積算とは?わかりやすい計算シミュレーションからミスするポイントまで

「単なる数字合わせになっている…」
「工事の利益をもっと増やすには?」

そこで、わかりやすい積算の意味から、積算から見積書を作成するシミュレーション、積算でミスするポイントまでを整理しました。原価算出の役割を理解し、実務に取り組むためのステップを紐解いていきましょう。

積算とは?わかりやすい4つのポイント

1. 積算と見積もりの違い

積算と見積もりの違い
積算と見積もりの違い

積算(せきさん)とは、設計図面や仕様書に基づいて、その工事を完成させるために必要な原価を算出することです。積算は客観的なデータの積み上げであり、見積もりはそこに経営的な判断を加えるという違いがあります。

比較項目積算見積もり
定義図面に基づき工事の「原価」を算出する積算額に利益を上乗せし「販売価格」を出す
目的工事の実施に必要な最小コストを把握する顧客へ提示し、契約と利益の確保を目指す
算出根拠歩掛や物価資料などの客観的データを用いる積算額をベースに自社の利益方針を加味する
計算式材料費+労務費+経費積算+利益

2. 積算時の工事費の内訳

積算によって算出される工事費用は、大きく分けると「直接的な費用」と「間接的な費用」で構成されています。

直接工事費 材料費 建物や設備の実体を構成する資材の購入代金
労務費 現場作業を行う職人へ支払う給与相当の費用
直接仮設費 足場や養生など特定の作業に必要な準備費用
間接工事費 共通仮設費 現場事務所の維持や電気など全体の費用
現場管理費 現場監督の給与や事務費など現場運営の費用
一般管理費 一般管理費 本社の維持費や利益として充当される費用

このように、積算はあくまで「実際にかかる費用」を導き出すための精緻な計算の繰り返しです。資材の代金だけでなく、職人さんの手間代や現場の運営費、会社の利益までを段階的に積み上げていきます。

3. 積算の基本的なフロー

実際の現場で積算をする際は、一般的に以下の3つのステップを経て進めていきます。図面から正確に数量を拾い出し、最新の市場価格を適用することが、正確な積算をするための重要なポイントです。

工程名具体的に何をするか
数量拾い図面から材料の個数、面積、体積を正確に計測する
単価設定材料の市場価格や職人の単価を各項目に割り当てる
積み上げ計算直接費、間接費、諸経費をすべて合算して工事原価を出す

4. 積算基準の改定内容

国土交通省より2025年12月10日に職人の処遇改善を目的とした積算基準の改定が発表されました。令和8年1月以降に公告されるすべての公共工事が対象です。この改定により「賃金」が明確に切り分けられるようになっています。

改定項目目的(Before)変更内容(After)
施工単価材料と労務が混在し、内訳が不明瞭だった材料費と労務費を完全に分けた単価を導入
内訳書労務費が他項目に埋もれ、過小評価されやすかった労務費を独立した項目として明示するよう変更
見積書式工種ごとに書式が異なり、比較が困難だった全工種で共通の労務費明示型の書式に統一

国土交通省「公共建築工事積算基準類の改定~労務費等の見える化へ~」

積算からの見積書作成シミュレーション

ここでは簡易的な計算シミュレーションを通じて、積算の算出プロセスを試してみましょう。ある小規模オフィスの内装工事を例にした、積算から見積書完成までの流れであり、材料費と労務費を個別に計算しています。

基本設定
%
1. 材料費
2. 労務費
積算集計結果
直接工事費(材料+労務) 0
諸経費(現場管理・一般管理) 0
消費税(10%) 0
工事費総額(税込) 0

※ 実際の計算結果は条件によって異なる場合があります。本計算結果はあくまでも目安としてご利用ください。

積算から見積書を制作する計算例

STEP1. 設計図書の読み込みと数量の拾い出し

平面図・立面図・仕様書を確認し、必要な材料と数量を洗い出します。例えば、床面積50㎡のオフィスでタイルカーペットを敷設する場合、ロス率を5〜10%程度見込んで52〜55㎡分を計上するのが一般的です。

STEP2. 単価の設定

拾い出した数量に対して、材料費・労務費・経費の単価を設定します。タイルカーペットなら1㎡あたり材料費3,000円、施工費2,500円といった具合です。

STEP3. 積算内訳書の作成

以下のような形式で、工種ごとに集計していきます。これが積算(工事原価)となります。

工種数量単位材料単価施工単価金額
タイルカーペット敷設553,000円2,500円302,500円
巾木取付40m800円600円56,000円
養生・清掃115,000円15,000円

STEP4. 見積書への転換

積算で出した合計額に諸経費を加算し、見積書として提出できる形に整えます。諸経費率は工事規模や会社方針によりますが、一般的に10〜20%程度が目安となります。

つまり、積算は「いくらかかるか」を明らかにする作業であり、見積もりは「いくらで売るか」を決める作業です。例えば、積算の結果が100万円だったとき、ここに諸経費15万円、利益10万円を上乗せすれば、見積もり金額は125万円となります。

積算が甘ければ原価割れを起こし、厳しすぎれば競争力を失うといったバランス感覚こそが、積算担当者に求められます。

積算の拾い出しでミスするポイント

1. 設計図書の確認不足による数量の拾い落とし

ミスが起きやすいパターンを知っておけば、事前にチェックポイントを設けることができます。意外に多いのが、図面には描かれているのに見落としてしまうことで、具体的には次のケースで発生しやすいです。

図面の数値を見逃すケース

  • 平面図だけ見て、断面図や詳細図に記載された仕様を確認し忘れる
  • 追加された設計変更が反映された最新版の図面を使っていない
  • 特記仕様書に記載された下地処理や養生の範囲を読み飛ばしてしまう

対策としては、拾い出し前に図面の版数と発行日を必ず確認すること。さらに、複数の図面を並べて照合しながら作業を進めると、抜け漏れを減らせます。

2. 複合単価や歩掛など専門用語の理解不足

専門用語の意味を正確に把握していないと、計算そのものが狂ってしまいます。歩掛(ぶがかり)とは、一定の作業量をこなすために必要な労務量を数値化したものです。例えば「型枠工1㎡あたり0.15人工」といった表現で示されますが、この数値を誤って適用すると、労務費がずれてしまいます。

さらに複合単価とは、材料費・労務費・機械損料などを一つにまとめた単価のこと。一見便利ですが、内訳を理解せずに使うと、条件変更時に対応できなくなります。専門用語に出会ったら、「何を意味しているのか」「どういう条件で使えるのか」を一つひとつ確認する習慣をつけましょう。

積算業務を効率的にする方法

Excelでの管理にも限界を感じ始めたら、建築業向けの積算ソフトの導入を検討してみましょう。導入コストはかかりますが、中長期的に見れば人件費削減や受注機会の拡大につながります。主なメリットは以下のとおりです。

建築業向け積算ソフトのメリット

  • 平面図だけ見て、断面図や詳細図に記載された仕様を確認し忘れる
  • 追加された設計変更が反映された最新版の図面を使っていない
  • 特記仕様書に記載された下地処理や養生の範囲を読み飛ばしてしまう

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中野貴利人

株式会社ミツモアのマーケティング本部所属。業務管理システム「プロワン」のコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作。著書5冊。

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