「上司の机の上で稟議書が止まっている」
「ハンコのために帰社が必要…」
非効率なフローによる現場の不満を知りつつも、有効な改善策を見つけられない企業も多いです。そこで、ワークフローシステムの導入メリット、他社の導入事例、目的別の製品比較まで、自社に適した承認フローの道筋を紐解いていきましょう。
CONTENTS
ワークフローシステムとは?4大メリット
ワークフローシステムとは、社内の承認業務をデジタル化し、効率的に管理できる仕組みです。紙やExcelで処理していた稟議書や経費精算、休暇申請などの承認フローを電子化することで、次のような業務改善が期待できます。
| 項目 | 紙・Excel | ワークフローシステム |
|---|---|---|
| 1. 承認スピード | 上司の不在や出張で数日間停滞する | スマホ承認により出先でも承認可能 |
| 2. 進捗管理 | 誰の机で止まっているか不明確 | 承認フローやステータスが可視化される |
| 3. コンプライアンス対策 | 紛失リスクがあり検索に時間がかかる | クラウド保存で紛失ゼロかつ即時検索可能 |
| 4. コスト削減 | 印刷代、保管スペースが発生 | ペーパーレス化により物理コストを削減 |
1. 承認スピードの迅速化

部長や役員クラスの出張が多い企業では、承認者が社内にいないといった物理的な制約があります。ワークフローシステムを導入すると、月初の締め作業や急ぎの稟議であっても、承認されやすくなってリードタイムを短縮できます。
| プロセス | 効果 |
|---|---|
| 申請 | フォーマットの自動入力補助で、作成ミスや記入漏れによる差し戻しが減少 |
| 回覧 | 社内便や手渡しでの書類移動がゼロになり、次の承認者へ瞬時に通知が届く |
| 承認 | 移動中や出張先から決裁できるため、帰社を待つ待機時間が消滅する |
| 決裁後 | 承認完了と同時に申請者へ通知され、次の業務アクションへ即移行できる |
2. 進捗管理の可視化
ワークフローシステムなら承認ルートを柔軟に変えたり、権限を付けなおしたりできます。さらにどこで承認が止まっているかがすぐにわかりますし、アラートで促せるために効率的です。また、営業担当者が移動中に経費精算を申請したり、「押印のためだけに出社する」という非効率さがなくなることは、多様な働き方を促進できます。
3. コンプライアンス対策の強化
申請から承認までの履歴がすべてシステムに記録されるため、「いつ、誰が、何を承認したか」が明確になります。不正な申請や承認漏れを防ぐ仕組みとして機能し、監査対応もスムーズです。法対応のために新たな工数をかけるのではなく、システムを利用するだけで自然とコンプライアンスが遵守されます。
| 項目 | 効果 |
|---|---|
| 真実性の確保 | 訂正や削除の履歴が自動的に記録され、データ改ざんが不可能 |
| 可視性の確保 | 税務調査で必要な「取引年月日」「金額」「取引先」での検索要件を標準で満たす |
| 証憑保存 | 電子データを申請書に紐づけて保存し、電帳法の要件に対応する |
| 監査対応 | 監査時に指定されたデータを即座に提出できる |
4. コスト削減の仕組み化
紙の書類管理で発生しがちな「紛失」や「誤廃棄」のリスクを排除し、必要な情報をすぐに検索できる環境が構築されます。書類を確認するために、分厚いファイルを探す手間がありません。新しい稟議を作成する際も、検索機能を使えばすぐに過去の類似案件にアクセスできます。
| 項目 | 効果 |
|---|---|
| 紛失・汚損 | 物理的な紛失や破れなどの心配がない |
| 検索性 | 日付、申請者、金額、件名などのキーワードで検索可能 |
| アクセス権 | 閲覧権限を細かく設定でき、部外者の目に触れるリスクや持ち出しを防止 |
| 版管理 | 常に最新のフォーマットが適用され、古い様式を誤って使用するミスを防ぐ |
ワークフローシステムの導入事例3選
CASE1. プラント工事における株式会社倉持鉄工の事例

工場設備や生産設備のプラント工事を手掛ける株式会社倉持鉄工は、ワークフロー機能のある業務管理システムを導入し、見積書の承認など業務プロセスの可視化・制御を実現しました。このシステムの特徴は以下のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 申請・承認フローの整備 | 見積書の提出前チェックルートの設定 | 確認なしで出してしまう事態がなくなった |
| あいまい検索 | 過去案件のキーワード検索 | LINEで人に聞く手間が不要になった |
| カンバンボード | 案件の進捗をボード上で把握 | 誰がどこまで進んでいるか一目でわかる |
以前は見積書のチェック体制が整っておらず、内容の確認が属人的になっていました。ワークフロー機能を使うことで、申請・承認の流れがシステム上で見えるようになり、案件の進み具合も全員が同じ画面で追えるようになっています。
プラント工事の事例
- 見積書や請求書のチェック体制が仕組みとして定着し、抜け漏れが減った
- 過去の案件情報をキーワードで引き出せ、探しものの時間が短くなった
- 案件の段階ごとの状況が見え、次に何をすべきか判断しやすくなった
CASE2. 消防設備工事における真弓興業株式会社の事例

消防設備の設計・施工・保守を手掛ける真弓興業株式会社は、ワークフロー機能を持つシステムを使って、紙やExcel中心だった書類管理から脱却し、書類や情報のリアルタイム共有を実現しました。具体的なシステムの活用方法は主に3つです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| システム上の通知連携 | 書類のやり取りをオンラインで完結 | 対面や電話での伝達ミスがなくなった |
| 案件別のファイル管理 | 写真や資料を案件フォルダに保存 | 過去データの蓄積で見積もり作成が早くなった |
| 見積もり・予算の承認機能 | 作成から決裁までをシステム上で処理 | 紙とExcelの回覧が不要になった |
従来は書類の作成や共有にかなりの手間と時間がかかっていましたが、ワークフローシステムによって担当ごとにバラバラだった管理がひとつにまとまりました。情報のやり取りがスムーズになったことで、空いた時間を新しい取り組みに回せる余裕も生まれています。
消防設備工事の事例
- 紙でファイリングしていた書類がシステムに移り、探す手間が大きく減った
- 営業・見積もり・施工の各段階で情報がつながり、行き違いが起きなくなった
- 机の上から紙の山が消え、書類の紛失や所在不明がなくなった
CASE3. アグリテック事業における日栄インテック株式会社の事例
ビニールハウスやコンテナ型植物工場などアグリテック関連設備を手掛ける日栄インテック株式会社は、ワークフロー機能を持つオールインワンシステムによって、自社に合った承認フローを再現しました。システムによる主な効果は次のとおりです。
| 特徴 | 活用方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 承認ルートのカスタマイズ | 画面項目や決裁経路を役割ごとに設定 | 自社の業務フローをそのままシステムに載せられた |
| 変更履歴の自動記録 | 誰がいつ何を変えたかをログとして保存 | 修正の経緯をあとから手間なく追えるようになった |
| テンプレート呼び出し | 仕様をあらかじめ登録し案件ごとに転用 | 図面や見積もりの一式がすぐそろう |
同社では半年から1年に及ぶ長期案件が多く、進捗の管理に苦労していました。ワークフローシステムのカスタマイズにより、思い描く業務の流れをそのままシステム上に再現。見積書の申請工数が減り、営業1名あたりの受注件数を年間3件から6件へ引き上げる体制づくりが進んでいます。
アグリテック事業の事例
- 自社の業務に合わせた承認フローを柔軟に組め、運用が定着した
- 補助金対応時の履歴確認がスムーズになり、書類準備の負担が軽くなった
- 担当者のパソコンに散らばっていたデータが集まり、共有の手間が消えた
ワークフローシステムの選び方
1. 自社の従業員規模と利用人数で選ぶ
製品によって適正な利用人数は異なります。小規模向けのシステムを大企業で使うと、機能不足や動作遅延が問題になり、逆に、大規模向けの高機能システムを小規模企業で導入すると、使いこなせずコストだけかさむといった状況になりかねません。
| 企業規模 | 詳細 |
|---|---|
| 小規模企業(~50名) | シンプルで直感的な操作性を重視。月額料金が従量課金制のクラウド型システムを選べば、初期投資を最小限に抑えられます。 |
| 中規模企業(50~500名) | 複数階層の承認フロー、ユーザー数に応じた段階的な料金プランがあれば、成長に合わせた拡張が可能です。 |
| 大規模企業(500名~) | 多言語対応、高度なアクセス権限設定、大量データの処理能力が必要に。オンプレミス型ならセキュリティポリシーに応じた運用が実現可能です。 |
2. 既存システムとの連携性で選ぶ
現在Excelで申請書を管理している場合、Excelフォーマットをそのまま取り込める製品を選ぶと、移行がスムーズです。また、会計システムや人事システムなど、連携したい既存システムがあれば接続性を確認しましょう。今は未定でもAPI連携に対応している製品であれば、将来的なシステム拡張に対応できます。
連携したい主要システム
- 人事・勤怠管理システムと連携することで、従業員情報の一元管理が可能
- SlackやMicrosoft Teamsと連携し、申請通知をチャットで受け取れる
- 承認されたデータを自動で会計システムに取り込めれば、経理部門の業務効率化に
3. 操作性・画面の見やすさで選ぶ
操作性の良し悪し、画面の見やすさは、システム定着率に直結する重要な要素です。無料トライアルやデモ環境を活用し、実際の操作感を確認することをおすすめします。見極めるポイントは以下のとおりです。
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 直感的なUI設計 | マニュアルを読まなくても、画面を見れば次にどの操作をすれば良いか分かる |
| 入力のしやすさ | 申請フォームの項目が分かりやすく配置され、入力ミスを防ぐバリデーション機能があるか |
| モバイル画面 | タップしやすいボタン配置や、見やすいフォントサイズなど、モバイル専用の最適化がされているか |
| カスタマイズ性 | 担当者が自分で申請フォームを作成・修正できるか |
4. クラウド型かオンプレミス型かで選ぶ
システムの提供形態は、クラウド型とオンプレミス型の2つに大別されます。初期投資を抑えたい、迅速に導入したい、IT人材が不足している中小企業にはクラウド型が適しています。機密性の高い情報を扱う業種や、独自のセキュリティポリシーを厳格に運用したい大企業にはオンプレミス型をおすすめします。
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 低い(0円~) | 高い(数十万円~) |
| 導入期間 | 短い(数日~数週間) | 長い(数ヶ月~) |
| 運用・保守 | ベンダーが対応 | 自社で対応が必要 |
| カスタマイズ性 | 制限がある場合も | 自由度が高い |
| セキュリティ | ベンダー依存 | 自社管理が可能 |
| アクセス性 | インターネット環境があればどこでも可能 | 社内ネットワークに依存 |
目的別ワークフローシステム4種
1. 申請・承認特化型

稟議や各種申請の承認プロセスに特化したタイプです。シンプルな操作性と手頃な価格が特徴で、まずはワークフローのデジタル化から始めたい企業に適しています。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 形態 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| X-point Cloud | 1名あたり500円~+固定費20,000円 | クラウド | 国内シェアNo.1。紙のイメージそのままの申請フォームを作成可能。直感的な操作性で使いやすい |
| コラボフロー | 1名あたり500円〜 | クラウド・オンプレミス | Excelの帳票をそのままWebフォームに変換可能。既存のExcel資産を活かした導入ができる |
| Shachihata Cloud | 10名あたり1,320円〜 | クラウド | 電子印鑑との連携が強み。紙の運用を変えずにデジタル化したい企業向け |
| ジョブカンワークフロー | 1名あたり330円〜 | クラウド | 社内のあらゆる申請書をクラウド管理できる。他のジョブカンシリーズとも連携可能 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年4月時点
2. バックオフィス業務一体型

経費精算、請求書処理、勤怠管理などのバックオフィス業務とワークフロー機能が統合されたタイプです。申請から後続処理までを一気通貫で管理でき、業務全体の効率化を実現できます。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 形態 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| バクラク申請 | 要問い合わせ | クラウド | AI-OCRで書類を自動読み取り。会計ソフトとの連携が充実 |
| マネーフォワード クラウド | 4,928円〜 | クラウド | 経費精算・請求書・給与など幅広い業務をカバー。中小企業から上場企業まで対応 |
| freee | 要問い合わせ | クラウド | 経費精算・会計と一体化したワークフロー。機能ごとに承認フローの利用が可能 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年4月時点
3. 大企業・複雑フロー対応型

大規模組織の複雑な承認フローや、厳格な内部統制要件に対応できる高機能タイプです。カスタマイズ性が高く、基幹システムとの連携も柔軟に行えます。
| サービス名 | 月額料金(税込) | 形態 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| intra-mart AccelPlatform | 要問い合わせ | クラウド・オンプレミス | 大規模・複雑な業務プロセスに対応。申請画面を簡単に作成でき、ERPとの連携実績も多数 |
| AgileWorks | 313,500円〜 | クラウド・オンプレミス | 複雑な承認ルートや条件分岐に柔軟に対応。組織変更への追従性が高い |
| ServiceNow | 要問い合わせ | クラウド | ワークフロー構築やサポートデスクの運用管理といった社内業務に関するシステムを一元化して運用・管理 |
※ 月額料金は一般的なプランにおける価格設定
※ 2026年4月時点
4. グループウェア一体型

スケジュール管理、掲示板、ファイル共有などのグループウェア機能とワークフロー機能が一体となったタイプです。1つのシステムで情報を一元管理できます。
| サービス名 | 月額料金(1名あたり・税込) | 形態 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| プロワン | 要問い合わせ | クラウド | 現場のある業界に特化。ワークフロー機能からファイル共有、スケジュール管理、見積管理、案件管理、入金管理など社内の業務を一元管理できる |
| サイボウズ Garoon | 990円〜 | クラウド・オンプレミス | 大企業向けの豊富な機能と高いカスタマイズ性。日・英・簡・繁の4言語対応 |
| desknet’s NEO | 660円〜 | クラウド・オンプレミス | ノーコードで業務アプリを作成可能。自社の業務に合わせて機能を無制限に増やせる |
※ 2026年4月時点
ワークフローシステムでよくある質問
——少人数でも導入メリットはある?
少人数の企業でも、申請書の作成・回覧・管理にかかる時間は発生しており、以下のような導入メリットがあります。また、月額数百円から利用できる製品も多く、コスト面でのハードルも下がっています。
導入メリット
- 出先でも申請の入力・承認ができる
- システム上で申請書の一元管理が可能
- 内部統制の基盤を早期に整備できる
- 事業拡大時にスムーズに対応できる
——スムーズに導入するためのポイントは?
システム導入が失敗する最大の原因は、現場の抵抗と混乱です。スムーズな移行を実現するためには、段階的な導入ステップが必要になります。
STEP1. 現状分析とゴール設定
現在の承認フローの問題点を洗い出し、システム導入によって何を改善したいのか明確にします。
STEP2. パイロット運用
全社一斉導入ではなく、特定の部署や申請書類からスタートします。パイロット期間中に問題点を洗い出し、現場からのフィードバックを積極的に取り入れることで、本格運用時のトラブルを最小限に抑えられます。
STEP3. 運用ルールのマニュアル策定
明確な運用ルールがなければ、混乱が生じます。申請のタイミング、差し戻しや修正の手順、承認権限の範囲など、「誰が、いつ、どのように使うのか」を定めたルールとマニュアルの整備が不可欠です。
STEP4. 継続的なフォローアップ
定期的に利用状況をモニタリングし、問題があれば迅速に対応します。アンケートやヒアリングを通じて、使いにくい点や改善要望を吸い上げ、システムを最適化していきましょう。
——既存の紙の申請書は電子化しなければいけない?
まずは頻繁に使われる申請書類や、承認に時間がかかっているものから優先的に電子化することをおすすめします。段階的に移行することで、現場の負担を減らしながらスムーズに導入できます。
ただし、期間を明確に定め、いつまでに完全移行するかを事前に告知することが重要です。いつまでも併用を続けると混乱を招き、システムの定着が遅れます。
——今使っているExcelの申請書をそのまま再現できる?
一部の製品は、ExcelやWordで作成された既存の申請書を、そのままWebフォームとして取り込む機能を備えています。従業員が使い慣れたフォーマットでシステム化できるため、移行時の混乱を最小限に抑えられます。
| 機能 | 運用への影響 |
|---|---|
| 入力のプルダウン化・自動計算 | 手入力の項目が減ることで、入力ミスや計算間違いがなくなる |
| 必須チェック | 記入漏れがあると申請ボタンが押せないように制御、不備を未然に防ぐ |
| 項目追加 | 項目が増えた場合も、システム上で簡単に修正が可能 |
——セキュリティ面は問題ない?
主要なクラウド型製品は、データの暗号化、アクセス権限管理、操作ログの記録など、セキュリティ対策が施されています。ISO27001(ISMS)認証やSOC2認証を取得している製品も多くあります。また、自社内のキャビネットで紙を管理するよりも、クラウドの方がセキュリティレベルは高くなります。
| セキュリティ機能 | 詳細 |
|---|---|
| 通信の暗号化 | SSL/TLSによる暗号化通信により、第三者による盗聴や改ざんを防ぐ |
| データバックアップ | 災害に強いデータセンターで多重にバックアップされる。BCP(事業継続計画)対策になる |
| アクセス制限 | IPアドレス制限や二段階認証により、許可された端末・人物以外からのアクセスを遮断する |
| 物理的リスク | 紙の紛失、盗難、火災による焼失といったリスクがない |