを一元管理できます。