利益率の計算方法は?ツールやエクセルで売上・利益・売値などを算出

「利益率は何パーセントにしたらいい?」
「利益率を30%にするには、売値はいくら?」

そこで利益率の計算シミュレーションから、すぐに使えるExcelテンプレート、わかりやすい計算式、計算でミスするポイントまでを一つずつ確認していきましょう。

利益率の計算シミュレーション

利益率を6種類シミュレーションできるようにしました。利益率10%や30%も簡単に算出できます。

利益率は「売上から原価と諸経費を引いて、利益・利益率を計算する」をよく使います。さらに「売上総利益・総利益率」「売上高営業利益率」「売上高経常利益率」「売上高当期純利益率」の4種類、さらに売値を利益率から算出する「売値計算」も選べるようになっています。

利益 0
利益率 0.0
売上総利益 0
総利益率 0.0
売上高営業利益率 0.0
売上高経常利益率 0.0
売上高当期純利益率 0.0
内掛け売値 0
外掛け売値 0

※ 実際の計算結果は条件によって異なる場合があります。本計算結果はあくまでも目安としてご利用ください。

利益率30%を計算する方法

例えば、原価700円の商品で、利益率を30%を得たいときは、売値は「 原価÷(1-利益率)」で計算します。

売値 = 原価 ÷ (1 - 利益率)

つまり「700円÷(1-30%)」は「700÷0.7」となり、売値は「1000円」と算出できます。

利益率の計算ができるExcelテンプレート

利益率の計算がExcelやスプレッドシートで簡単にできるテンプレートを用意しました。無料でダウンロードできて、すぐに使えます。

※ 実際の計算結果は条件によって異なる場合があります。本計算結果はあくまでも目安としてご利用ください。

利益率の標準的な計算式

利益率の計算式は一見シンプルですが、それぞれが持つ意味は正しく理解する必要があります。ここでは売上高から売上高純利益率が算出できるまでの17項目の計算式を見てみましょう。

項目名計算式
売上高手入力
売上原価手入力
売上総利益売上高-売上原価
売上総利益率(%)売上総利益÷売上高×100
販管費手入力
営業利益売上総利益-販管費
営業利益率(%)売上総利益÷売上高×100
営業外収益手入力
営業外費用手入力
経常利益営業利益+営業外収益-営業外費用
経常利益率(%)経常利益÷売上高×100
特別利益手入力
特別損失手入力
税引前当期純利益経常利益+特別利益-特別損失
法人税等手入力
当期純利益税引前当期純利益-法人税等
売上高純利益率(%)当期純利益÷売上高×100

1. 会社の基礎体力を示す売上総利益率

売上総利益率は「粗利率」とも呼ばれ、商品やサービスそのものの収益力を測る最も基本的な指標です。

売上総利益率 = (売上高 - 売上原価)÷ 売上高 × 100

仮の製造業である山田製作所を例にしてみます。この会社は年商10億円、従業員30名の中堅企業で、山田社長は「売上は伸びているのに、なぜか資金繰りがラクにならない」と頭を抱えています。

売上高10億円、売上原価6億5000万円から計算すると、売上総利益は3億5000万円、売上総利益率は35%となりました。製造業の平均値約25%と比較すると悪くない水準です。山田社長は「売上総利益率は平均より高くて、問題ない」と考え、次の計算に進みました。

2. 本業の稼ぐ力を示す営業利益率

営業利益率は、本業でどれだけ効率的に稼げているかを示す指標です。

営業利益率 = (売上総利益 - 販管費)÷ 売上高 × 100

先ほどの山田製作所の売上総利益3億5000万円に対して、販管費は2億8000万円(人件費1億5000万円、広告宣伝費3000万円、その他1億円)を差し引くと、営業利益は7000万円、営業利益率は7%となりました。

製造業の平均約4%を上回る優秀な数値です。営業利益率が低い場合は、販管費のコントロール不足や営業効率の悪さが原因として考えられますが、現時点で山田製作所は問題なく、山田社長が感じる資金繰りの厳しさ、その答えはもう少し先にありそうです。

3. 会社の総合力を示す経常利益率

経常利益率は、財務活動も含めた会社全体の収益力を表します。

経常利益率 = (営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用)÷ 売上高 × 100

山田製作所は営業利益7000万円に対して、営業外収益100万円と営業外費用である3億円の借入金に対する支払利息900万円を加味すると、経常利益は6200万円、経常利益率は6.2%となりました。

山田製作所の経常利益率は製造業平均の約4.5%は上回っています。過度な借入金で経常利益率が大きく下がるケースは珍しくありませんが、山田社長はここでも予想以上に資金繰りが良くない原因はつかめませんでした。

4. 最終的な儲けを示す売上高純利益率

売上高純利益率は、最終的に株主の手元に残る利益の割合を示します。

売上高純利益率 = 当期純利益 ÷ 売上高 × 100

この数値こそが「結局いくら儲かったのか」を示す最終成績表です。山田製作所は経常利益は6200万円に対して、特別損失500万円、法人税等1710万円(実効税率30%)を差し引くと、当期純利益は3990万円となり、売上高純利益率は3.99%とわかりました。

ようやく山田社長の悩みの核心が見えてきます。山田製作所は売上10億円に対して最終利益は3990万円あり、日本企業の平均3~4%と同水準です。

しかし、ここから借入金の元本返済や設備更新をまかなおうとすると、表面的には黒字でもキャッシュフローは決して楽ではないという実態が浮かび上がってきます。

利益率の計算でミスするポイント

1. 費用の項目を正しく分類できていない

最も多いミスが、売上原価と販管費の分類間違いです。製造業であれば、工場の人件費は売上原価、営業部門の人件費は販管費に分類されます。しかし、実際の現場では判断に迷うケースが少なくありません。

現場で判断に迷う3つの例

  1. 製品の品質検査を行う人員の給与は、製品を作る過程で必要不可欠な作業のため、売上原価に含めます
  2. 工場の事務員の給与は直接的に製品製造に関わらない間接業務であるため、販管費となります
  3. 製品サンプルの製作費は売上原価ですが、販促目的で大量に配布する場合は販管費として処理することもあります

このような分類ミスがあると、売上総利益率は正しく見えても、営業利益率が実態とかけ離れた数値になってしまいます。

2. どの利益率で評価すべきかわかっていない

よく「うちの利益率は5%なんですが、これは良い数値でしょうか」ということあります。しかし、この質問には答えようがありません。なぜならどの利益率なのかがわからないからです。次のように評価の目的によって、注目すべき利益率は変わってきます。

目的対象の利益率
価格競争力の評価売上総利益率
経営効率の評価営業利益率
財務健全性の評価経常利益率
投資価値の評価売上高純利益率

3. 業種ごとの平均値と比較していない

営業利益率10%達成は素晴らしい成績のように思えますが、業種によってはむしろ低い部類に入ることもあります。逆に3%でも、その業界では優秀な水準ということもあるでしょう。

自社の利益率を評価する時は、必ず同業他社や業界平均と比較することが大切です。主な業種の営業利益率の目安は以下のとおりです。

業種営業利益率の目安特徴
卸売業1~3%マージンが薄く、回転率で勝負
小売業2~4%薄利多売のビジネスモデル
製造業4~6%設備投資が大きく、利益率は中程度
サービス業5~10%人件費比率が高いが、在庫リスクなし
情報通信業8~12%初期投資後は高い利益率を維持

利益率計算を効率的にする方法

1. 会計ソフトのレポート機能を活用する

最近の会計ソフトは、単に仕訳を入力するだけのツールではありません。リアルタイムで利益率を確認できるダッシュボード機能を備えたタイプが増えています。クラウド型会計ソフトの利益率分析機能には、次のような特徴があります。

会計ソフトの特徴

  • 日次・週次・月次・年次で自動的に利益率を計算
  • 部門別、商品別、顧客別の利益率分析が可能
  • 前年同期比や予算比の比較がワンクリックで表示
  • スマートフォンからでも確認できるため、外出先でも経営状態を把握

主要な会計ソフトの多くは、30日間の無料トライアルを提供しています。まずは試用期間を利用して、自社のニーズに合うか確認してみましょう。

2. BIツールで利益率を可視化する

会計ソフトの標準レポートでは物足りない、もっと深い分析がしたいという企業には、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入がおすすめです。BIツールを使うと、このような分析が可能になります。

BIツールの特徴

  • 利益率と気温の相関関係を分析(アイスクリーム店など)
  • 曜日別、時間帯別の利益率推移をヒートマップで表示
  • 営業担当者ごとの受注案件の利益率分布を散布図で可視化
  • 利益率が急変した時にアラートメールを自動送信

現在では、月額数千円から利用できるクラウド型のBIツールも登場しています。Excelのデータだけで、美しいグラフやダッシュボードが作成できたりもします。手作業での計算も大切な基礎知識ですが、デジタルツールを活用することで、より戦略的な経営判断に時間を使えるようになるでしょう。

3. 業務管理システムですべての数値を把握する

プロワン
業務管理システム「プロワン」

短・中期工事に特化した業務管理システムのプロワンは、営業から施工・保守、請求・収支までの工程を1つのプラットフォームでつないでいます。すべての数値が連動しているため、現場起点のデータを経営側がリアルタイムに把握できて、迅速な経営判断が可能になります。

中野貴利人

株式会社ミツモア マーケティング本部所属。業務管理システム「プロワン」のコンテンツマーケティングを担当。建設、設備工事、ビルメンテナンス、リフォームなど、現場業界に向けたお役立ち情報を制作中。著書5冊。

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