「現場の生産性をもっと上げたい‥‥」
「SaaS導入までは良かったが、AIを使うとどうなるのか?」
そこで、AI導入で改善できることから、建設業での具体的な成功事例、導入までのステップ、建設業におすすめのAIサービスまで、現実的なAI活用術を一つひとつ紐解いていきましょう。
建設業のAI活用とは?改善できること
1. 現場管理の自動化
建設業におけるAI活用とは、これまで人の目や経験に頼っていた業務を、AIの学習機能や画像認識によって効率化する取り組みです。まずは建設業の現場管理である「工程表の作成、安全パトロール、品質検査、資材発注、協力会社との調整」などが自動化できるでしょう。
| 業務プロセス | AI導入後の例 |
|---|---|
| 工程管理の最適化 | 過去の施工データをAIが学習し、天候や人員配置をもとに最適な工程を提案。遅延が予測される場合には、早期にアラートを出すことも可能。 |
| 画像認識の現場監督化 | 鉄筋の配置やコンクリートの打設状況を解析し、設計図面との整合性を瞬時に照合。また現場カメラやドローンから現場をリアルタイムで監視する。 |
| 日報作成の効率化 | 現場で撮影した写真にAIが自動でコメントを付与し、日報のひな型を生成。監督者は最終確認と微修正だけで済むため、作業時間が大幅に削減される。 |
| 資材管理の最適化 | 図面データをAIが読み取り、必要な資材の種類と数量を自動算出。発注ミスや過剰在庫を防ぎ、コスト削減にもつながる。 |
2. 安全管理と品質向上の両立
建設現場では安全と品質は両輪です。AI導入により、本来注力すべき「現場の安全確保」や「品質チェック」に時間を割けるようになります。監視内容や検査結果はデータとして蓄積されるため、後からの検証も容易です。
| 業務プロセス | AI導入後の例 |
|---|---|
| 安全管理 | AIカメラによるリアルタイム監視。ヘルメットを着用していない、立入禁止エリアに侵入したいった危険行動を検知し、アラートを発報。 |
| 品質向上 | 画像認識による検査精度の均一化。人の目では見落としがちな微細な異常も検知でき、属人化も解消。 |
3. 人手不足の解消と定着
人手不足の解消とは、採用強化だけではありません。限られた人員で最大の成果を出せる体制を整えることこそが、持続可能な経営には不可欠です。AIによる作業の効率化は、単なる時短ツールではなく、人材確保のための必須投資です。
| 視点 | 期待される効果 |
|---|---|
| 労働環境 | 業務効率化で残業時間を削減し、プライベートの時間を確保できる環境を整備 |
| モチベーション | 単純作業から解放され、施工管理の本質である品質管理や安全管理に集中できる |
| 企業イメージ | アナログで古い体質の会社というイメージを払拭し、スマートに働く先進的な企業として認知される |
建設業のAI改善効果チェック
「本当に自社にAIが必要なのか?」を客観的に判断することが重要です。以下のチェックリストで、自社の現状を確認してみましょう。
| 診断項目 | リスクレベル |
|---|---|
| 工事写真の整理・分類に毎回数時間以上かかっている | 中(現場作業後の事務負担増) |
| 議事録作成や報告書作成に多大な時間を費やしている | 中(本来の施工管理業務を圧迫) |
| 工程管理が複雑で、スケジュール遅延が頻繁に発生する | 高(違約金発生や信頼失墜に直結) |
| ヒヤリハットの報告や事故事例の共有が不十分 | 高(重大事故の再発リスクが高い) |
| 安全書類の作成・管理に膨大な時間がかかっている | 中(法令遵守の形骸化を招く恐れ) |
| 慢性的な人手不足で、新規案件の受注に制約がある | 高(事業縮小・機会損失の主因) |
| ベテラン技術者の知識・技術が属人化している | 高(技術承継に失敗し品質が低下) |
| 残業時間が多く、2024年問題への対応が不十分 | 高(法令違反や離職加速の危機) |
| 工期遅延によるペナルティやコスト増加が発生している | 高(利益率の悪化と資金繰り悪化) |
| 作業効率が悪く、残業代がかさんでいる | 中(収益構造の脆弱化を招く) |
| 同じ作業を繰り返しており、自動化できそうな業務が多い | 小(生産性向上の余地が埋もれる) |
| 紙の書類やFAXでのやり取りが多く、デジタル化が遅れている | 中(情報共有の遅延と紛失リスク) |
建設業のAI活用事例3選
CASE1. 画像異常検知AIによる建物点検

技術者が目視で行っていた建物点検の一部を、画像異常検知AIで代替した事例です。建物管理業界では担い手不足が深刻化し、技術者の確保や労務費の高騰が大きな課題でした。
| 導入ステップ | 内容 |
|---|---|
| 技術検証 | 疑似環境にて技術者の目視点検を代替可能か、異常検知の精度を確認 |
| 実フィールドでの効果検証 | 実現場に設置し、運用における有効性や、技術者の負担軽減効果を実証 |
| 本格運用 | 検証結果をもとに、管理物件へ順次導入し、日常点検業務の標準的な仕組みとして運用を開始 |
成果
- 遠隔監視が可能になるため、移動時間の削減や業務の効率化
- 検出率97%という人間の目視以上の精度を実現、見落とし防止など管理品質の向上
- 人的リソースの削減で人手不足の解消と人件費の抑制効果
※ NTTファシリティーズ「国内初、目視での建物点検を画像異常検知AIで代替」
CASE2. 360度カメラ+画像認識AIによる自動図面化

360度カメラと画像認識AIを用いて、建設現場の施工状況や資機材の場所を自動で図面化した事例です。従来の施工管理は、現場への移動や目視確認、大量の資機材管理に多大な労力と時間を要しており、特に大規模現場での業務効率化が大きな課題となっていました。
| 導入ステップ | 内容 |
|---|---|
| AI導入の明確な方針・ルールの整備 | 専門部署を設置し、全社横断でAI利活用を推進する体制を整備 |
| システム開発と試験運用 | 現場確認業務を効率化するシステムを開発、全国30箇所以上の現場で試験導入。 |
| 改良を重ね本格運用 | 現場の声を取り入れながら改良し、有効性が実証されたため、標準的なシステムとして本格導入 |
成果
- 現場確認業務にかかる時間を、1日1人あたり1時間以上削減
- 離れた場所から現場の詳細を確認できるため、関係者間の打ち合わせがスムーズに
- AIが自動化したデータを報告書などの書類作成に活用でき、事務作業の負担も軽減
※ 大成建設「360度カメラ画像とAIを用いた『工事進捗確認システム』の本格運用開始」
CASE3. 車両搭載型AI監視カメラによる高精度な危険予知

AI監視カメラを用いて高精度な危険を予知した安全管理の事例です。重篤な事故につながりやすい重機接触の回避は建設現場の大きな課題ですが、既存の監視カメラは、人がしゃがんだり体の一部が隠れたりすると検知精度が低下するという機能的制約がありました。
| 導入ステップ | 内容 |
|---|---|
| 実用化のベンダー選定 | 自社の課題にスピード感をもって意欲的に取り組んでくれるパートナーを選定 |
| 実証実験から実用化 | 100%の課題解決は難しいと判断し、スコープを絞って実用化 |
| 販路を開拓し、他社へ展開 | 他社への一般販売を通じて建設業界全体の安全性向上に貢献 |
成果
- AIが危険な状態を察知し、アラート。重篤な事故を未然に防ぐ
- 人だけでなく重機と車両の衝突回避にも効果を発揮
- 自社利用だけでなく外販することで業界全体への普及、建設現場の安全性を革新
※ 清水建設「車両搭載型AI監視カメラシステム『カワセミ』を商品化」
建設業でAI活用を始める4ステップ
STEP1. 課題を特定し、導入分野を決める
現場で最も時間がかかっている業務や、ミスが起きやすい業務を洗い出します。全社的な課題である必要はなく、例えば「現場での写真管理」や「議事録作成」のように、以下の視点で優先順位をつけてみましょう。、
優先順位の付け方
- 毎日発生する定型業務
- 属人化しており、特定の人しかできない業務
- ミスが発生すると大きな損失につながる業務
STEP2. 現場が使いやすいツールを選ぶ
高機能であっても、操作が複雑で習得に時間がかかるツールは、結局使われなくなります。ツール選定のポイントは以下の通りです。
| 選定ポイント | 詳細 |
|---|---|
| スマホやタブレットで操作できる | 現場では片手で撮影・入力できる手軽さが必須 |
| マニュアルを読まなくても直感的に使える | 複雑な設定や専門知識が不要で、すぐに使えることが理想 |
| サポート体制が充実している | 導入支援やトラブルに迅速な対応があることが定着の鍵 |
STEP3. トライアルを実施して、先に課題を出す
最初から全社展開せず、小規模な現場や、余裕のある案件で試験導入を行い、効果と課題を検証します。以下のポイントを記録しておくと、その後の展開がスムーズです。成功事例を積み重ねることで、現場の抵抗感が薄れて横展開もしやすくなるでしょう。
記録するポイント
- 定量的な効果測定(時間削減、コスト削減、エラーの減少率など)
- 発生したトラブルとその対処方法
- 現場スタッフからのフィードバック
STEP4. 現場拡大と社内ルール整備
トライアルで成果が出たら、段階的に展開範囲を広げます。1度に全社展開するのではなく、段階的に2〜3カ所の現場のような増やし方をすると、サポート負荷を分散できます。また、AI活用が定着してきたら、正式な社内ルールを整備もします。
社内ルールの例
- 情報セキュリティポリシー(機密情報の入力禁止など)
- AI誤判断の対応とフィードバック方法
- トラブル発生時の対応ルート
- 教育・研修体制
建設業におすすめのAIサービス3種
1. 危険予知に活用できるAIツール
建設現場の安全性を高め、労働災害を未然に防ぐAIシステムです。カメラやセンサーから得られる情報をリアルタイムに解析し、作業員の不安全行動や現場環境の異常を自動で検知します。従来はベテランの経験と勘に頼っていた危険予知を、データにもとづく客観的な判断で補強できる点が大きな特長です。

| サービス名 | 提供企業 | 特徴 |
|---|---|---|
| trafe | 株式会社mign | WebカメラとPCだけで導入可能な、工事現場向け危険検知AIシステム。重機と作業員の接近や、侵入禁止エリアへの立ち入りをAIが判定し、アラートを発報。 |
| クアトロアイズ | 株式会社大林組 | 重機に設置し、作業員との接触を防ぐAIカメラシステム。物理的に重機を止める強制停止機能で、接触事故を未然に防ぐ。 |
| カワセミ | 清水建設株式会社 | 重機接触災害を防ぐ車掌搭載型AIカメラシステム。AIによる骨格推定を行うため、どんな姿勢の作業員でに「人」として認識可能。 |
| K-SAFE | 鹿島建設株式会社 | 災害事例の検索・分析AI。厚生労働省や自社の過去災害事例をAIが解析し、当日の作業内容に応じたリスクを多角的に提示する。 |
※ 2026年2月時点
2. 現場の進捗管理に活用できるAIツール

建設現場の進捗管理に特化したAIツールです。報告書の作成や関係者への情報共有も効率化されるため、現場監督や施工管理担当者の業務を大幅に効率化します。画像認識や各種データの自動集計により、日々の出来高や工程の遅れを可視化し、早期の対策判断を支援します。
| サービス名 | 提供企業 | 特徴 |
|---|---|---|
| OpenSpace | OpenSpace | 建設現場の360度映像をAIで解析し、自動で進捗を記録・比較。遠隔モニタリングが可能で、現場に行かなくても状況を把握できる。 |
| Buildots | Buildots | 施工進捗の自動解析プラットフォーム。ヘルメットに付けたカメラで現場を歩くだけで、AIが設計図と現場の映像を比較し、進捗率を数値化します。 |
※ 2026年2月時点
3. 業務全体を効率化するAIツール

建設業における日常業務の効率化に特化したAIツールです。事務作業や写真管理などを自動化、手作業によるミスや抜け漏れも減り、現場の負担を軽減します。例えば、工事写真の自動分類や日報の作成補助、書類の入力作業の省力化など、日々発生する定型業務を幅広くカバーします。
| サービス名 | 提供企業 | 特徴 |
|---|---|---|
| Photoruction | 株式会社フォトラクション | 写真内の黒板情報をAIが自動認識し、台帳作成や整理を自動化。図面や検査、工程管理とも連動し、現場の事務作業を削減し、生産性向上を支援する。 |
| AISekisan | 株式会社H2Corporation | AIがPDF図面から配管や部材を自動判別し、数量を算出。拾い出し・積算業務を数時間に短縮し、見積精度のバラつきと事務負担を大幅に削減。 |
※ 2026年2月時点
