「このプロジェクト、見積もりが甘かった…」
「納期も予算も厳しくて、残業ばかり…」
納期遅延やコスト超過の原因は、経験に頼ったどんぶり勘定であることも少なくありません。そこで工数計算シミュレーションから、すぐに使えるExcelとスプレッドシートのテンプレート、よくあるミスと対策まで、正しい工数計算のノウハウを見ていきましょう。
CONTENTS
工数計算とは?かんたん解説
工数計算とは、プロジェクトを完了させるために必要な作業量を数値化し、人員・時間・コストを算出する手法です。工数は一般的に「人月、人日、人時」という単位で表現され、例えば「3人日」は1人が3日間、または3人が1日で完了する作業量を意味します。
| 工数 | 説明 |
|---|---|
| 人月(にんげつ) | 1人が1ヶ月稼働した場合に完了できる作業量。 |
| 人日(にんにち) | 1人が1日(標準労働時間は通常8時間)稼働した場合に完了できる作業量。 |
| 人時(にんじ) | 1人が1時間稼働した場合に完了できる作業量。 |
| 人工(にんく) | 建設業や製造業で使用される人日と同じ概念。 |
工数の算出は「人数×時間」です。この関係性を理解することで、例えば、1人で6ヶ月かかる作業の工数が「6人月」であっても、それを「2人で作業すれば3ヶ月で完了する」「3人で作業すれば2ヶ月で完了する」といった予測ができます。
| 求めたい項目 | 計算式 |
|---|---|
| 必要な工数 | 人数×時間 |
| 必要な人数 | 工数÷時間 |
| 必要な時間 | 工数÷人数 |
さらに工数がわかれば、「工数×人月単価」で概算費用も算出できます。例えば「3人月×80万円=240万円」です。
工数計算シミュレーション
プロジェクトの人月、費用、期間などをシミュレーションできるようにしました。「1人月は何人日に相当する?」「作業人数を増やしたら完了日はいつ?」といった疑問を明らかにできます。
土日は考慮していますが、祝日は判定していません
※ 実際の計算結果は条件によって異なる場合があります。本計算結果はあくまでも目安としてご利用ください。
工数計算できるExcelテンプレート
工数計算シミュレーションがExcelやスプレッドシートで簡単にできるテンプレートを用意しました。無料でダウンロードできて、すぐに使えます。

※ 実際の計算結果は条件によって異なる場合があります。Excelテンプレートはあくまでも目安としてご利用ください。
全工数を正確に計算する3つの方法
1. 多岐にわたる工程を洗い出す
1つのプロジェクトには複数の工程が存在し、各工程で必要な人数が異なります。そこでやるべき作業を洗い出し、計算漏れを防ぎましょう。ここでは「戸建て住宅の全面リフォーム工事」と「中規模のコーポレートサイト制作」を例に、プロジェクトを細分化してみました。
戸建て住宅(延床面積100㎡程度)の全面リフォーム工事
| 工程 | 作業内容 | 想定工数(人工) | 必要職人 |
|---|---|---|---|
| 仮設工事 | 足場設置・養生 | 4 | とび職 |
| 解体工事 | 内装解体・廃材処分 | 12 | 解体工 |
| 基礎補強 | 基礎クラック補修・補強 | 8 | 左官職人 |
| 大工工事 | 床・壁下地組み、造作 | 24 | 大工 |
| 電気工事 | 配線・器具取付 | 10 | 電気工事士 |
| 設備工事 | 給排水管更新・器具設置 | 16 | 配管工 |
| 内装工事 | クロス・床材張り | 18 | 内装職人 |
| 塗装工事 | 外壁・内部塗装 | 14 | 塗装工 |
| バッファ | 追加工事の発生 | 21 | 全般 |
| 合計 | – | 127人工 | – |
中規模(20ページ程度)のコーポレートサイト制作
| 工程 | 作業内容 | 想定工数(時間) | 担当者レベル |
|---|---|---|---|
| 要件定義 | ヒアリング・要件整理 | 16 | シニア |
| 設計 | サイトマップ・ワイヤーフレーム作成 | 24 | ミドル |
| デザイン | トップページデザイン | 32 | シニア |
| デザイン | 下層ページデザイン(19P) | 76 | ミドル |
| コーディング | HTML/CSS実装 | 80 | ジュニア〜ミドル |
| CMS構築 | WordPress設定・カスタマイズ | 40 | ミドル |
| テスト | 動作確認・修正 | 24 | ジュニア |
| バッファ | 追加改修の対応 | 58 | 全般 |
| 合計 | – | 292時間 | – |
2. 生産性などを係数で補正する
精度を求めてる工数の見積もりでは、単に作業のリストアップだけではなく、メンバーの生産性や難易度、リスクに配慮した係数で補正しましょう。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 生産性(パフォーマンス) | 単位時間あたりの作業遂行能力 |
| 難易度(複雑性) | 作業の技術的難しさや要求スキルレベル |
| リスク係数 | 不確実性や外部要因による影響度 |
例えば「生産性が1人あたり80%に下がる」場合は、1人月の作業を完了するのに「1人月÷80%=1.25人月」が必要です。「難易度が高く、工数が10%増える」場合は「工数×110%」で計算するため、例えば「5人月」と見積もった作業は「5人月×110%=5.5人月」となります。
3. 状況によって計算式を使い分ける
プロジェクトの特性に応じて、次の2つの計算式を使い分けましょう。重要なポイントは、単純に数値を当てはめるのではなく、適切な係数を選択することです。
3-1. トップダウン方式の計算式
過去の類似工事データがある場合は、このアプローチが最も信頼性が高くなります。類似工事と比べて、規模が変わるときは規模調整係数、複雑度が変わるときは複雑度係数で調整します。
総工数 = 類似プロジェクトの実績工数 × 規模調整係数 × 複雑度係数
3-2. ボトムアップ方式の計算式
タスクを最小単位まで分解し、それぞれに対して時間を積み上げていきます。難易度は1.0〜2.0の範囲で設定し、リスク係数は1.1〜1.3程度を目安とします。手間はかかりますが、最も信頼性が高くなります。
総工数 = Σ(各タスクの作業時間 × 難易度 × リスク係数)
工数計算でよくある3つのミスと対策
1. タスクの洗い出しが不十分である
工数計算で最も頻繁に発生するミスは、タスクの洗い出し不足です。表面的に見える作業だけを計上しがちですが、例えば「浴室ユニットバスを交換する」という工事でも、実際には準備や調整といった付帯作業が発生します。
| 付帯作業 | 時間 |
|---|---|
| 養生作業・搬入経路確保 | 3時間 |
| 既存浴室の解体・廃材搬出 | 8時間 |
| 配管調整・防水下地処理 | 6時間 |
| ユニットバス組立・設置 | 8時間 |
| 配管接続・電気工事 | 4時間 |
| コーキング・清掃・養生撤去 | 3時間 |
このように分解すると、合計32時間(4人工)もの工数が必要となります。しかし、経験の浅い見積もり担当者は「ユニットバス交換2人工」といった甘い見積もりをしてしまいがちです。
2. 個人の技能レベル差を無視する
メンバーの技能レベルの違いを無視した工数計算も、プロジェクト遅延の大きな要因となります。ベテランが3時間で完了する作業を、ジュニアが同じ時間で完了できると想定するのは現実的ではありません。
スキル差を適切に反映させるため、次のようなスキル係数表を作成し、活用することが効果的です。
| スキルレベル | 経験年数目安 | スキル係数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| エキスパート | 7年以上 | 0.7 | 高難度タスクも独力で対応可能 |
| シニア | 5-7年 | 1.0 | 標準的な作業速度の基準値 |
| ミドル | 3-5年 | 1.3 | 一定の指導下で作業可能 |
| ジュニア | 1-3年 | 1.8 | 詳細な指示とレビューが必要 |
| 新人 | 1年未満 | 2.5 | 教育コストも含めた工数が必要 |
3. 予期せぬ手戻りや修正を軽視する
「追加の変更はそうそう起きない」という楽観的な見通しや、「早く完了させたい」という願望が、プロジェクトの炎上の元です。実際には、想定していなかった手戻りがほぼ発生すると考えましょう。
統計的にも手戻りは全体工数の10〜20%を占めることが一般的です。後工程ほど修正の影響範囲が広くコストも膨らむため、バッファは「初期フェーズは10%、中期フェーズは15%、後期フェーズは20%」と段階的に厚めに設定しましょう。
工数計算を効率的にするツール
1. プロジェクト管理ツールを導入する
手作業での工数計算から脱却し、専門的な工数管理ツールを導入することで、プロジェクト管理の効率は劇的に改善されます。現在は単なる時間記録にとどまらず、AIを活用した予測機能や自動アラート機能を備えています。
| ツール名 | 月額費用(1ユーザー) | 無料プラン | 主要機能 | 適した組織規模 |
|---|---|---|---|---|
| Jira | 1,085円〜 | 〇 | アジャイル開発支援、詳細なレポート機能 | 中〜大規模 |
| Asana | 1,200円〜 | 〇 | タイムライン表示、自動化機能 | 小〜中規模 |
| Monday.com | 1,300円〜 | 〇 | カスタマイズ性の高いダッシュボード | 全規模対応 |
| Backlog | 2,970円〜 | - | Wiki、Git連携、バーンダウンチャート | 小〜中規模 |
※ 2026年1月時点
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
2. 工数管理ができるSaaSを活用する

プロワンは、建設や設備工事、リフォーム、ビルメンテナンスなどの短・中期工事に特化した業務管理システムです。営業、施工・保守、請求までの工程を1つのプラットフォームでつなぎ、現場起点のデータをリアルタイムに経営判断へ還元します。