「紙業務や定例会議に忙殺されている」
「優秀な若手が退職してしまった」
そこで、スマートワークで実現できることから、チェックリスト、具体的な成功事例、スマートワークを実現するステップ、おすすめのツールまで、自社の生産性を高め、人材を定着させるための道筋を紐解いていきましょう。
DXの事例や機能を1冊に、「DXまるわかりガイド」全67ページ
CONTENTS
スマートワークとは?実現できること
1. テレワークとスマートワークの違い
テレワークが「働く場所」の改革であるのに対し、スマートワークは「働くプロセス」の改革です。スマートワークはデジタルツールを活用し、場所や時間にとらわれず業務を効率化する働き方を指します。例えば「帰社して報告書を書く」を「現場で音声入力して報告書を作成する」に変えれば、時短できます。
| 項目 | テレワーク | スマートワーク |
|---|---|---|
| 主な焦点 | 働く場所の柔軟化 | 働き方全体の最適化 |
| 改善対象 | 通勤時間、オフィスコスト | 業務プロセス、生産性、組織文化 |
| 活用技術 | Web会議、VPN接続 | AI、データ分析、自動化ツール、クラウド基盤 |
| 評価基準 | 労働時間、出勤状況 | 成果、アウトプット、創造性 |
| 目指すゴール | ワークライフバランス | 企業競争力の向上と従業員満足の両立 |
2. 労働時間の削減と生産性の最大化
スマートワークの最大の効果は、労働時間の削減と生産性向上を同時に実現できる点にあります。従来の働き方に潜む構造的な無駄を、次の3つの観点で取り除きます。
| 項目 | 改善内容 |
|---|---|
| 会議の最適化 | 情報共有はチャットやドキュメント共有に切り替え、必要な会議のみに絞る |
| 移動の削減 | テレワークで移動時間を削減し、自己研鑽やプライベートの時間を確保する |
| 作業の自動化 | 単純作業を自動化し、創造的な業務に集中する |
3. 優秀な人材の定着と採用力強化
柔軟な働き方を整えることで、給与条件以外で選ばれる企業になります。若い世代は、給与条件と同じくらい「効率的で柔軟な働き方ができるかどうか」を企業選びの基準にしています。さらにスマートワークを実践する企業は、多様な人材層にアプローチできます。
アプローチできる人材
- 育児や介護と仕事を両立したい人材
- 地方在住の高度専門人材
- 障がいを持つ有能な人材
従業員がライフステージに合わせて働き方を調整できるため、定着率も改善します。アウトプットの質と量で評価される仕組みになるため、能力のある人材ほど満足度が高まります。
4. コア業務への集中で利益率を改善
会議のための資料作成、経費精算のための領収書整理、稟議書への押印リレーなど、利益を生まない「作業」に費やされている時間は多いです。スマートワークはこれらのノンコア業務を効率化し、社員のリソースをコア業務へ集中させます。
| 業務区分 | 導入前の課題 | 導入後の変化 |
|---|---|---|
| ノンコア業務 | 報告書作成や移動に時間を費やし疲弊している | クラウド入力と直行直帰により作業時間を短縮できる |
| コア業務 | 顧客との対話時間が不足し、提案の質が低下している | 商談準備や対話に時間を割けるようになり、成約率と単価が向上する |
| 経営への影響 | 人件費に対する売上高が低く利益率が圧迫される | 人件費に対して売上総利益が増加、高収益体質へ転換する |
脱アナログから一元管理まで、
現場が変わった24社のリアルを公開
業種や機能ごとのDX成功事例を1冊に。自社に合うヒントがきっと見つかります。
フォーム入力1分・即ダウンロード可
スマートワークの実現度チェックリスト
あなたの会社のスマートワーク実現度を、14問の診断で確認できます。「制度・評価」「ITインフラ」「現場運用・文化」の3領域から評価し、4ランクで判定します。
制度・ITインフラ・文化の3要素から、自社の働き方の現在地がわかります
※ 実際の状況は条件によって異なる場合があります。本診断結果はあくまでも目安としてご利用ください。
スマートワークの成功事例3選
CASE1. 冷凍冷蔵・空調設備におけるアゲダ空調食品設備の事例

冷凍冷蔵設備や空調設備の施工・メンテナンスを手掛けるアゲダ空調食品設備株式会社は、業務管理システムを導入し、顧客情報と機器データをひもづけ、過去の施工履歴や写真をいつでも呼び出せる環境を整えました。このシステムの特徴は以下のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 機器登録 | 顧客情報に紐づけて設置機器を登録 | 過去の施工履歴がすぐに見つかる |
| 価格表共有 | 場所や担当者を問わず最新の統一価格にアクセス | 精度の高い見積もりをその場で作れる |
| フェーズ管理 | 案件を「担当者未定」などのフェーズで分類 | 差配が必要な案件を一目で把握できる |
月400件を超えるメンテナンス案件をExcelで管理していた状況から切り替え、案件が30日以上動きを止めると自動で通知が届く仕組みも設定しました。過去の写真や図面がすぐに見つかるおかげで現地に出向かずに対応できるケースも生まれ、残業時間50%削減を目標に改善を重ねています。
冷凍冷蔵・空調設備での具体的な変化
- 出先から見積もりや報告書を提出でき、毎日の直行直帰が当たり前になった
- 売上集計などの手作業が自動化され、繁忙期でも業務の負担が大きく減った
- 各社員の案件量が見渡せるようになり、負担が集中しているメンバーへすぐ声をかけられるに
CASE2. 設備工事におけるヤンテック株式会社の事例

電気工事・空調工事を手掛けるヤンテック株式会社は、案件管理システムを使って、点在化していた情報の一元管理と検索性の向上を実現しました。具体的なシステムの活用方法は主に3つです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 情報の一元化・集約 | 点在化していた書類・データを統合 | 書類を探す時間がぐっと減った |
| 検索機能 | 過去の案件情報を検索で即座に確認 | 3〜5年前の書類もすぐに見つかる |
| 現場アプリ | スマホで見積もり・工事写真を確認 | 出先でもその場で業務を進められる |
膨大な書類の管理に手を焼いていたなかで、テンプレートを活用すれば見積もりを最短1分で仕上げられるようになりました。データやツールがひとつにそろい、外勤や残業の負担も軽くなっています。
設備工事での具体的な変化
- 3〜5年前の案件でも、書類と担当者情報を検索ひとつで呼び出せる環境ができた
- 管理者はスマホで見積もりを、現場担当者は出先で工事写真を確認できるようになった
- データの管理方法が統一され、属人的な引き継ぎの手間から外れた
CASE3. マンション原状回復におけるフロンティアの事例

貸物件の原状回復工事を手掛ける株式会社フロンティアは、オールインワンシステムによって、現場での作業から請求書の発行まで1つの仕組みにまとめ、直行直帰を当たり前にしました。システムによる主な効果は次のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 現場写真アップロード | 現場からスマホで写真を直接アップロード | オフィスに戻らず直行直帰できる |
| 自動連携機能 | 見積もり内容を依頼書に自動反映 | 転記や二重入力の手間がなくなった |
| 案件の一元管理 | 案件受付から請求書発行・入金管理まで統合 | 複数のシステムを使い分けなくて済む |
ダッシュボードを使えば売り上げの変化をグラフで追えるため、数字が落ち始めたときでもすぐに原因を探れるようになりました。これまで管理ツールがバラバラで見落としがちだった情報が、ひとつの画面にまとまっています。
マンション原状回復工事での具体的な変化
- 現場作業が終わったらそのまま直帰でき、無駄な移動時間がなくなった
- 見積もり後の転記作業が自動化され、担当者の入力ミスや手間が大きく減った
- ダッシュボードで売り上げの変化をグラフで把握でき、原因を早い段階で探り当てられるった
スマートワークを実現する4ステップ
STEP1. 現状の業務を可視化する
誰が何にどれだけ時間を使っているかを数値で見える化します。感覚値ではなく事実ベースで現状を把握することで、削減すべきターゲットが明確になるでしょう。部下に1週間程度の業務ログをつけてもらうだけでも、多くの無駄が浮き彫りになります。
記録したい業務ログ
- 業務の開始から完了までの全工程
- 各工程にかかる時間(実測値)
- 使用しているツールやシステム
- 承認や確認が必要なポイント
STEP2. 課題を抽出する
業務ログから廃止・簡素化できる業務を見つけ出します。可視化が完了したら、次の4つの観点で業務フローを分析します。
| 項目 | チェック内容 | 現場で見つけるヒント |
|---|---|---|
| 待ち時間 | 他部門や上司の対応待ちで業務が停滞していないか | 1日のうち「待ち」になっている時間帯を業務ログから拾う |
| 重複作業 | 同じ情報を複数の人が別々に入力していないか | 顧客情報・案件情報が複数システムに散在していないかを確認 |
| 過剰品質 | 本来不要な確認や承認のステップが含まれていないか | 「いつから」「なぜ」やっているか答えられない確認は要注意 |
| 属人化 | 特定の人しかできない業務になっていないか | その人が休んだ日に止まった業務をリストアップする |
「昔からやっている」「前任者から引き継いだから」という形骸化した業務は、廃止や簡素化の候補になります。付加価値を生む業務と単なる作業に分類することが鍵です。
STEP3. ICTツールの導入する
抽出した自社の課題を解決できるツールの導入を検討します。ツール選定の手順は以下の通りです。
1. 課題の優先順位付け
すべての課題を一度に解決しようとすると現場が混乱するため、最もインパクトが大きい課題を1〜2つに絞ります。
2. 要件定義
選んだ課題を解決するために必要な機能をリストアップします。例えば「承認遅延の解消」が課題なら、「スマホから承認できる」「承認状況がリアルタイムで確認できる」といった機能が候補に上がります。
3. 候補ツールの比較検討
要件を満たすツールを複数ピックアップし、価格・使いやすさ・サポート体制・既存システムとの連携性を比較します。
4. スモールスタート
特定の部門やチームで試験導入し、使い勝手と効果を検証してから、段階的に展開範囲を広げます。
STEP4. 制度の見直しや新たなルールの策定
新しい働き方に合わせて制度を再設計します。
業務フローを変えても、制度が旧態依然のままでは効果が半減します。次の3つの制度を中心に見直します。
| 制度 | 目的 | 具体例 |
|---|---|---|
| 労働時間制度の柔軟化 | 業務量や生活リズムに合わせて働けるようにする | フレックスタイム制、裁量労働制 |
| 評価制度の成果主義化 | 「何時間働いたか」ではなく「何を達成したか」で評価する | 数値化できるKPIの明確な定義 |
| リモートワーク規定の整備 | 在宅・サテライト勤務の根拠と運用ルールを明文化する | 勤務場所、勤務時間の報告方法、通信費の負担、情報セキュリティ規定 |
スマートワーク向けおすすめサービス
1. 迅速な情報共有を実現するビジネスチャットツール

リアルタイム性が高く、カジュアルな情報交換に適したツールです。メールと比較してスピード感があり、迅速な情報共有とスムーズなコミュニケーションを実現します。
| ツール名 | 強み | 向いている企業 |
| Slack | チャンネルで話題ごとに会話を整理し、過去の議論も検索可、外部アプリ連携が豊富 | 多数のSaaSと連携して情報を集約したい企業 |
| Microsoft Teams | チャット・ビデオ会議・Officeファイル共同編集が1つに集約 | Microsoft 365を全社導入している企業 |
| Chatwork | 日本製で日本語サポートが充実。シンプルな操作性で導入ハードルが低い | ITに不慣れな従業員が多い中小企業 |
※ 2026年5月時点
2. 柔軟な働き方を支える勤怠管理システム

時間や場所に縛られない働き方を実現するには、正確な勤怠管理が欠かせません。勤怠管理システムは多様な勤務形態へ対応し、集計の自動化で管理者の負担を軽減します。
| ツール名 | 強み | 向いている企業 |
| ジョブカン勤怠管理 | GPS打刻・シフト管理・工数管理に対応、フレックスや裁量労働など幅広い勤務形態も可 | 外勤や在宅勤務が多い企業 |
| KING OF TIME | 生体認証・ICカード・PCログなど打刻方法が多彩、残業アラート機能を搭載 | 長時間労働を未然に防ぎたい企業 |
| freee勤怠管理Plus | 給与・労務・プロジェクト管理と連携し、人事業務を一元管理 | 人事・労務全般をクラウドで一気通貫したい企業 |
※ 2026年5月時点
3. 進捗を共有するプロジェクト管理ツール

お互いの仕事が見えにくい環境では、業務がブラックボックス化します。進捗をオープンにすることで無駄な確認作業をなくし、チーム全体の生産性が向上します。
| ツール名 | 強み | 向いている企業 |
| Asana | タスク割り当て・タイムライン表示・自動化ルールに対応。必要な機能だけ細かく契約可能 | 機能を絞ってコストを抑えたいチーム |
| Trello | カンバンボードで付箋感覚の直感的な操作。状況が視覚的にわかる | 視覚的に進捗を共有したい少人数チーム |
| Backlog | 課題管理・Wiki・Git連携・ガントチャートを搭載。日本語サポートが充実 | エンジニアと非エンジニアが混在する組織 |
※ 2026年5月時点
4. 社内の業務を一元管理するシステム

複数のツールを行き来する手間を省き、案件から現場、経営までを一元管理し、社内のあらゆる業務効率化を実現します。すべての情報がリアルタイムでつながるため、迅速な経営判断が可能です。
| サービス名 | 強み | 向いている企業 |
| プロワン | 案件・現場管理から見積もり・報告書・収支・経営分析まで一気通貫で連携 | 設備工事・建設など現場系業種で経営と現場を直結したい企業 |
| Salesforce | 顧客管理・営業支援・カスタマーサポートを統合 | 顧客接点を全社で共有したい営業組織 |
| Microsoft Dynamics 365 Business Central | 会計・販売・在庫・製造・プロジェクト管理を統合、Excelとの親和性が高い | 全拠点のデータを一元化したい中堅以上の企業 |
※ 2026年5月時点