「売上は伸びているが、手元に残らない……」
「資金繰りが厳しくなる気がする……」
日々の業務に追われ、お金の流れを正確に把握できていない人も多いです。そこで、どんぶり勘定の本当のリスクから、リスク診断チェック、他社の成功事例、始め方3ステップ、脱どんぶり勘定できるツールまで、会社の財務を健全化する道筋を一緒に見ていきましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
CONTENTS
どんぶり勘定とは?経営を改善する第一歩
1. どんぶり勘定の意味
どんぶり勘定とは、売上や経費を大まかに把握するだけで、詳細な収支管理をしない経営スタイルのことです。昔の親方や店主が身につけていた「エプロンのような仕事着の前面に付いている大きなポケット」をどんぶりと呼び、事業で得たお金はどんぶりに入れて、職人に渡すお金もどんぶりから出していたことが語源になります。
また、脱どんぶり勘定とは、そのような大雑把などんぶり勘定をやめることです。このどんぶり勘定には3つのリスクが潜んでいます。
2. どんぶり勘定に潜むリスク
2-1. キャッシュフローが悪化する
売上が計上されても、実際の入金までにはタイムラグがあります。結果として、支払い期限が迫っているにもかかわらず、手元に現金がないという「黒字倒産」に陥るケースが非常に多いです。
2-2. 無駄な経費を垂れ流す
どこにいくら使っているか把握できずに、固定費が少しずつ利益を削っていることがあります。不要なサブスクや効果の薄い広告費が、気づかないうちに経営を圧迫し、見えない出血になっているかもしれません。
2-3. 適切な投資判断ができない
正確な財務状況が把握できていなければ、新規事業や設備更新も適切には判断できないです。データに基づかない判断は勘に近く、無理な投資で経営危機を招いてしまった例もあります。
3. 正確な数字がもたらす改善効果
どんぶり勘定から脱却し、正確な数字管理をすることで得られる効果は大きいです。特に「営業利益率が向上する」という結果が報告されています。
| 項目 | 具体的な効果 | 期待できる成果 |
|---|---|---|
| 売上管理 | 商品別や顧客別の売上分析が可能に | 利益率の高い商品への注力、優良顧客の囲い込み |
| 原価管理 | 仕入れ価格や製造コストの詳細把握 | 適正な価格設定、コスト削減ポイントの発見 |
| 在庫管理 | 過剰在庫と欠品の防止 | 資金効率の改善、機会損失の削減 |
| 人件費管理 | 部門別やプロジェクト別の労務費把握 | 生産性向上、適正な人員配置 |
脱アナログから一元管理まで、
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どんぶり勘定リスク診断
自社の経営がどんぶり勘定になっていないか、リスク診断してみましょう。13点以上の場合は、早急な改善が必要です。
なんとかなるという感覚が、経営の致命傷になるかもしれません
※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。
原価や利益を正確に出した事例2選
CASE1. 金額だけの管理から、原価率を意識する経営に

支援前の悩み
各種「金額」を意識することが多く、各種項目の売上額に対する「比率」まで意識することができていませんでした。
財務担当の取締役
支援後の変化
本件のようなことを意識しているのは私(相談者)だけで、それを社長はじめスタッフ全員に落とし込むことが重要であることを認識しました。今回だけの意識改革だけではなく、これを今後も継続することが一番大事であることがわかりました。
財務担当の取締役
現場で起きた主な出来事
- 積算した請負額だけではなく、原価(粗利)率を意識できるようになった
- 価格転嫁の目線は、相談者における販管費の見直しにも役立つことを再確認できた
- 今まで目を向けてこなかった民間の外構工事等にも進出した
※ よろず支援拠点全国本部「いわゆるどんぶり勘定から各種数字の要因を把握するきめ細やかな事業所への脱却」2024年12月25日
CASE2. 部門ごとの原価と利益を見える化し、黒字に転換

支援前の悩み
金融機関からは返済を厳しく迫られ、一時はM&Aによる事業売却か、不動産を一部手放すかしかないと覚悟していました。
創業者
支援後の変化
各部門の連携、組織作り、数字の見える化が進み、黒字転換が実現したほか、齋木社長への事業承継で、今後のさらなる発展も見えてきました。
創業者
現場で起きた主な出来事
- 管理会計手法を採り入れ、社内で働く人々が「今まさに作っているもの、売っているものにどれだけの原価がかかり、どれだけ利益が上がっているのか」という情報を社員と共有した
- 売り上げの7%が利益となり、黒字決算として実を結んだ
- 社員に原価意識が徹底され、再生に向けて一緒に努力する動機付けができた
※ よろず支援拠点全国本部「自力再生不能状況から黒字化へV字回復し事業承継でさらなる発展を目指す」2022年3月11日
脱どんぶり勘定の3ステップ
STEP1. お金の流れを「見える化」する
会社のお金がどう動いているか把握することから始めます。難しく考える必要はありません。最初は以下の3つの数字だけ、毎日5分でチェックする習慣をつけましょう。
| 項目 | 目的 | 例 |
| 1. 現預金残高 | 今、実際に使えるお金はいくら? | 銀行口座と金庫の現金を合わせた金額 |
| 2. 売掛金残高 | お客様からもらう予定のお金はいくら? | 今月納品したが、来月支払われる売上代金 |
| 3. 買掛金残高 | 取引先に支払う予定のお金はいくら? | 今月仕入れたが、来月支払う仕入代金 |
次に、過去3カ月分の通帳を見返してみましょう。顧問税理士さんに手伝ってもらってもOKです。すべての入出金を「売上、仕入れ、給料、家賃、光熱費」などに分類すると、意外な発見があるはずです。
その際は「なんとなく経費が多い」ではなく「経費は月150万円で、売上の30%を占めている」というように、具体的な数字で現状を理解することが大切です。
STEP2. 経費と売上を「ルール化」する
現状がわかったらお金の使い方にルールを作ります。売上については「当日の売上高」「主要商品やサービス別の売上」を毎日記録しましょう。
支出に対しては「1万円以上の支出は事前承認制にする」「領収書は必ずその日のうちに処理する」「用途不明の支出は認めない」といったルールを設定します。明確な基準を設けることで、無駄な支出を防ぐことができます。
STEP3. 振り返りの「習慣化」を続ける
ルールを守り続けるためには定期的な振り返りが大切です。毎週月曜などの朝30分に以下の項目をチェックする習慣をつけましょう。
毎週確認する数字
- 先週の売上は目標を達成したか
- 経費は予算内に収まっているか
- キャッシュフローに問題はないか
- 改善すべき点はないか
月1回はより詳細に分析しましょう。前月との比較や前年同月との比較を通じて、数字の変化とその要因を明確に把握することが大切です。「なぜ売上が増えたのか」「どうして経費が減ったのか」を具体的に説明できるようになれば、それはもう「どんぶり勘定」を卒業できています。
脱どんぶり勘定のおすすめツール
1. 初心者でも安心のクラウド会計ソフト

クラウド会計ソフトは、どんぶり勘定脱却の強力な味方です。銀行口座やクレジットカードと連携することで、取引データが自動で取り込まれ、仕訳作業の手間が大幅に削減されます。
| サービス名 | 月額料金(1名あたり・税込) | 主な機能 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| freee会計 | 6,028円〜+従量課金 | 簿記知識不要の設計、スマホアプリ充実 | 会計初心者、個人事業主 |
| マネーフォワード | 2,728円〜+従量課金 | 他サービスとの連携が豊富 | 複数のツールを使う中小企業 |
| 弥生会計 Next | 3,190円〜+従量課金 | サポート体制が充実 | 安心感を重視する方 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
2. 面倒な経費精算を効率化するシステム

経費精算は、どんぶり勘定の温床になりやすい業務です。領収書の管理が煩雑で、後回しにした結果、正確な経費把握ができなくなるパターンは珍しくありません。経費精算システムを導入すれば、スマホで領収書を撮影するだけで経費申請が完了します。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 主な特徴 | おすすめの人 |
| Concur Expense | 要問い合わせ | 高機能システム、出張旅費の管理にも対応 | 大企業 |
| 楽楽精算 | 33,000円~ | 料金体系がシンプルで導入しやすい | 中小企業 |
| ジョブカン経費精算 | 1名あたり440円~ | 低価格で基本機能が充実 | スタートアップ |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年9月時点
どんぶり勘定でよくある質問回答
── なぜ利益があってもお金が足りないのか?
決算書は黒字でも、資金繰りに苦労する経営者は少なくありません。 最大の原因は、得られた利益とキャッシュの違いを理解していない点にあります。会計上の利益は売上時に計上されますが、実際の入金までに時間差があります。例えば、売掛金の回収が遅く、仕入代金の支払いが早ければ、手元の現金は不足するでしょう。
在庫も同様で、商品は売れるまで現金化されません。過剰在庫は「現金が眠っている」状態です。どんぶり勘定では、この現金の流れを見落とし、資金が尽きがちです。
── 失敗しないツールの選び方は?
1. 無理のない価格設定を選ぶ
高額なツールは長続きしません。まずは無料トライアルや基本プランで試し、必要に応じてアップグレードするのが賢明です。
2. サポート体制を重視する
導入当初は、電話やチャットですぐに質問できるサポート体制が重要です。特に会計ソフトなどは、法改正への迅速なアップデート対応も確認しましょう。
3. 他システムとの連携性を確認する
POSレジや在庫管理など、他のシステムと連携できれば、二重入力の手間が省けます。将来の事業拡大も見据え、拡張性のあるツールを選びましょう。